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禁書庫司書の受難  作者: 睡魔ASMRer
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禁書不要論

 司書は前後することはあるとはいえ基本的に1日半前後の休みとなる。


 禁書奪還や護送などの別件がない時は基本暇なのだ。


 故に趣味やら鍛錬やらに費やす時間は増えるわけでヘルエスは最近、読書にハマっているのだった。


 本というのは庶民全般に広がっているかと言われるとそういうわけではない。値段的に最低でも中所得者あたりからでないと手の出し辛い代物だろう。


 図書館は国立図書館しかなく持ち出しにはそれなりの担保が要求され事実上不可能なため一部の人間にしか利用されていない。


 ではなぜそんなニッチな趣味にヘルエスは走ったのか。


 それは一重に魔道具すら知らずに損していたことの反省だった。


 本に触れれば解決すると本気で思い違いしていたのである。


 そう思い違いを……彼女は主に創作、恋愛小説にハマってしまった。


 しかも恋愛小説の中でも同性愛、悲恋、略奪恋、異種族恋、といった非日常の恋愛小説にハマっていった。


 彼女の休日の半分は図書館や本屋に通い詰めの生活になっていっていた。


 当然、出会いというのがあるもので……。


 「あ、ケントさんお久しぶりです。」


 「お、ヘルエスちゃん久しぶり。悪役令嬢の略奪恋シリーズどうやった?」


 ヘルエスは本屋の顔馴染みに挨拶を交わす。


 「いやぁ最後怒涛の騙し合いはスリリングでとても面白かったです。他にもおすすめってありますか?」


 そうこうして次々に新しい本に手を出すから止まらないのである。


 「んーそうだなぁ。あ、恋愛から一旦離れて最近の流行り読んでみるか?」


 そう言い残して本を探しにいった。


 「あったあったこれこれ。禁書不要論。」


 数刻して運ばれてきた本は他人事ではない本だった。


 「禁書?それって読める?」


 ヘルエスは少し知らないフリして探りを入れてみることにした。


 「それがな、禁書って基本的に貴族やら王族やらにしか読む許可降りない代物でな。その貴族の中で流行っているんだ。読めるけど王国には要らないのではっていうね。」


 (じゃああの偉そうにしていたハルヌメスとかいうやつも貴族なのか。)


 「じゃあ私読めないですね。それで不要論ってのは論文か何かなのですか?」


 さらに情報を聞き出してみる。


 「論文ではないねジャンル不明かな。あくまで疑問提起だね。読んでみればわかるけど司書をわざわざ雇うくらいならそれらの雇用費、戦力を国防に回すべきってそういう話だな。」


 これ以上は読んでみないと始まらなさそうである。


 「じゃあそれ買います。後何か面白いやつ1つおすすめあります?」


 思い出したように本を取りに行くケント。


 「そうこれ紹介しようとしてたの!恋愛小説家アティナス最新作・夢恋!夢で知り合った人に恋して障壁乗り越えて結ばれる話!」


 熱心に弁舌してるケントをみてヘルエスは思わず笑いが込み上げてきた。


 「ふふ、結局恋愛ものなんですね。純愛系は確かに読んだことないからそれも読んでみます。」


 2冊を手にして会計を済ませるとケビンが入り口で待っていた。


 「毎度あり。ところでよ。ヘルエスは禁書庫要る派?不要派?」


 待っていてくれたというより尋ねたかったみたいである。


 「まだ読まないとなんとも言えないけど守らないといけないこととかはあるんじゃない?例えば死者蘇生とか流行ったら倫理観崩壊してやばいでしょ。


これがちゃんとしてる復活ならともかく奴隷としてとかだと使用すれば当然、物議は醸すわけで……そんな本が実在するならその本が要らない時代が来るまで守るのも1つの選択肢じゃないかな?」


 ヘルエスの本心で自論を述べた。


 「んー例え話されると確かにね。今国際情勢ピリついてるからなぁどっかの隣国が村いくつも消して回ったせいでよぉ。」


 ヘルエスは違和感を覚えるものの違和感の正体を掴めず諦めることにした。


 「それじゃあまた。ケント。」


 「あぁまたな。」


 ヘルエスは帰路についた。






 家に着くなり早速禁書不要論を手に取り読んでみる。


 その内容は禁書の具体的な内容には一切触れずに司書の戦闘力の概算と禁書なければその分戦力と費用が浮きそれを国防に回すとどれくらいの恩恵があるかなどに焦点を置かれて書かれていた。


 内情を知るヘルエスからしたらこれはゴミもいいところだろう。


 今の国際情勢をガン無視して軍拡に舵取れと言ってるようなものだった。


 そして禁書とかは関係なく書物そのものに対しての否定的な意見すら散見されたのだ。


 本にどハマりしたヘルエスからしたらこんなものゴミもいいところだ。


 「本の良さを知らん奴め。」


 家の中で1人ボヤく。


 モヤモヤとした消化不良の中恋愛小説に手を伸ばすのだった。

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