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禁書庫司書の受難  作者: 睡魔ASMRer
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4章・司書と魔女狩り 奇跡の再会

4章よろしくお願いします。終わりが見えてきました。

 王都にボロボロの2人が到着する。


 その姿はそれまでの壮絶な旅路を物語っていた。


 2人とも服は裾から破れ穴だらけ、ジークフリートに至っては左腕を肩から失っていた。


 これは2人の壮絶な帰路である。


 即席の岩の船で約2週間、漂着してから身体が最低限直るまでの2週間、そこから帰還するまで4ヶ月。


 長い月日の末帰還してきた。


 彼らが船上で最後に見た光景は無数に落ちる雷だった。近くの船に着弾、咄嗟にジークフリートによって庇われたゼラードはなんとか無事だったものの近すぎたことで余波で感電、意識を失う。


 そこを救ったのもジークフリートだった。


 魔法障壁にて雷そのものを防げていたジークフリートはその後の余波の感電を根性で乗り越え沈みゆく船の代わりに魔法を発動させた。


 上級魔法・アースクリエイト


 海底の地面が水上まで隆起し小舟が形成される。


 そして作成後、隆起部分が崩壊、浮かんだ小舟に最優先で救うべき命、ゼラード・ファルナ・トールを積み込み更なる被弾を防ぐために蓋をしカプセルのような形状で漂着の手段を取った……。


 海流に乗り帝国側へ流された2名はそのさらに先の国、アディオン共和国に流れ着いていた。


 その間の2人の食事は余波の感電を護るためほぼノーガードで食らったことによって使い物にならなくなったジークフリートの左腕を容赦なく切り落としてそれを食べることで食い繋いでいた。


 漂着後、近くの村で漂着先を的確に把握、だが陸路は戦争のせいでどこも安全には程遠く長い旅路を要さずにはいられなかった。


 腕の傷が塞がり帰路として選んだのは他国を経由して帰るルートだった。


 北方のクティン連邦国を通ってその西に位置するカンバ帝国へ、そこから戦禍の影響の少ないカトン公国まで大回りしてからの西側のツドイ連邦国、そしてパーナルト王国への帰路であった。


 無一文の2人にとって基本徒歩でしか帰れない。


 その間の食糧などは森や川からジークフリートが手に入れ2人で分け合って事なきを得ていた。


 やがて王国が優勢に傾くと貿易の馬車が頻繁に通るようになる。


 それに同席させてもらうことでパーナルト王国に到着したのだ。


 そこからもまだ王都までは距離があった。


 王都へ向かう荷車を探すのですら一苦労である。


 結果的に徒歩を選ばざるを得なくなった。


 反転攻勢により馬の需要が増加、荷車は人力に置き換わっていたからだ。


 2人が王都につくと異様な雰囲気が漂っていた。


 道には人影がなかった。いや正確には人影はあるのだが生きてはいない。


 「なんなんだ!これは……。」


 あまりに異様な光景にゼラードは思わず口に出してしまう。


 「以前盗まれた魔導書によるものですね。反転攻勢が行われてるといった情報はガセだったみたいです。対処します。」


 己の無知を恥じるかのようにジークフリートは剣を抜き去り奮起した。


 「ジーク君に頼ってばかりではいられんのでな。おいぼれではあるがでしゃばらせていただく。」


 負けじと杖を取り出し詠唱破棄で魔法を発動させた。


 上級魔法・ストロングボルト


 魔法は短めの杖先から放たれ雷撃はゾンビの頭蓋骨貫通し吹き飛ばした。


 その後ろではジークフリートが剣を振い次々とゾンビの首を刎ねていっている。


 王都全域に緊急避難宣言が出されており中央街以外は処理しきれないゾンビ兵で溢れかえっていた。


 詰まるところ外側から王都に入ってきた2人は最後の最後で試練にあっていたのだ。


 「くそ国についてもこれかよ!王家は!我が家は無事なんだろうな!」


 ゼラードが悪態をついた。


 「ゼラード卿、おそらく避難勧告が敷かれているかと……。人気ひとけが全くないという事はおそらく中央部に戦力を集中させております。」


 冷静にゼラードに注釈をいれるジークフリート、話し合いの末、2人は中央部に辿り着くことを優先させることにした。


 雷音と豪剣の轟音が閑散とした王都に鳴り響いていた。

 

 それはゾンビ兵掃討作戦に従事している者の耳にも届く。


 …………


 「今のは雷撃系統の音!?私以外に上級魔法を気軽に扱える人なんて……誰なの?」


 「お嬢?」


 「シャル、ごめん、ちょっと郊外の方へ行ってくる。」


 「お嬢!?正気!?護れませんよ?」


 「私に任せなさい……と言いたいけど前張れる方欲しいですね……。」


 「アスティナ殿、先ほどの話聞いてしまいました……。私が同行いたしましょう。」


 「あらヘルミウス卿御機嫌麗しうございます。」


 声をかけてきたのはヘルミウス・ブラウンであった。


 貴族同士の何とはない挨拶、だが2人とも戦える貴族、護衛数名速やかに指定して音の鳴った方への探索の段取りが組まれるのは速やかであった。


 「ヘルエス、ここは任せた。何かあればジャシードあたりを頼ると良い。知っているだろ?」


 「かしこまりました。教官!お気をつけ下さい。」


 こうして4者の再会が果たされるのであった。


 「音が近いぞ!気を緩めるな!」



 「「はっ!!」」


 返事した直後に轟音が鳴り響き肉の壁が切り裂ける。


 「ジーク!?貴様何者だ!」


 「父様!?ヘルミウス卿、あの魔力私が見間違う訳ございません!」


 「敵はゾンビ兵として死体を活用するのだぞ!」


 「ゾンビは頭と心臓部に他者の魔力が宿ります!彼らは本人の魔力のみです!」


 「本物……なのか……。」


 押し問答を聞かされるジークフリートとゼラード、ゼラードは見知った顔を見れた安心感、安堵感に押しつぶされ倒れ込んだ。


 「父様!!」


 感情剥き出しに苦笑いを浮かべるジークフリート、その顔を見て漸くヘルミウスはジークフリートが本物であることを理解した。


 「本物、なんだな?腕、無くしたんだな……。」


 「雷に撃たれてな……食らって生きながらえた。我が最後の任務をこなした気分だ。

 ヘルエスはいるか?」


 ヘルミウスは唐突に出てきたヘルエスの名に疑問を浮かべる。


 「なぜ彼女なんだい?」


 「彼女を結婚させろ。外で魔女に対してのヘイトが加速してる。手遅れになる前に手を打つべきだ。ヘルエスの元へ案内してくれ。」


 新たな禍根がヘルエスに訪れる。


 

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