シフトは暗号にて
話、組み立て、楽しい
キャラ作りしなきゃな
シフト、8時間の3サイクル、禁書庫司書はその職種であること自体周囲に知られてはならないためシフトを伝える仕組みも独特である。
そもそも禁書庫の管轄は文官省、シフト管理はそのトップ、ジルファード・ゼノ・アガスティアによって直接伝達されるのだ。
どのように、それは……。
「「お疲れ様です。」」
交代の2人がやってきた。これで私の初日は終了である。
「どうも新人のヘルエスと申します。以後お見知り置きを。」
司書特有の魔法紋様を見せつけながらやってきた2人に向けて挨拶を交わす。
これは一種の合言葉だ。左前腕に刻まれた紋様は交代の際に化けてないことを示す印でありそこから発せられる現文官省大臣による魔力波で偽造も許さない仕様である。
つまり禁書庫の門前でこれを提示できない=化けた偽物ということになる。
「おぉこれが噂の新人、俺はジャシード、ジャスって呼んでくれ。」
2メートルはあろうかという長身の男がまず自己紹介を行なった。
「例の秀才ちゃんね。私はファミール、ファミでいいわ。よろしくね。」
「では後は頼んだ。これからシフトについての説明を行う。」
ジークに連れられ地下通路をさらに奥へと進む。我々専用の出入り口、魔法陣の元へ辿り着く。
通勤口ともいうべきその魔法陣の転送先は例の文官省内部、国立図書館裏に聳え立つ屋敷の一室であった。
「着く部屋は行きとは違う。そこで大臣からの次のシフトを渡される。無論数字ではなく暗号でな……。と言ってもまぁ見ればわかる簡単なものだ。部屋の中央に鎮座する水晶に魔力を流せ。オプン・ゲト」
詠唱により魔法陣が発動し空間転移が行われた。
たどり着いた先は入ってきた文官省の図書館勤務用魔法陣とは別の小部屋であった。出入り口、窓すらもない完全密室、だが壁には魔法陣やら敷かれているわけでなく普通の建物であった。
その中央に台座の上に置かれた水晶ともう一つの魔法陣しか無い簡素というかこれまた異質な部屋である。
「やってみろ。何そんな難しいものじゃない教養無者ですら解くことはできるのだからな。数字にしないことに意味があるだけだ。」
実際に水晶に手を翳し魔力を流す。すると欠けた衛星、ペテルウスの姿が映し出される。
これは……ペテルウスの満ち欠けが何時間後かを表しているのか……それぞれの魔力波に応じて振り分けられるようになってる……。
そもそも何を基準に見れば良いのだろうか満ち欠けをサイクルとしよう1日3サイクル、映し出されてるのは下弦のペテルウス。朔が表記不可の可能性は?そうすれば最低3サイクルでしか表せない。
「だいぶ抽象的な暗号ですねあってる自信がないです。」
答えを口で確かめるそんなことは豪語道断、だからこそこの杞憂を確かめることで答えがあってるかを確かめたかった。
「多分ヘルエスの答えで合ってるわ。私のも見て良いわよ。ほらこれで比べられるでしょ?」
アスティナはそう言うと自身の次の勤務時間を見せてくれた。望が一つに上弦のペテルウスが映される。
この表記の仕方してる以上朔は表記なし3サイクルでの複数での表記であろう。自身の場合1つ、望スタートとすると下弦は今まさに勤務しろと言うことになってしまう。ということは朔スタート?ということは?3サイクル目、今から16時間後ということになる。
「杞憂は晴れましたありがとうございます。」
「目の前のもう一つの魔法陣を使えば入ってきた文官省の官僚用魔法陣へと繋がる。そこから帰ると良い。」
色々と教えてくれたジークとアスティナに一礼をし魔法陣を起動し帰路へと着いた。
ヘルエスの去った密室にて残った2人は軽く会話を交わしていた。
「新人3人が不運でならないわ。彼らには知らされてないのよね?前任の3人が殺され5冊の禁書が盗まれたことそしてその後釜で就任させられたなんてね。」
「他国のエージェント相手だ。報いは受けさせたが禁書は2冊しか戻らなかった。強きことを願うのみよ例えどんな卑怯な手だろうと守り抜くだけの力があることを……。我々は司書、本を守りし守り人、例えどんな火の粉であろうと払いのける実力が不可欠。見誤った大臣は交代させられ新体制が構築されてるのだ。」
どこか悲しみすら感じさせる声でジークはぼやいた。
災禍がこの国、パーナルト王国に迫っていた。
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