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禁書庫司書の受難  作者: 睡魔ASMRer
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占領下での戦争犯罪

 ヘルエスへ十二分に休息を取りすぐさま出かけた。


 目指すは反転攻勢最初の街、スドンバである。


 王国領内ということもあり距離は王都からそう離れてはいなかった。


 飛行魔法でものの20分で到着する。


 そこは実際に戦闘の真っ最中であった。


 降り立ち指揮をとっているものに挨拶する。


 「どうも司書やってるものです。後方支援の方お借りしたいのでそのためなら加勢いたします。」


 紋様を見せながら話しかける。


 「司書様か。ノア様がこの街の中心部にある教会を調べているはずだ。そこで話つけてくれ。


 戦意を削ぐことに注力しろ!捕虜交換のために無力化させ次第殺さず縄につけとけ!貴族様がまだ誰1人取り返せちゃいないぞ!」


 教会へ走り込むとそこは暗い雰囲気が漂っていた。


 よく見ると大量の血痕だらけである。


 「おやヘルエス、魔女倒して家でのんびりしてるかと思ったが忙しい奴だな。どした?」


 ノアは暗い雰囲気など気にせず飄々としていた。


 それはヘルエスも同じまであり……。


 「ガイアの母おられます?お借りしてケントを追いたいのですが……。」


 遺体を家に安置してる間に盗まれたこと。


 おそらくケントが影を使い出待ちもしくは後をつけられてしまっていたことを説明するとノアは目を見開いていた。


 「だるっ。なぁヘルエス、スドンバの住人の行方どうなってるか知ってるか?いやスドンバだけじゃない。戦争よりも前に村々から人が1人残らず消える事案は知ってるか?」


 ヘルエスはそこでようやくスドンバの街に人気ひとけが少ないことに気がついた。


 「え、拉致ですか?戦争犯罪じゃないですか。違う虐殺ですか?アガルデ村の時も大量の血痕が1つの館の中から出てきましたしね。」


 ヘルエスは完全に思考停止していた。


 いや思考が繋がっていなかった。


 「違うね。虐殺は半分合ってる。そんな生ぬるいもんじゃないよ。」


 戦時中の虐殺、それを生温いと表するのはどういうことなのかヘルエスは頭がフル回転させた。


 ヘルエスが答えに辿り着く前にノアが語った。


 「禁書さ、元王国所有のね。君が就任する3ヶ月前に盗まれた禁書というか魔導書は死体をゾンビ兵へと改造させる。


 虐殺して遺体拉致ってゾンビ兵、それが占領下で行われているのさ。


 他のルキハ、バスティユニでも同様に街に残った人は1人残らず殺されているはず。


 まぁ王国の避難勧告に従わなかったからと言われればそれまでなんだが……。


でもまぁ勧告でたくらいで生まれ育った街をわざわざ離れる人も少ないしね。こればかりは仕方ない。」


 ヘルエスは気を落とす。


 「それじゃあ死体盗まれた以上また敵に来るんですか。そんなの嫌です。」


 ヘルエスが現実逃避するとノアが訂正する。


 「死体は魔力生み出せないから魔女の場合外部供給がいるね。


 君たちは消費魔力半端じゃないから実用可能までは相応の年月がかかる。


 戦争が泥沼の長期化しない限りは間に合わないよ。」


 ヘルエスはそれを聞くとどこか安心したようで話を戻した。


 「で、ガイアの母というかヴァンパイアをお借りしたいのですけど。」


 ノアは即答する。


 「無理だな。彼らの能力は後方支援としてどうしても必要だ。実のところガイアも司書よりも戦争の方に多く駆り出されてるくらいだ。」


 ヘルエスはそれを聞くなりすぐさま付け加えた。


 「この4日間、軍に属するわ!好きに使って!その後でいいからガイアの親族誰か1人の力を使わせて下さい。」


 ヘルエスは頭を下げて頼み込んだ。


 「なんだその前提あるのね。ってわけですけどグロリアさんどうされますか?」


 ノアの背後からニュッとガイアの母が姿を現した。


 「でしたら私たちは構いませんわ。ガイアなり私なりお好きにどうぞ。その点で言えばガイアが適任かとは存じますが。」


 「じゃあヘルエス、今日含めて3日、借りるぞ!休日最終日はグロリアさんを連れて好きにすると良い。」


 ノアからの承諾は得られた。


 「でまず私は何を?」


 とんとん拍子で話が決まっていく。


 スドンバの制圧はほぼ目前であり次は南下してルキハ制圧、その後バスティユニ制圧の予定だった。


 そこをヘルエス1人でバスティユニ制圧することが決まる。


 「分かった。じゃあ早速行ってくるわ。捕虜は指揮官1人で良いわよね。そんな何人も捕えるのは縄的にも運搬的にも厳しいわよ。」


 ヘルエスはできる事とできない事を明確に示す。


 「そりゃそうだな。1人以外鏖殺して指揮官クラスをとりあえず捕虜にしてきてくれ。」


 ノアはそれを承諾、ヘルエスの単独進軍が決まった。


 「ノア様無茶です。ヘルエス様お一人だなんて……。」


 「戦力を無駄に使い潰すおつもりですか?」


 方々から批判的、懐疑的な声があがる。


 「足手纏いは要らないわよ。」


 ヘルエスが一言で一蹴し声を上げたものも黙り込んでしまった。


 「そういうことだから。ヘルエスは1人の方が強いよ。」


 小っ恥ずかしさを紛らわすためヘルエスは急足で協会を後にするのだった。







 ヘルエスは颯爽と飛行魔法でバスティユニに向かっていた。


 眼前には円形に整備された街並みが広がっている。


 数多くの村々を繋ぐ交易都市バスティユニ、そこは鎮まり帰りいくつかの兵士が点在して街を占領しているという体裁を保っていた。


 ヘルエスは真正面から街へ侵入、立ち所に兵士がわらわらと集まりだす。


 杖を構え宣誓する。


 「さっさと終わらせるわ。さぁあんたらの指揮官出しなさい!さもなくば骨すら残さないわよ。」


 

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