帝王の海戦
今回、戦況解説多めのため文字量の渋滞起きてます。
読みやすいように添削したものの読みにくいかと思いますがお許しください。
ヘルエスは痛む身体を叩き起こして本屋に来ていた。
あれから倒れるように寝たものの起きてから筋肉痛で動きにくいったらあらしない。
そんな中、幾つかの本を手に取り購入した。
買ったのは『剣導入門書』という本と『理想の身体作りの基本書』という本である。
強くなるために本を買うなど初のことであった。
帰って早速読み解き生活に取り込む。
今まで必要最低限の栄養摂取としか捉えてなかった食事は身体作り用に最適化、起きたら木の棒を使い100回の素振り、そして職務後の鬼教官による徹底的な追い込み。
この生活が1ヶ月経つ頃には今までにない新たな戦術を取り入れられるほどに肉体が仕上がっていた。
だがこの間も戦争中であり1ヶ月の間に戦況は目まぐるしく変化していた。
まず王国側の主要都市3つの陥落、5つの主要道路の完全封鎖、定期的に来る王都侵攻に対する被害、世間ではこのままではもう1ヶ月も保たないのではとまで囁かれるほどである。
しかし王国も無策ではなかった。
この主要都市はあくまで帝国に近い側の地方であり既に退去勧告を戦争開始時にだし残る人以外の避難は完了、無駄な戦闘は避け実質明け渡すように街から撤退して戦力を温存していた。
またベスティア帝国は昔から軍事侵攻を重ねていたこともあり周辺国家は対岸の火事という訳ではなく王国に協力姿勢を表明する。
東側の帝国領土の対岸の国境、西側にある連邦国、ツドイ連邦国。
帝国と王国両方に北側で国土が繋がっている、カンバ帝国。
ツドイのさらに西、国境は面しておらず国交も全くと言っていいほどなかったカトン公国がそれぞれ表明し防衛向きの魔道具供与や物流の仲介、金銭的援助などを行なってくれたことにより戦争前に荒れた内部情勢はかなり落ち着きを見せていた。
また反転攻勢用の拠点作成も順調であることをヘルエスはノアから聞かされている。
反転攻勢時自由に活動できるようにブラウン家の力を借りて王や他貴族からの承認も得ていてタイミングが来たらヘルエスは他の魔の魔女の始末に向かう予定である。
「今日はここまで。だいぶ剣の扱いにも慣れてきたみたいだな。次からは俺と実際に剣を交えよう。打ち込み稽古というやつだ。それが終われば一先ず実戦投入してもいいだろうな。」
鬼教官の指南も順調であった。
「ありがとうございました。失礼します。」
ヘルエスは一礼し下がる。
「本当に筋が良い。彼女が楽できるように次の作戦は必ず成功させなばな。」
下がったヘルエスを眺めながらヘルミウスは呟いた。
ヘルエスは家に着くと肉と野菜のバランス良い食事を用意して昼食を取り職務と鍛錬の疲れを癒すべく眠りについた。
3日後、ジークフリート・ブラウン、ゼラード・ファルナ・トール、ニーデル・ロナ・ロッケンベルグこの3人の貴族を中心とした軍事作戦が決行された。
作戦は帝王両国南に広がる海の覇権戦争である。
王国側の海まで帝国に制海権を奪取されており、定期的に海側の都市4ヶ所に向けて砲撃が行われ、海を利用した対岸国家への防衛は陸路へと変更を余儀なくされ、そのため関税の影響もあり王国側の不況の要因となっていたのだ。
戦争にも不利、経済的にも不利、今後の軍事作戦の障害にもなっているこの現状の打破のための軍事作戦として大規模な人員が投入された。
後に『帝王の海戦』と称されるこの戦いは両者痛み分けで終わることとなった。
先に仕掛けたのは王国側、新たに強いた陸路から新規の軍事拠点を作り他の海沿い4都市ガスティア、ガブン、ゼスティア、ハブングルから船を陸路でかき集めておく。
その間に帝国から離れている海沿いの2都市、ハブングルとゼスティアの街から精鋭魔法使いによる魔法攻撃にて船3隻沈めたのだ。
これにより帝国軍艦隊は一斉に2都市に集結、一斉放火を行った。
無論王国側はこの動きを想定し避難済みであり被害は建物のみに留まった。
その間にゼスティアとその隣の都市、ガブンの間に急設した軍事拠点から船を全隻出航、見事大量の船を囲い陸海両面から一斉放火を行ったのだ。
果たして帝国は逃げ一辺倒となった。散り散りに逃げるものの包囲網はジークフリートの采配により中々突破できず2隻以外の約30隻が瞬く間に沈められたのだ。
ただ王国側は運がなかった。この内一隻に1人の少女が乗っていたからだ。
逃げられたのもその少女によるのだがその少女が放った魔法は1分も経たない間に15隻を沈める結果となった。
これにより王国側は撤退、両者痛み分けで終わったのだ。
王国の運がなかったのはそれだけではない。この攻撃に巻き込まれ禁書庫の司書、最強の男ジークフリート・ブラウン、雷帝の父ゼラード・ファルナ・トールの二大貴族が生死不明となったのだ。
結果的に帝国は王国側の制海権を放棄、作戦は成功したものの王国は二大戦力を失うこととなる。
司書の臨時隊長としてアスティナ・ヨナ・トールが任命、トール家を後継として彼女の兄、エクトル・ゼラ・トールが継ぐ流れとなった。
作戦終了後、当日に一報はヘルミウスの元へ、ちょうど指導されていたヘルエスはエアムーブで帝国の海沿いの街目掛けて飛び去った。




