愛の不在
恋は甘くて 苦い
愛は強くて 脆い
狂おしくて
狂おしいほど
狂おしくて
狂おしいほど
思うままにならない
心は
知らなかった色に染まって
知らなかった声が生まれる
はじめは 甘い水蜜桃
とろけて 熟して 膿んでゆく
それは いつの間にか 苦くなって
今では ほら 飲み込めなくなった
狂おしくて
狂おしいほど
憎らしくて 憎らしい
愛おしくて 愛おしい
いつか 二律背反は
いつか 昏い華になる
狂おしいほど
忘れられなくなる前に
狂おしいほど
忘れてしまいたくなる
ねえ
手に足に 重たい 枷をつけてよ
それでも なお
求めてしまうのなら
それでも なお
記憶が邪魔をするのなら
壊れてしまいそうになる
壊してしまいそうになる
心は
いっそ
その手で 壊れて
この手で 壊して
壊れて 壊して
壊して 壊れて
しまえるのなら
もっと 楽になって
きっと 苦しくなって
ずっと 満たされなくて
ねえ
ほら 見て
枷が擦れ 執着の 血をながすの
わたしの中の
虚ろの果ての欲望は
わたしだけど わたしではない
わたしの中に 生まれたわたし
ねえ
わたしの組成が
欲望だけだというのなら
それは 結局 愛の不在
愛しかないというのなら
それは 結局 わたしの不在
愛だけないというのなら
それは 結局 あなたの不在
わたしも あなたも
いないのならば
つまり それは 愛は 不在
どこまでが愛で、どこからが執着?