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禁書庫司書の受難  作者: 睡魔ASMRer
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ゾンビハザード

 第三陣もイグニッションタイダルウェーブで呑み込む。


 ヘルエスは処理が終えると同時に後ろを振り返るとそこには本を複数抱えて壁を蹴り縦横無尽に移動するケビンの姿がいた。


 ヘルエスはその体捌きに圧巻されていた。


 「ケビン凄いですね。本は私が守りますよ。」


 上級魔法・エアムーブ・5重発動


 ケビンが抱えていた本をまとめて宙に浮かしそこに向けて本を集結するように残った4冊も飛行魔法で運ぶ。


 運び終えると飛行魔法の風を緻密に操作し本を並び替え体積を減らしていく。


 「はは、器用という一言で済む話なのかこれ……理解が及ばねぇよ。」


 やがて禁書を1つの飛行魔法で運ぶ方舟の完成である。


 再度警報音、第四陣の到着である。


 「これで防衛しやすいですか?私は第四陣捌いてきます。」


 「何から何まですまねぇな。」


 今まで魔物のゾンビ兵だったが兵を摩耗したのか次にきたのは人のゾンビ兵だった。


 「悪趣味ね。」


 ヘルエスは誰に言うわけでもなくそう吐き捨てた。


 最上級魔法・イグニッションタイダルウェーブ・2連発動


 肉体の体積が増えると1発では全部焼却するのは難しくなる。


 魔力の消費が馬鹿にならない状況になってきた。


 「ケビン、次もし来るなら変わって貰っても?このペースだと魔力が流石に持ちません。」


 燃やし尽くしてすぐにヘルエスはケビンに相談にいった。


 「あれって頭潰せばとまるか?というか剣使わねぇの?」


 「魔力光は心臓付近と頭にあるので両方潰す必要ありそうです。もしそれで止まらないなら四肢分断も視野に入れてください。後私剣は触れますが一対多は経験不足で戦い方わかりませんし上手くいく自信ありません。非力で申し訳ない。」


 ヘルエスは必要な情報を詳らかに語る。


 「いや剣に関しては魔法使いが嗜んでる時点でバケモンだから気にするな。それに一対多か。俺の得意分野だわ。任された!」


 こうしてヘルエスとケビンは役割を入れ替えた。


 と言っても本防衛側はやることが少ない。


 なぜなら……。


 最上級魔法・ブレードオブテンペスト


 飛行魔法の更に周りに包むように小型に範囲を調整した最上級魔法で守ってしまえば外から手出ししようものなら四肢切断どころじゃ済まないからだ。


 後は魔力が散って魔法が解けないように魔力操作するだけで防衛維持が可能であった。


 「クソが……。」


 ケントのこぼした声はヘルエスには届かない。


 やることがなくなったヘルエスはケビンの方を見ていた。


 バッタバッタと槍を器用に扱い薙ぎ倒していく。


 横薙ぎで複数人壁に打ち付けてからの突きで頭を的確に潰しそのまま1人ずつ心臓部を串刺しそのまま次のやつも刺したら放り捨てて死体で山を建築していた。


 次第に山は高くなり登ってくるやつの頭を撃ち抜く単純作業と化していた。


 その後、追加の軍勢は来ず音沙汰が無くなった。


 「これで引いてくれると助かるんだがなぁ……。」


 「次のシフトがガイアなら間違いなく引くでしょう。問題はそれ以外引いた時ですね。どうしようもない気がしますが私が任務延長することって可能ですか?」


 ただその答えは見え透いていた。


 「どうせヘルエスかガイアがいない時を狙われるだけだよ。」


 「それ詰みでは?盗まれないことできるんですか?影、想定以上に厄介ですね。」


 次のシフトでやってきたのはジャシードとファミールだった。


 「……というわけで今この状態で本を守ってました。

 お二人でどう守るかご相談なさって下さい。」


 軽く状況を説明する。


 「相変わらずヘルちゃんとんでもないわ。」


 ヘルエスは初めて聞く呼び名に困惑するものの平然を装った。


 それよりも本の防衛が目下の課題だからだ。


 「影なぁ。本との距離保って影が伸びてきたらそこ目掛けて攻撃以外対処法苦しいよなぁ。」


 「後もう辞めた方出すのあれですがカイシェストは背後に気配感じた瞬間影で動き封じられて捕えられてましたのでそれもお気をつけ下さい。」


 補足するように情報を足していく。


 「背後取られるな、攻撃通らない影から本守れ、中々手厳しい。」


 ジャシードはそう吐くが顔はやる気に満ちていた。


 「ヘルちゃんばかりに頼ってられないからね。元トップ冒険者、魔弾のファミール頑張ります……と言いたいところだけどあの肉の壁は処理して貰って良い?射線通りませんので……。というかヘルちゃん相当魔法使ったよね?かなり眩しいよ〜。」


 気がつけばとても平和的な会話になっていた。


 「えぇそれくらいはお安いご用です。さらに眩しくなるかと思いますがお許しください。」


 ヘルエスは肉の壁を燃やしきりその日の任務を終えたのだった。


 シフトを確認し文官省に戻るとそこに見知った顔がいた。


 「え?ノア?なぜここに?」


 そう反転攻勢軍を指揮し多忙なはずの男がそこにいた。


 「一応僕も司書なんだけど……。まぁそんなことはどうでもよくてこれ緊急の指令書、ってことでよろしく。僕は最前線戻るから。」


 どうやらヘルエスのシフトを確認した上での接触が目的だったようだ。


 「はぁ……。」


 ヘルエスはノアの相変わらずの神出鬼没さにため息しか出なかった。


 ヘルエスはその指令書を読みながら外に出ると全てを察した。


 禁書庫だけでなく王都中がゾンビ兵に荒らされていることに……。


 指令書には今から半日間の間にできる限り数を減らしておくこと。


 その後、王宮の護衛任務に参加する旨が書かれていた。


 指令書が手形の役割も担っているため燃やさずに御守りがある胸のポケットへしまい込んだ。


 そして剣を抜き地を蹴り混沌渦巻く街中を駆け出した。


 狙うは頭部、その後心臓部、魔法は街の人がピンチの時以外使わずに温存しておく。


 司書、街防衛、護衛任務と休む暇もない過重労働である。


 「頭胸頭胸頭胸……頭!!」


 ブツクサと狙いを定めて渾身の突きを放つ。


 頭蓋骨にヒビが入った途端動きが鈍る死体、どうやら案外脆いようである。


 それでも頭蓋骨を正面から割るのは骨が折れる。


 「そして胸!」


 引き抜き次に狙うわ同じ個体の胸、胸骨横、肋骨の間に刃をいれ心臓付近にあるなにかを穿つ。


 すると操られていた糸が切れたかのようにズルりと音を立てて力無く倒れていった。


 「次!」


 気合いを吐き力を込める。


 次は幼子のゾンビだった。


 「断つ断つ……断つ!!」


 3回目で力を集約させ兜割を放つ。


 低さが程よく力が効率的に加わったおかげか先ほどの突きでようやくヒビが入ったのが嘘みたいに簡単に頭骨が真っ二つに切れた。


 脳みその代わりに無数の魔法陣の描かれた頭蓋骨裏が露出する。


 脳みそはくり抜かれているようであった。


 心臓付近を刺すことなく死体が力を失うのをみてヘルエスは規則的さを探し始めていた。


 次に視界に入った死体は老齢な女性だった。


 こちらも骨がスカスカなのか簡単に兜割が決まり力を失っていた。


 4体目は育ち盛りであろう青年だった。


 大分調子良さげな兜割で試してみるが今度はヒビ入る程度で刃が止まってしまう。これは動きが鈍るだけだった。


 2撃目の兜割で漸く頭蓋骨を切断、途端に力を失いずるりと崩れ落ちた。


 5体目は心臓からさしてみる。


 特に動きが鈍る様子もないため頭を砕きにいった。


 ヘルエスは一体、一体、色々と試すように倒して数を減らしていくのだった。

次回長かった3章終了します。

挿絵描ける画力あれば地理情報書いてわかりやすくできるんですけどね……悲しきかな……。

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