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ツイッタートレンド ホラー偏

『不法侵入』

作者: 木尾方

寂れた片田舎、別荘地もありバブル時は栄えたが今では見る影もない。

都内から田舎暮らしをあこがれて、何世帯かは移住しるが村の活性化には まだ時間が必要だ。


その一軒に両親と住む1人の小学生の男の子がいた。名前を健太と言う。

健太は、住まいの別荘地から500mほど下ったバス停に乗り学校に通っていた。


健太以外には誰も乗り手がいなかった。最初は親もバス停まで見送りにきたが、今では1人で家と学校を往復している。最寄のバス停は霧渓別荘前。健太は行きは左一番後ろの席、帰りは右側一番後ろの席に座る。窓から自分の住む別荘地を見れる側に座る。


「あれ?」


いつもバスが急カーブで減速する時に見える別荘がある。誰も住んで居ないはずなのに、人影が見えた。


帰りのバスで健太は、今度は見間違いのないように、バスがゆっくり曲がる時、じっくりとその別荘をみつめた。異動するバスの中、顔だけがじっと別荘を向くぐらい。


「やっぱり、誰かがいる。」そう呟く健太。


霧渓別荘前を降り、自宅への上り砂利道を100m上がると分かれ道がある。上れば自宅だが、右へ軽く下るとバスからみた別荘の方へと続く。


分かれ道で止まる。しばらして健太は、自宅へ走って帰った。


自宅へ帰った健太は両親に誰かが住んでると言い。

両親は管理会社の人だろうと言って相手にしなかった。


次の日、次の日とその別荘をバスから見つめる健太。


ある日、別荘の窓が空いていた。見ずらかった窓から、女の子が見えた。健太と同じ年頃の女の子だ。


「やっぱり、人住んでんじゃん。」


帰りに健太は分かれ道を下っていった。200m程歩くと見えて来る。ここらには、健太と同じぐらいの子供は居ない。健太の両親とまだ学校へ通わない幼児のいる家庭が数件あるだけだった。


こっそりと、その家を伺う健太。5分程ぐらい見たが人の気配はしない。少しづつ近づく。別荘をぐるりと回ろうといつも見える窓に来た。すると。


「誰?」声が聞こえた。


「ご、ごめんなさい。ぼ、僕、この上に住んでいる田中健太といいます。」


開いている窓から、顔を見せたのは、白いワンピース姿で長い髪を水色の髪留めで束ねた清楚と言う言葉が似合う。同い年の女の子だった。



「・・・私も田中・・・良子です。」


お互いクスっと笑った。


よくある名前だが、寂しい田舎では田中も多くはなかったため、2人は何だか親近感を覚えすぐに仲良くなった。


ただ、女の子良子は、健太に一つのお願いをしていた。


「今はまだ、誰にも ここに住んでいるって言わないで欲しいの。」


「なんで?」


「あまり、言いたくないけど、うち借金取りに追われて逃げてるの。それでお父さんの知り合いの人にお世話になっていて。今、ここに隠れているの。」


「そうなんだ。うん。わかった。絶対に言わない。」


それから、健太は行きのバスで良子に手を振り、帰りに良子の部屋の外で話をした。


数日がたち、健太の両親は帰りが遅い事を心配して健太に問いただした。


「普通に、森を探検してるだけだよ。お父さんだって言うじゃないか。もっと自然と遊びなさいって。」と何とかごまかした。ただ、一度帰って来てから行動しなさいとの約束になった。


ある日、良子が隠れ住む別荘に見慣れない車が止まっていた。

「借金取り?」様子を伺う健太。「見つかっていないかな?」


「僕、何してるの?」後ろから声がした。


びっくりして振り返る健太。・・・その目に映ったのは、警察官だった。


「このあたりに住んでいるのかな? 誰か見た?」


首を横に振り、逃げるように家の方向へ走り出した。


「ちょ、ちょっと僕。」


夜になると、別荘地は慌ただしくなっていた。


健太の家にも警察が来ていた.。


「では、まったく田中・・・失礼。この父親を見かけていないのですね。」


「私と妻は まったく。ただ息子が以前人影を見たと言ってましたが、管理会社の人かと思っていたもので。」


「そうですか。少し息子さんとお話できますか?」


「健太。ちょっと来て。」


呼ばれた健太は、最初は黙っていたが、親の説得で警察に初めてバスから人影を見たに日のことから、良子のこと、父親は見てないこと、そして、今日警察に声をかけられたこと全てを話した.。


「とても参考になったよ。ありがとう。」そう言うと刑事とらしき人は帰っていった。




車に戻って助手席に乗り込む刑事が溜息をついた。


「やっぱり、田中 潜伏してたようですね。・・・どうしました。警部補」


「刑事になっていろんな事情聴取してきたが今回のはどうしたものか。」


「いかがされたのです。まさか、容疑者の有力な手がかりでも?」


「いや、なんでもない。検問所のほうはどうだ。」






「ママ。さっき警察が来たニュースがでてるよ。」そう言って健太の父親は母親に見せた。

「うわ、いやだ最悪。」と母親は怪訝な顔をした。






ニュースの内容は、生活苦と介護苦の挙句、一家心中を試みた田中健太容疑者。妻 良子の首をビニール紐で絞め殺害。それを見てしまった長女はすぐに弟を連れ逃げ出し近くの交番へと逃げ込む。アパートへ向かった警察官達だったが、容疑者の姿はなかった。妻 良子と出会った場所の霧渓村が浮上し、バスの運転手から不信人物が別荘に住んでるとの通報をうけた。だが、やはり容疑者田中健太の姿はなかった。長女が警察に見せた父親の写真は、軽く笑う父と、横向きではあるが、白いシャツと長い髪を水色の髪留めの女性が写っていた。





バスで通う健太は一番後ろの自分の住む別荘地が見える窓側に座る。

水色の髪留めを握りしめて。




読んで頂き誠にありがとうございます。


今日のTwitterトレンド『不法侵入』です。


子供の頃って…


それにしても、ラスト悩んだ~

本気の幽霊もので妄想してたけど、書いてるうちに変わってくるんだもんな~w


面白いな。



それでは、またお会いいたしましょう。(._.)ペッコ

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