対自爆特攻
翌日、ヘルエスは勤務時間に合わせて文官省内にある転移紋から転移を行って禁書庫へと足を運んだ。
「お、ヘルエス」「お、新入り」
着くと2人勤務まで待機してる人がいた。
「こんにちはシャル今から勤務ですか?」
お互い紋様を見せ合い身分確認を済ませて現在勤務中の方々と交代する
「おぉこれが噂の新人ね。俺はガイア。一応俺も新入りっす。お、勤務お疲れ様でした。」
ガイアが挨拶した先には今から帰宅する司書が2人。
「うるせーぞガイア。俺はケビンよろしくな。」
「新入りのカイシェストと申します。カイスって呼んでください。」
自己紹介を残して2人と交代する。
「じゃあヘルエス今日外教える。ガイア書庫内よろしく。」
「「はい!」」
シャル+新人2人の勤務が始まった。
「ってなわけでヘルエス外の仕事教えるね面倒だから一度で覚えて。」
この人面倒ってらいっちゃったよとヘルエスは思うもののすぐに仕事モードへと切り替えた。
「これ名簿ね。入る前に身辺検査したら記入そしてからドアノック、回数聞いたんでしょ?それ通りにやるだけ。」
ヘルエスの想像よりも圧倒的に少ない文面で説明は終わり沈黙が流れる。
その静寂でヘルエスは悟り口を開いた。
「え……それだけですか?他にすることは?」
「侵入者への対応、死んでも殺してでも死守せよ以上じゃあ俺傍観しとくから後よろしく〜。」
「はぁー。わかりましたけど。」
なんというか想像していた職種というより拍子抜けと思ってしまう。
「あ、侵入の場合は警報音鳴るけど閲覧者通す際にそもそも上からこの魔道具から音声報告入るから入ってなけりゃ殺していいよ。」
物騒だなぁとは思うものの顔には出さずポーカーフェイスを意識する。
「とりあえずやってみなよ。俺はガイアの様子見てくるから。」
そう言い残しノックせずに入った途端怒号が鳴り響いた。
「おらノックせず開いたんなら殺しにかかれや何やってんだガイアぁ」
「う、うっす。」
意外と怒ったりはするんだ。そのことだけ頭にいれてヘルエスは聞かなかったことにした。
後小1時間ほどで日の出だろうか。もう二、三時間すれば勤務終了といったあたりでトラブルが起こった。
リンリンリンリン、4回、リンといった鐘のような音が鳴ったのである。
後ろの扉が開きシャルさんが戻ってきた。
「ヘルエス付いてないねぇ侵入者とは……4人ならどうとでもなるでしょ後よろしく〜。」
「ん。」
ヘルエスは丸腰で立ち上がり一歩前へでた。
「あれ?意外と武闘派?武器は?」
武器、そもそも持ち合わせていないヘルエスは頭を傾げた。
「いや持参オーケーだからてかこいつ大丈夫かよ。」
シャルはとてつもない不安感に苛まれる。
そうこうしてると階段を駆け下り廊下を直進する侵入者が姿を表した。
「獣人、リカントねぇ歩浪人に本の価値なんてしらねぇだろ。」
後はよろしくと言わんばかりに椅子に座り傍観を決め込むシャルを尻目にヘルエスは手を伸ばし魔法を行使した。
無言で放たれた魔法は炎の障壁を形成しリカントたちの行くへを阻む。
「わおお嬢と同じゴリゴリの魔法使い。てかサラッと詠唱破棄たぁこれが秀才いいねぇ。ってあ?リカントたちなんでグルグル円書いて走ってんだ?」
阻まれ立ち止まるわけでもなく円陣のようにグルグルと止まることなく走り続ける4人のリカント。
その首には錠がかけられてるのがわかった。
5周ほどしたあたりで意を決したかのように突撃を敢行してきた。
ぎゃうぁ
そんな悲鳴を掻き鳴らし火だるまになりながら直進するリカント。
意外と厄介、ヘルエスは苛立ちを覚え少しムキになり魔法を行使する。
チェイスボム、炎系列の中級魔法である。
中級、それは一人前と認められるほどの魔法。それを10発多段詠唱破棄で発動させた。
「やるぅ。」
ヘルエスはやっと苛立ちの原因がわかった。シャルのこの傍観姿勢、適当さに苛立ちを覚えたのである。
3人のリカントはそれを見るなり少し後退し最前にいた1人のリカントは放たれた魔法に自らあたりにいった。
「ちっ自爆特攻……。」
ヘルエスは舌打ちすると同時に後方に向けて魔法を放とうとしたその刹那、後方から3本の何かが放たれた。
「はいはいおしまいおしまい。」
放ったのはシャルだった。リカントたちを見ると引いた3人にそれぞれ命中しており動けずその場に倒れていた。
「シャル、傍観するんじゃないの?」
苛立ちはどこへやら消え去り質問する。
「いやあれ見るからに自爆特攻でしょ。まぁ魔法使いっぽいから手札まだあるだろうけどさ早めに止め刺して楽したいなと。」
そんなやり取りの最中突如爆発、自爆特攻は不発に終わりリカントの四肢が散乱する。
咄嗟に障壁を詠唱破棄で的確に発動させ爆炎から身を守る。
「威力高え。ありがとさん。こりゃ追えねぇな。めんどくさ。」
「どうやって3人止めたの?」
あまりの手際の良さ、それは興味となってヘルエスは追求に走る。
「え、毒針、ナゲタ。」
めんどくさそうに片言で答えるシャル、その様子を見て思わず笑いが込み上げてきた。
「ふふ、そんなもんで簡単に止まるんだ良いですね。」
「てか魔道具使わんの?そんな魔法使いなんて見たことねぇよ。非効率的だろ。」
シャルはそんなことよりもヘルエスの戦いの異常性を指摘する。
そもそも魔法には色々な体系がある。魔法陣、魔導書、魔法式、魔術。それらを使いこなすには魔道具の補助無しなんてあり得ないのだ。
掛け算を使わず足し算のみで計算してるようなものである。あまりにも効率悪すぎて疑問になるのも当然だった。
「マドウグ?便利なんですか?」
シャルはここにきて初めて戦慄を覚えた。
常識の通じない新入り、魔道具無しなのは要らないとかでなくただ知らない。
そもそも一般市民ですら魔道具という言葉は理解してるのだそれを知らないとなると異質という言葉でしか言い表すことができなかったからだ。
そんな驚愕はさらに別の驚愕にて上塗りされた。
リンリンリンリンリンリンリンリンリンリンリンリンリンリンリンリンリンリンリンリンリンリンリンリンリンリンリンリンリンリンリンリンリンリンリン
無数の警報音が鳴り響いたのである。
戦闘描写の書き方is何?




