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禁書庫司書の受難  作者: 睡魔ASMRer
29/71

慰霊碑

 ヘルエスは戻るなりヘルミウスに結果報告だけ行いにいった。


 そう返り血で血まみれの格好である。


 「こんのぉ!馬鹿もん!」


 最初に飛んできた怒声はヘルエスには耳の痛い話だった。


 その後身体を洗うように促され執事の案内のもと沐浴場へ案内され水浴びと着替えを行う。


 と言っても魔法でどうとでもなるのだが……。


 初級魔法・水球、初級魔法・烈風波


 水球はただの水の球体を放つ魔法、相手を押し出したり狭い所では有効に使える魔法である。


 それにより生み出した水にそのまま入る。


 そして衣服、身体に水を吸わせたらあとは汚れごと烈風波で弾き飛ばせば綺麗さっぱりである。


 すぐに綺麗にして再度報告のし直しにヘルミウスの元へ向かった。


 「流石の早さだな。では報告を聞こうか。」


 どうやら戻る早さまで折り込み済みな上で身だしなみとしての注意だったようだ。


 ヘルエスは苦虫を噛み潰したような苦悶を抑え込み報告を始める。


 「……そしてこれがその少女の魔石となります。遺体を持ち帰る訳にはいかないので取り急ぎこれだけ回収し遺体は火葬し供養して参りました。」


 見せた魔石をヘルミウスが回収しようとする所でヘルエスは拾い上げて取り出したポケットの中へしまった。


 「……まぁ良い。ブラウン家として情報だけ流しておこう。他に報告すべきことはあるか?」


 ヘルエスの意思を汲み取りヘルミウスは食い下がった。


 それに安堵したヘルエスは自身の失態を報告する。


 「敵の最期の魔法にてガーベルドが滅びました。今も雷落ち続けてるかと思います。止めてあげられませんでした。」


 ヘルミウスは頭を抱えた。


 「戦時中に敵国の街の心配などするな。

 もし戦後の裁判でお前に容疑がかかる際は弁護を手配しておこう。


 まぁ魔の魔女(マーラウィッチ)とやらが公になった時点で社会的逆風は免れないがな。」


 少し重いため息混じりに言葉を吐くのを見てヘルエスは気になっていたことを聞き出した。


 「ジークは?海戦の情報って降りてきましたか?」


 重たい雰囲気がさらに重たくなる。


 「さぁなジークフリートよりもゼラード卿の方が心配だな。


 2人は隣り合った船にお互い居たそうだがゼラードの方が損壊が激しい、つまりは直撃したのではないかという報告が上がってる。


 ヘルエスの仕留めた魔女の仕業とするとジークの船はその余波で穴を開けられた説もあるからな。


 両者生死不明、今更どうにもできん。


 トール公爵家は長男が、司書の隊長は臨時にアスティナが任命されてる。


 今後はその2人については死者として扱う予定だ。」


 ヘルミウスは淡々と告げた。


 そして書類をまとめだすと立ち上がりついて来いとだけ残して部屋から出て行った。


 ヘルエスは後をついていくと王都の中央に慰霊碑が置いてあった。


 「ここは戦争で亡くなった人を弔う場だ。もし身近な人や帰ってこない人がいるとここで我々は祈るんだ。


 無事でありますように。せめて安らかに天に登れますように……とな。


 お前にこういう所教えた事はなかったからな。」


 ヘルミウスはそれだけ語ると花を添えて手を組み祈り始めた。


 ヘルエスは見様見真似、その場の雰囲気に合わせて祈りを捧げ出した。


 去り際に見覚えのあるある人と出会した。


 「アスティ……。」


 ヘルエスは明るさが抜け落ちて冷たい気品さだけが残るアスティナを目撃しショックを受ける。


 アスティナは呼びかけに一礼で返すと慰霊碑の方へ歩いていった。


 常に明るさと気品さを周りに伝播させるような憧れになりつつあった人の変貌はヘルエスにとってすごく衝撃的だったのだ。


 少しでも早く終わらせたい、ヘルエスは手にした魔石を強く握りしめた。





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