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禁書庫司書の受難  作者: 睡魔ASMRer
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無力

 ヘルエスが移り住んでから2日後、禁書庫前にて事件が発生した。


 ハルヌメス・ヨナ・アガスティアが首輪を付けて禁書庫に突撃してきたのだ。


 対応に当たっていたのはガイアとアスティナであり、その事を後日、ヘルエスはガイアから聞かされていた。


 「は?なんで貴族のあいつが首輪付けられて奴隷化させられてるのよ何事?てかあいつ死んだの?」


 ご尤もな疑問である。


 「いやアスティナが上手く魔石砕けたっぽくて今本人から事情聴取中。後ろから不意突かれたんじゃって話になってる。」


 「流石アスティ♪でもなんか嫌な感じね。」


 この国で今何が起こってるのか思案するも全く思い当たらない。


 「ジークはまだ知らないのよね?私が後で伝えておくわ。」


 「居場所知ってるの?」


 「居場所というか家族?と思われる人に少し宛てがある。ついでに何が起こってんだか聞いてみる。」


 「まぁそっちはそれでいいか。俺も何か探ってみようかな。暇つぶし程度で。何かわかったら友達として共有しとく。」


 「はいはい。」


 影に潜り移動するガイアを眺めながら独りぼやく。


 「友達……か……。」






 「……ふむふむ承知した。ジークには俺から伝えておこう。一応アスティナにも確認とって情報集めさせてもらう。」


 ヘルミウス・ブラウン、彼はジークフリート・ブラウンの2つ年上の兄であった。


 「私にできることは何かありますか?」


 今回の件に関しては自分は無知で無力なことはわかりきってはいるが尋ねずにはいられなかった。


 「何もない。というかこれは貴族間で血すら流れかねない状態を意味する。

 下手に首を突っ込むな。」


 いつにもなく声色は硬くそれだけで緊張感が生まれるほどだった。


 「では私はこれにて失礼します。」


 何も出来ない、それを再確認し仕事へ向かうことにした。


 何事もなく仕事を終えるとガイアがやってきた。


 「ん、ガイア何か分かった?」


 「何やら改革派?みたいなところの集会か何かに参加してたみたいでそこで付けられたらしい。」


 「あいつ改革派だったのね。」


 「んで首輪の型がリカント事件のやつと酷似してるみたいで改革派に国賊が紛れてるってことをブラウン家とトール家が合同で声明だしてたった今ちょっとした小競り合いに発展、負傷者多数らしい。」


 国を率先して引っ張ってきた貴族間での争い、何の国益にもならない事案である。


 「なんかかなり不味い状況みたいね。聞き取りしようかしら。」


 その瞬間脳裏にヘルミウスの言葉が浮かぶ。


 「やっぱ無し下手に突っ込むと迷惑かけるよね。本当に無力ね。悔しいわ。」


 無力、これはヘルエスにとって今まで味わったことのない感覚だった。


 悔しさを煮詰めたような。でも抗うことのできないようなそんな感覚に陥る。


 「じゃあ俺行くわ。また何かあったら会いに行く。」


 「というかどうやって私見つけてるの?」


 なんとなく、ただ疑問に思って聞いてみた。


 「どうやってって魔法で狙うように狙えば狙った人の所いける。距離離れすぎてると流石に無理だけど王都内であれば入ったことある影なら狙っていける。」


 魔法で狙いは座標指定か目視で狙いを定めた状態での詠唱から発動までをこなすとそこに狙いが定まる。


 どうやらそれと同じ感覚らしい。


 「え、タイミングちゃんとしてよねプライバシー守らなかったら骨すら残さず燃やし尽くすから。」


 ヘルエスは少し怒り気味で頼んだ。


 「え、あ、うんそうする。」


 ガイア視点どうやら考え無しだったようである。


 ヘルエスが無言で握り拳を振り上げたのを見て逃げるように去っていった。


 残されたヘルエスはため息を吐いてブラウン家に帰るのだった。





 帰って無力感を味わったヘルエスは魔法の練習に取り組んだ。


 アスティナが成し遂げた魔石破壊による奴隷解放、それはヘルエスにとってできるようにならねばならない使命感に駆り立てられたからだ。


 不可能でないのなら、せめて燃やしたリカント達の無念を晴らせるように、同じ目に合わなくて済むように。


 そう心に留めダストトレイルを掲げて練習を開始した。


 何を狙えば練習になるのか、まずはそこから考える。


 そもそも最適な魔法属性は土、それは分かっていても適正方面じゃない魔法の練習はそれだけで時間を潰す。


 なので水火風、派生先の氷炎霧でどうにか壊す必要がある。


 (火や炎って魔石割る火力だしたらそれこそ骨すら残らないよね。)


 一つ一つできることできないことをリストアップし何をすべきかを明確にする。


 結果的に風>水>氷の順で狙いのより正確性を上げることにした。


 的は空を飛び回るカラスの群れ、その先頭の頭部を魔石と仮定して狙いを定める。


 だが次どのように動き回るかもわからない動物相手だと詠唱破棄でも途中で断念するばかりで中々1発目が打てずにいた。


 打てずに居る間にヘルエスは気付きを得ていた。


 (動き、読んで先の空間を狙い続ける。高さはカラスを追ってなんとか合わせる。)


 なんとなくいけるという感覚、それに従い魔法を放つ。


 上級魔法・ガイルスコルグ


 高圧な風の槍で攻撃する魔法は狙った所を始点として放たれた。


 真っ直ぐ横一直線に細長い風の道が見える。


 やがて脳天を貫かれたカラスが住宅街に落ちていったのを確認する。


 カラス達は仲間が突然やられて群れが崩れ散らばり始めた。


 散らばり更に狙いにくい元群れの中から無作為に1匹選び再度同じ様に狙って魔法を放った。


 上級魔法・ウォータースナイプ


 高圧により鋼をも貫く威力の弾丸が狙った所から放たれる。


 しっかり狙ったカラスの頭から一直線にカラスが飛んでる方向に向かって飛んでいった。


 落ちてくるカラスはきちんと脳天から眉間に抜けるように穴が空いていた。


 (私結構いけるかも。)

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