2章貴族戦争、禁書の実態
注釈、新入り3人の1人、カイシェストはガイアとヘルエスより2ヶ月ほど早く就任してます。
その直前に自爆特攻起きていて穴埋めとして緊急採用されてます。
「暇……。」
ガイアはひょっこり扉を開けて顔出してきた。
今日はヘルエスとガイア2人のシフトである。
3ヶ月ほどは3人で組まれていた新人組も今や2人で組まされていた。
「持ち場変わりますか?あなたはそこが適任かと思ってましたが……。」
「ちぇ真面目ちゃんかよ。うっす戻ります。」
しらけて中に籠る。
あの事件の後、司書には禁書を読む権利が与えられた業務中にお互いに任せてその間に読む。
奪い返せた禁書には死体の活用する魔法の論理や利用価値などの研究に関する書物だった。
書かれている内容は命の軽視で冒涜的で酷い有様である。
それの対となる本は取り返しに失敗した魔導書らしい。
それ故に禁書となって封じられていた。
生物的禁書には様々な人体実験をまとめた書物が入っていた。人体の解剖から始まり薬草、毒草の摂取とその後の症状、ありとあらゆる毒の実験、それらの手順があまりにも非人道的でありどうもそこが禁書として定められた要因ではと思えた。
政治的禁書には選民的思想の本と自由民主的思想の本の2種類があった。選民的思想は国際的にダメで自由民主的思想は王国の根幹を揺るがしかねない危険な本に認定されて封じられていた。
宗教的禁書には神々の否定、リアリストによるリアリストのための宗教の本や修行により悟を開く宗教などの書物がありそれらが禁書となっていた。
歴史書にてこの国が何を守りたいのかその意図はわかった。
それはこの国がかつて選民主義の名のもとに獣人・リカント、進人・吸血鬼、鬼人・オーガ、彼らを排他し時には虐殺し人類のみの繁栄に享受してきていたことだった。
これは今の国際的世論的に隠さなくてはいけない国の汚点。故に禁書となっていた。
『1人閲覧者通します。』
音声魔道具によって上の兵士から報告がやってくる。
ひと息つくと上から閲覧証を持たされた小太りの男性が降りてきた。
「おやこれはこれは可愛いお嬢様だこと。」
ヘルエスは相手の目を見た。目線は顔より少し下に向いておりとても不快感を覚えた。
「お名前お聞かせください。」
記入のため名前を聞く。
「貴様!我輩の名前知らんとは失敬な!アガスティア公爵次男!ハルヌメス・ヨナ・アガスティアであるぞ!」
「ハヌヌメス・ヨナ・アガスティアさんですね。どうぞ。」
「ハルヌメスである!愚弄するのもいい加減にしろ!」
非常に面倒である。
「失礼しました。ハルヌメスですね。記入を終えましたのでこちらへどうぞ。」
ノックを的確に3回、面倒なので早く通してガイアに丸投げにすることにした。
「ふん。」
丸投げした結果、とんでもない事態を招いた。
少しすると醜い声での悲鳴が聞こえ出したのだ。
ノックを3回して中に入る。
「何事ですか?ガイア。」
呆れたと言わんばかりの口調で尋ねる。
「いやこのおっさんが歴史の禁書に魔法で何かしら細工をしようとしてるのが見えたので拘束した。」
例の拘束されてる本人は何をするかハルヌメスヨナアガスティアであるぞを連呼していた。
「何したんですかハルヌメスさん。」
中から細工をされてはせっかくの対魔法構造も意味を持たない。
裏口を仕掛けるのを阻止することも司書の役割である。
「下手な真似したらこちらには屠殺権がございます。それが例え貴族であろうと禁書に禁忌を犯すようなら容赦いたしません。」
蔑む目で見下ろす。それはハルヌメスに屈辱を与えたもののその目で剣先を向けられては訴えることなどできるはずもなかった。
「すまぬ悪かった。もう帰るから見逃してくれ。」
慌てふためいて帰る彼を2人は止めなかった。
禁書庫に再び静寂が戻る。
「で何されたの?」
扉を挟み会話する。
「わからん。何か魔法を起動する音が聞こえてそのまま拘束。何かしたのは間違いない。」
あまりにも抽象的すぎて理解に欠ける。
「私が本調べる間外、任していい?」
ヘルエスの提案をガイアは呑み2人は持ち場を変えた。
「さてと歴史となるとこれだよなぁ。」
早速手に取ると本を1ページずつペラペラ捲りながら魔法の使用痕跡を探す。
魔法を使うとしばらく魔力光が薄ら残る。魔法使いなら見える程度薄らと。
より大きな魔法であれば尚のこと強く光る。
アスティナ曰くリカント襲撃後の通路は眩しく耐えられないので普段外だけど中にして貰った模様。
やがて真ん中くらいにほんのりだけど今にも消えそうな魔力光を放つ栞が1枚出てきたのだった。
結局持ち場をもとに戻してその日の勤務終わりがやってきた。
「やほーヘルエスご苦労様。」
アスティナとジャシードが紋様を見せながらやってきた。
「こんばんはアスティ、ジャス。
アスティこれなんだと思います?えっとハルヌメス・ヨナ・アガスティアと名乗る方が閲覧の際に仕掛けていったみたいで何かしら魔法が使われてるんですよね。」
アスティナは目に見えて顔を歪ませた。
「あいつ何やらかしたの……これ私預かるわ。あいつにもガツンと言っておく一応知り合いだし。」
どうやら本当に知名度はあったらしい。
「じゃあアスティは外がいいね。もう魔力光は大丈夫だよな?」
察したジャシードが配置の提案を行う。
「ん。オッケー。お二人さんお疲れ様。ゆっくり休んでね。」
貴族間の争いが始まろうとしていたのだった。




