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禁書庫司書の受難  作者: 睡魔ASMRer
33/71

vs炎の魔の魔女 2

 「杖じゃなくて剣……。」


 「杖であり剣です。」


 お互いが不敵な笑みを送り返す。


 魔法での応酬はより苛烈を極めていた。


 最上級魔法・インフェルノ・五連発動


 最上級魔法・グリフィオール・三重発動


 炎の範囲魔法に局所竜巻の風魔法で応戦、竜巻に乗った熱風が両者を襲う。

 ヘルエスは魔法障壁で防ぎつつ接近、カレンはひたすら距離を取ることを意識していた。


 剣への警戒であり近づかれると何もさせてもらえない、そう思えたからだ。


 それを理解するヘルエスは烈風波で進路妨害もしながらの魔法の応酬である。


 上級魔法・ガイルスコルグ・五連発動


 中級魔法・炎壁火柱・十重発動


 風の槍が獲物を追うように背後、眼前、右横と逃げ道を潰すように迫る。


 それを察知し塞がれまいと壁を厚めに貼るカレン。


 中級魔法・火焔地雷・30重発動


 このままじゃジリ貧、避けるなら地雷を……その思考へ辿り着き逃げる先にあらかじめ魔法を設置するカレン。


 魔力光を頼りに避けて追うヘルエスの距離は徐々に離れていく。


 上級魔法・エアムーブ


 距離が少しずつ離れていることを察したヘルエスはノータイムで選択、地雷原を抜けたばかりのカレンの背後に降り立った。


 最上級魔法・インフェルノ・五重


 着地側を攻めるカレン、ヘルエスは咄嗟に飛び退いた。


 「やり辛いわね。」


 ヘルエスは相手のよく考えて放たれた魔法にこう溢した。


 そしてそれからいくつかの攻防が繰り広げられた。


 それは魔法の鬼ごっこといっても差し支えない内容である。


 鬼のヘルエス、逃げるカレン、そして終わりは唐突にやってきた。


 そう彼女は幾重にも度重なる魔力消費で魔力が枯渇しかけていたのだ。


 防戦一方だったこともあり生きるのを諦めるのはそう難しくもなかった。


 「降参、殺して。」


 「は!?」


 唐突な出来事に頭の整理が追いつかないヘルエスは素っ頓狂な声を上げた。


 「もう無理よ。逃げられない魔力も無いもの……。」


 ヘルエスは呆気に取られる。こうも命を容易く諦められるものなのかと……。


 「貴女はそれでいいわけ?」


 「国も貴女も逃してはくれないわ。」


 ヘルエスの問いに全てを諦めたカレンは答える。


 「なんで……なんでそんな簡単に命を諦められるのよ!」


 ヘルエスはなんでとそう思うがカレンにとっては未練もへったくれもなかった。


 「なんでってあんた仲間いるんでしょ。私にはそういうのはないわ。

 3年前以降の記憶なんて何もない。

 ただ命じられただ従う日々だった。

 それだけでよかった。

 貴女には相棒がいるといった。

 私より貴女が生きるべきだし何より魔力ももうない。

 もう……疲れたんだよ……。」


 ヘルエスは言葉をを失う。


 「……何よそれ。何でそうなるのよ。」


 やっとの思いで絞り出した言葉がそれである。


 ヘルエスはどちらかが死ぬべきそう考えていた。


 ただ敵が命を投げ捨てるのは想定外であり何より彼女なら親しくなれていた、そんな事を一瞬にでも夢に思えてしまったのである。


 「嫌だ……。」


 ヘルエスは自身でも驚く言葉が出た。


 そもそも今まで嫌なんて言葉を使ったことがないのである。


 「嫌……か。じゃあさ貴女について教えてよ。それを手向に死なせて……もううんざりなのよ生きるのは疲れる。」


 そういってカレンは草原に座り込んだ。ヘルエスも誰に言われるわけでもなく隣に座り込む。


 「私の最初の記憶は5歳からよ。5歳かどうかはよくわかってないけど多分合ってる。


 拾われた際にそう言われて育ってきた。


 というか3年前までの記憶ないってどういうことよ。」


 途中まで語ってヘルエスは違和感まみれの証言に突っ込んだ。


 「どうもこうもそのままよ。帝国の首都、ベスティアにて目覚めた。施設の中よ、当初の記憶は薄いけどそこで教育を受けて戦うことを学んだわ。」


 ヘルエスは司書として育てられた。だが司書依然に人として育てられた事を思い知る。


 「読み書きは?」


 「出来ない。」


 「本も読めないの!?」


 「読めないね。笑うかしら?」


 「笑えない。何よそれ……。」


 「それが私の存在意義よ。」


 ヘルエスは理解がまだ追いつこうとしなかった。


 「貴女優しいのね。私も王国に拾われてたら違っていたのかしら。貴女が固執するのは私たちの出生知っているのよね?」


 カレンはとても察しが良かった。


 普通の教育を受けていたらヘルエスより飲み込みは早かったであろう。


 ただ生まれ育つ環境は選べなかった。


 その後ヘルエスは魔の魔女(マーラウィッチ)について知り得る全てを彼女に教えた。


 「それは確かにどちらか死なないと終わらなさそうだね。私が死ぬよ。もうわたしは生きたいとすら思えない。未練もクソもないもの。」


 清々しいその表情は誰にも何も言わせなかった。


 「というわけで私が死ぬわ。良いわよねケント!今貴方が私を連れ戻そうものなら残った魔力で自害するわ。帝国に戻ってもどうせまた戦うだけだもの。うんざりよ。」


 ヘルエスはケントの存在を完全に忘れていた。


 彼も影の中から現状を除いていたのである。


 カレンはダストトレイルを手に取り自身の首へ刃を向けた。


 「……。」


 ヘルエスは言葉が出なかった。


 彼女が首を掻き切るまで。


 「あああぁぁぁぁぁ。」


 カレンの死後、平原に泣き叫ぶ声が響く。


 次第に戦況は王国側へ傾くのであった。

 なんか気がついたら和解エンドになってました。

 魔石の重み増すからこれで良いかなとさえ思っています。


 逆だったかもしれねぇ。

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