政略婚
政略婚というには少し歪な気がしますが政略婚ということにして下さい。
私はこの便利な言葉に変わる語彙力を持ち合わせておりません。
「アスティお帰りなさい。」
ヘルエスはアスティナの無事を確認するかの如く寄ってきた。
すると背後にいる人物に気がついた。
「ヘルエス、元気そうだな。」
「は?ジーク!?」
さてここで問題、居るはずの無い人が現れるとヘルエスはどんな行動に出るでしょうか。
正解はとりあえず魔法で殴る。
上級魔法・ガイルスコルグ
ダストトレイルの杖先から放たれた風の槍はジークにとって防ぐのは容易かった。
上級魔法・アースグレイブ
地面が突き上がるように攻撃する魔法、アースグレイブ、それを範囲縮小させ詠唱破棄で発動させた。
「え、本物!?」
「ヘルエス、お前、結婚しろ。」
ヘルエスが本物の確証して驚く中さらに驚きの発言が突き刺さった。
「!!??え?結婚??私が……結婚?何故?」
「相手はブラウン家で見繕っておく。お前はそれに応じて籍を移すだけで良い。
それ以外は普段と同じ生活を送ってくれて構わない。
ただ籍だけ移しておけ。」
ジークは足らなさすぎた言葉を補うように説明し出した。
その途中でヘルエスは察する。
「お相手ってひょっとして貴族様ですか?私に権力のバックアップが必要って何事ですか?別に何かあれば魔法で解決すればいいじゃないですか。何故……。」
「この戦争の影響か魔女に対しての反感が強まっている。魔法で解決できない問題もあるんだ。受け入れろ……。」
「受け入れるも何もいまいちよくわからないのですが……。籍を入れるだけなんですか?それで何が変わるかもわかりませんけど私の生活どうなるんですか?」
「何も変わらん。これは保険だ。……嫌か?」
「嫌というわけではないですけど……その無縁といいますか、予想だにしてませんでしたので……。ただそれだけです。お任せいたします。」
ヘルエスは面倒に感じて考えるのをやめた。
「ヘルエスすまないな。優秀な君の地位を維持するためなんだ。」
司書というのはそれなりに地位が画一されている。
性別など関係なく強ければそれで良いからだ。
税金から給料が出て王都内の平均収入の倍の金額を貰っているほどである。
「父様、ひょっとして私もですかね。」
アスティナは会話の流れで察して尋ねた。
「だな。とりあえずブラウン家に嫁げ。ジーク君と話し合った末だから手間も省ける。」
ゼラードがそれを肯定、帰路の際に既に話がついていたようだ。
「え、アスティがジークと!?」
ヘルエスは身近な2人がくっついたことで驚きと興奮が抑えきれなくなっていた。
「何も不思議はあるまい。両者公爵家、貴族同士で地位も近く何より政治思想もに通った家同士、むしろ過去に政略婚がされていない方が不思議なくらいだ。」
ヘルミウスがヘルエスに解説を加えた。
「そういえば貴族様でしたね。」
「ヘルミウス、明日から俺も戦力に加えてくれて構わない。代わりにゾンビ兵掃討の計画を3日早めろ。遅ければ遅いほど経済的に打撃となる。」
「わかったけどジークはとりあえず家でご飯食べて沐浴を済ませ寝な……。
どうせ碌に寝れてないだろ。」
ヘルエスそっちのけで話が進んでいった。
「結婚話もひとまず処理し終えてからですね。良いわよね?ヘルエス。」
アスティナがヘルエスを話題に引き戻す手助けをする。
「え、あ、はい。構いません。」
その後ヘルエスは半分上の空状態でゾンビ兵を処理していく。
うっかり建物数件を崩壊させてしまったことはヘルエスは内緒にしておくことにした。
王都内がゴタゴタしている頃、帝都でもゴタゴタが発生していた。
「カザムニティが牢に居ない!探せ!」
「隊長!錠はかかったまま。荒らされた形跡も特にありませんでした!」
「!?どういうことだ!!いやそんなことはどうでもいい。王国側に引き渡しせねばならん戦争犯罪者だ。早く探せ!」
ここは帝国の刑務所、今ここには戦後処理のため戦争犯罪者が固められていた。
といってもまだ刑期や刑が確定したわけでは無い。
ゾンビ兵作成に関わった者、そのための村や街の占領に関わった者、帝国の中枢の者などが国際裁判待ちとしてとりあえず固められていた。
そのうちの1人が突如として牢屋から消えていたのだ。
だが一夜中捜索しても見つかることはなかった。
カザムニティが収容されていた牢には薄らと魔力光が残りそれは今にも消えそうであった。
ゾンビ兵掃討が終わり王都に漸く落ち着きが見え始めた頃、ヘルエスはヘルミウスに呼ばれブラウン家の本家の方へ足を運んでいた。
「この度はご招待いただきありがとうございます。私の身に余ることでとても光栄でございます。」
ヘルエスは習っておいて使う機会のなかった挨拶に興じていた。
普段しないことをするのはヘルエスにとってワクワクするものがあるのだ。
「よく来た。アスティナも既に来ている。上がれ。」
侍女の応対に横入りするようにジークが声をかけた。
「お邪魔いたします。」
ヘルエス自身ブラウン家に拾われブラウン家とはそれなりに近しく育ってきた者の何気に本家へ足を運ぶのはこれが初めてである。
ヘルエスが部屋に入るとアスティナと目が合った。
するとアスティナは立ち上がり恭しく礼をする。
ドレスを着込み、化粧を施し、髪を纏めた姿でのその礼は軽い気持ちのヘルエスへと突き刺さり思わず頭を下げて礼を返させた。
「ふふ、驚いたかしら。」
ヘルエスは2度目の衝撃に既視感を覚えずにはいられなかった。
「えぇ。とてもお似合いですよ。アスティナ公爵令嬢。」
「硬ーい。私の肩まで凝っちゃうじゃない。仕事仲間じゃない。例え貴族に扮していてもリラックスしていいのよヘルエス。」
「心遣いありがとうございます。……うっ……ではアスティには普段通りで接しますね。」
感謝を述べた瞬間にアスティナから飛んできた鋭い視線を受けてヘルエスは態度を崩された。
「今日は見慣れた面子だろ。婚約者との顔合わせの時以外は普段通りで構わん。楽にしろ。」
ジークにも諭されヘルエスは応じる他なかった。
「で私が呼ばれたということは相手決まったんですよね?どなたですか?」
ヘルエスはそれならさっさと要件をと言わんばかりに尋ねた。
「ガブン子爵家の末っ子、レオ・ケラウス・ガブンだ。港町ガブンを治めている家だな。
我がブラウン家とそれなりに繋がりがあってな、打診してみたら即答で了承が得られた。」
ヘルエスはどこかで聞いたような名前に思考を巡らせていた。
どなたか知りませんが誤差報告ありがとうございます。
自分の甘さに辟易しつつも適用押すだけで修正って凄く便利だなと感銘受けました。
ということでもし誤字ありましたら今後もよろしくお願いします。
できる限り減らせるように気をつけます。




