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コント「Sherlock」for ゲラゲラコンテスト2

作者: 早寝

コント「Sherlock」

(ゲラゲラコンテスト2応募作品)



a(男/ツッコミ)板付き。ベットの上で上体は起こしてぼんやりとしている。入院中の服。


明転


数秒して、b(女/ボケ)登場。少し大きめのカバンを持っている。


b (ノック)


a「…どうぞ」


b「(駆け寄って)あー〇〇くん!よかったー!ほんとに心配したんだよ、事故に遭ったって聞いて。」


a「えっと……あなたは…?」


b「ショックだなぁ。私のことまで忘れちゃうなんて」


a「ごめんなさい。何も覚えてないんです。」


b「冗談だって。病院の人から聞いてたけど、本当だったんだね、記憶喪失になっちゃったって。」


a「はい。体の怪我はもうほとんど治ったんですけど、」


b「よかった…!」


a「記憶の方は今のところ全然ダメで。」


b「よかった…!」


a「え?」


b「なるほどねーーはいはい、(嬉しげ)」


a「えっと…?」


b「いいんじゃないですかー?(一度手を叩き、バッグからたくさんの本を取り出し始める)」


a「え、なに、どういう感情?何持ってきてんの?怖い怖い!」


b「まだ全然記憶戻ってないんだよね?いやーよかったよかった!」


a「怖いよこの人!」


b「おめでとう!」


a「何がですか」


b「〇〇くんは昔からシャーロック•ホームズが大好きでね、一度記憶を消してトリックを忘れた状態でもう一度読みたいくらい好きだって言ってたんだよ。私覚えてるんだ。」


a「すーごい皮肉!」


b「だからね、ほら!記憶喪失になった今となっては推理小説のトリックなんて何一つ覚えてないでしょ?念願の状態じゃない!」


a「そうだけど、そうじゃないんだよなぁ」


b「私、〇〇くんが事故に遭ったって知って、これはチャンスだと思ってすぐに本屋に走ったんだから!」


a「病院に走ってくれよ!あと不幸中の幸いをストレートな幸いと捉えられるのすごい複雑だよ!」


b「ひどい…!〇〇くんのことをおもって買ってきたのに……」


a「あーごめんごめん。読むから!ありがたく読ませてもらいますから」


b「ほら!早速読んで!(1冊差し出す)」


a「今!?いや、せっかく来てくれてるんだから読書は後でいいですよ」


b「いいからいいから!私のことは気にしないで好きに過ごしてよ。」


a「そうですか……」


b「(黙って本を強く差し出す)」


a「意地でも読ませようとしてるじゃん。わかりましたよ、読みますよ(受け取る)」


a「えーっと、まずは、『まだらの紐』ね。(ページを繰りながら)うわ、嘘でしょ、もう面白いんだけど!えーこれどうなってるの?待って、もしかして……?」


b「そうそう、〇〇くんとこの本の話をしたのはちょうど3年前の夏で…」


a「ちょっと!やめてくださいよ!!」


b「え?」


a「そんな思い出話なんかしたら……記憶戻っちゃうでしょうが!!」


b「………記憶戻したいんでしょうが?」


a「犯人わかっちゃうでしょうが!今となっては戻したくなくなりましたよ!悔しいけどね!」


b「何だこいつ」


a「でもあなたから思い出を刺激されなくてもシャーロックに記憶を戻されそうなんですけど!もうどことなく懐かしい気がしてるし!」


b「なんでちょっとキレてるんだよ」


a「すごい、ページをめくる度どんどん記憶が戻ってくる……あーもうトリック思い出しちゃったよ!これの正体が実は…ってやつでしょ(後ろの方のページを開く)はいビンゴー!」


b「うわ、一番やっちゃダメなことしてる」


a「どんどんいきますよー。(1冊ずつ本を手に取りながら)これは……密室と見せかけて裏部屋があるやつ。これは…犯人が一人じゃないやつ。これは実は生きてるやつ。もう題名見ただけで思い出しちゃったよ!」


b「シャーロックへの思い入れが深すぎて新鮮なシャーロックを楽しめないのちょっと可哀相だな」


a「あれ、それ以外の記憶も蘇ってきた…………」


b「え、それじゃあ私のことも……」


a「そうだ、全部思い出した!大切な彼女△△のことも、△△との思い出も全部…!」


b「よかった…!」


a「(bの方を見て)え………△△…じゃない……。

  あなた、一体誰なんですか?」






暗転







明転



b「見事にミスリードしたわね。私彼女だなんて一回も名乗ってないでしょ。」


a「何だって…!?」


b「いつもの姿の方がわかりやすいかな?(メガネをかける)」


a「あ!図書館の司書さん!」


b「〇〇くん、私からお見舞いの"叙述トリック"よ」


a「司書さん……!」


暗転

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― 新着の感想 ―
[良い点] 余韻が残る感じの終わり方、とても好きです…! 「小説家になろう」の一作品としても違和感がないですね。
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