不穏な兆候
前話にて新しい登場人物の名前を間違えて被らせてしまいました。(既に修正済み)
以後気をつけますがこれ以降新しい名前が貴族周りでいくつも出ます。
ヘルエスが勤務に向かうと禁書庫前は少し騒然としていた。
「シャル、これは?」
紋様見せながら尋ねる。
「おぉ交代ねありがとう。子爵の後継が無理矢理入ろうとしてきたから麻痺らせた。生きてるだけ感謝しなよ。送り返すの面倒なんだよなぁ。」
「手伝いますわ。こんにちはヘルちゃん。」
「ファミもお疲れ様。なんか物騒ですね。」
「だねー。平民の出には心臓にも悪いからやめて欲しいよ。第一ここに用ないなら来ないで欲しい。」
ファミールは不届者を見下しながらそう呟いた。
「おーす何事?」
遅れてケビンがやってきた。
「今日はケビンとですか。よろしくお願いします。」
ヘルエスが遅れて混ざってきたケビンに挨拶をする。
「貴族乱入、殺したら殺したで面倒だから麻痺らせたら今度は動かすのが面倒になった。」
ぶつくさ言いながらシャルは貴族を抱え上げた。
「あ、ジークから言伝、昨年のリカントの件、爆発の仕組みわかったから文官省で説明受けろってよ。」
「じゃあねヘルちゃん。」
ファミールも続いて帰る。
残されたケビンとヘルエスは業務についた。
「外、中どっち?」
「どちらでも……。」
「……。」
気まずい雰囲気が流れる。
「貴族来た際に対応できますか?」
「殺して良いなら何人来てもいけるけどなぁ。後々面倒だしなぁ。」
お互い懸念点は同じだった。
「じゃあ私が外やります。氷の壁貼っておけばいいでしょ……。」
ヘルエスは少し投げやりになる。
「じゃあ任せようかな。貴族は魔法使える人多いから気をつけてね。」
こうして始まってみれば基本暇な訳で……。
「なぁヘルエス。」
「なんですか?」
「貴族の奇行が増えてる理由知ってるか?」
「あぁその件ですか。なんか本流行ってるらしいですね。」
「「禁書不要論!」」
「なんだケビン知ってるんですね。」
「元王国軍部隊長から言わせてみればあれはゴミ本よ。国防を何もわかっちゃ居ない。だがな一部の貴族にとってはそれが理解できないらしい。」
「あの本どちらかというと扇動したいように見えましたけどね。」
「扇動?てか読んだの?」
「えぇまぁ……なんというか権力者にとって不要さを訴えて要らないものを無くさせようと……そんな風に捉えられなくもないなと思いました。」
ヘルエスは一晩超えて達観して本の内容を精査できていたのである。
違う角度から。
(扇動、帰ったら夢恋また読みたいなぁ。夢から醒めて現実を知って、出会うために国民を扇動するその様は見事だった。)
恋愛本からその視点を得ていた。
「扇動ねぇ根深いなぁ。人は信じたいものを信じるからな。これは一朝一夕では解決しねぇな。」
「え、あ、はい。そうですね。」
完全に話そっちのけだったのを誤魔化す。
「扇動だとしたら作者不明なの余計に胡散臭いな。」
寝耳に水だった。
「不明?不明って本よく出版できましたね。」
印刷技術は1個人でどうにかなる代物ではない。必ず大きな商家がバックにいる。
「どの家も企業も後ろ盾はなかったんだよ。」
「でも内情知ってないと書けないことも買いてありましたよ?国民が書いたとしか。」
「なら下手すりゃ出版まで10年かかるぞ?非現実的だろ?」
話せば話すほど闇は深くなる一方だ。
結局その日に閲覧者や侵入者が来ることはなかった。
シフトを確認し文官省敷地内にある会議室前へ足を運ぶ。
ここはリカント襲撃後に訪れた場所である
「ヘルエス様、こちらジークフリート卿からの言伝となります。」
一枚のペラペラの紙で渡された。
要約すると……。
1、どうやら魔石に魔法を刻む技術があったとのこと。
2、魔石を壊すと魔法は不発に終わること。
3、首輪や村の襲撃者にはこれが仕込まれていたこと。
4、国はこれらに関する書物全般を禁書と定めたこと。
以上の4つであった。
そして近日中に新たに禁書指定され禁書狩りなるものが開催されうる動きが王政内にあるとの見方も示してあった。
「言伝確かに承りました。ジーク隊長によろしくお伝え下さい。失礼いたしました。」
初級魔法・着火を使用し言伝を燃やし処分しながらそう伝えた。
「ご苦労様です。失礼いたします。」
魔石への魔法記録、禁書指定、禁書庫狩り、不穏なワードだらけである。
(リカント達もピンポイントで首輪狙えていたら助けられたのかな……。)
言伝によってヘルエスに遅くも心残りができてしまった……。




