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言葉を重ねるしかないんだ(一日一詩(あくまで目標)

新宿の駅前を歩いた。

22時の新宿駅前、馬鹿みたいな量の人混み

愉快な音楽が流れているけれど


この時間帯に相応しいのかはわからない

この時間をまだ深夜と呼んでいいのかもわからない


イルミネーションちかちか

誰か見てるやつなんているの?


それでも暗かったら困るんだよね

明るくして騒がしくして、虫みたいに人を寄せている


すれ違う人たちが話すのは

なにか空っぽな中身のない話ばかり


そりゃそうだ、こんなところで

実のある話をするやつなんてコミュ障だ


誰もそんなもの求めてないのだから

おサムいって冷たい目で見られる前に


ああ、ああ


壊れた

壊れてしまった


夢くらい見たかったと、嘆く予定なんだろう

みんなの持ってるびっしりのスケジュール帳の最後に書いてんだ


美しいものの裏側は

すべてネットで暴き立てられ


正義感で人はひとつずつ

生きる理由をなくしていく


よいことばかり書かれたプロフ

まるで書き割りの月だね


壊れた

壊れた

壊れてしまった


どうしてこんなところを歩いているんだ

端に寄ることもできないで、そう、でも、そのまま


人混みの流れに逆らわなければすいすい歩けるのね

おや、あそこのいかがわしい店潰れたね


「この街っぽい」ふりをした新しい店が

10年前からここでやってますみたいな顔してる


ぽさ、ぽさね、そんなものを、追い求めて、

デフラグしてるつもりなんでしょうけれど


テトリスで長い棒をずっと待つより

爆破するアイテムをつくっちゃう感じよ


将来の夢なんて語るとダサいって言われるから黙ってる

誰にも言わずに叶えた夢は祝福されずに

「裏切り者」だと後ろ指さされて終わりの未来が見えて


ネガティブな気持ちを口に出せばダサいって言われるから黙ってる

誰にも本音を話さないで、そっと心の蓋を閉めておく

「何でも話せる間柄」って名札だけつけた友達と笑ってる


23時の新宿駅前、馬鹿みたいな量の人混み

眠らない街と呼ばれていたのはここだったかしら


お店で買い物してるのは日本人でない人ばかりよ

そうでなくてもこの街に住んでる人はこの人混みの中にはほとんどいなくて


借り物の装飾で

借り物の思想で

借り物の概念で


「本物志向」って看板だけぶら下げて

裸で歩くのなんて犯罪だから、誰も脱がしてきやしないわ


そんなふうにして

キラキラしていればいいじゃない


解像度ぐっと下げてよ

綺麗じゃないものは目に入らないようにして


「そうしていたい」人が集まっていることを知っている

お約束ごとをね、まるで仮面舞踏会みたいにね


ただ、ただ

壊れてしまった目には

死体の群れと変わらなく見えるだけ


自分も含めて、と、溢れる内臓を笑いながらね




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