episode7~蓮~
「結ちゃん、結ちゃんの中にはもう1人誰かがいるよ。」
アスネさんの言葉が耳を通してしっかり入ってきた。
それと同時に頭が真っ白になっていくことが分かった。
その言葉の"意味"が分からなかった。
それになぜアスネさんがそれ知っているのかも。
まず私の中にもう1人誰かがいるというのは実際にどういう事なのか。
私は二重人格と言うことなのか。
それとも、また別の誰かが私の中にいるのか。
後者だとしたら幽霊か何かが私の中にいることになるが……
『ありえない』と頭の中で思うのだが、今のこの世界だったらありえるのかもしれない。
なんせ魔法使いと異能者がいるのだからありえないことも起きてしまうのではないかと考えた。
この世界に少しの間しかいないのにこんな風に思考を回すとは、我ながら関心する。
ずっと床の一点を見つめながら考えいたら吸い込まれそうで少し怖くなった。
そして、その事を察したのかは分からないがアスネさんの優しい声が聞こえた。
「結ちゃん大丈夫?」
この人はいつも私を心配してくれる。
この人の優しい声と目で何もかも不安なことなんて溶けてなくなって、不安が安心に変わる。
そんなこと誰もができるわけじゃないと思った。
この人だからこそできるんだろうな。
ふと笑がこぼれることが自分でもわかった。
「大丈夫ですよ。少し混乱していただけです。
話の続き聞かせてくれますか?」
柔らかい笑顔でアスネさんに問いかけるとさっきの心配した顔はどこかに忘れてきたかのような笑顔で「もちろん!」と答えてくれた。
「じゃ本題に入るね!」
私の目をしっかり見つめ明るい声でそう言う。
これから重い話をするはずなのにどうしてか楽しい話をするなような気がしてならない。
「結ちゃんは私が悲鳴をあげているのは覚えてる?」
平然とアスネさんは言うが私にはとても平然としてられなかった。
あの時私は何も出来ずただそこにいる物だったかのようだった。
思い出したら頭の中で響き体が身震いするぐらいだった。
何かが私に恐怖を植え付けているみたいに。
「はい、覚えています。」
そう答えた。
「あの時助けられなくてごめんなさい」と
謝罪もしたかったがあの時私とアスネさんは強くなるって約束したから。
この謝罪は意味をなさないと思った。
それに謝罪をしたところでアスネさんは許してくれるんだろうなと思った。
その優しさが少し怖かったのもまた事実。
だからこれからは自分を変えていく。
そう心の中で密かに決心した。
「じゃ私が悲鳴を上げた後の事って覚えてる?」
と今度は少し真剣な顔で聞かれた。
その言葉で何が掘り起こされた気分になった。
そう言えば私アスネさんの悲鳴を聞いてその後
そして、私はひとつのことを思い出しアスネさんに伝えた。
「声が聞こえました!」
「声?」
「そうです!私の声だっんですけど、でも口調は私とはかけ離れていて」
そう説明するとアスネさんは食いついてきた。
「なんて言われたの?」
なんて言われたか......
「曖昧ですけど、私に代われ的なことを言われたと思うんです。実際に代わったのか分かりませんけどその言葉を言われた瞬間記憶がないことは事実です。」
アスネさんは何かを思い出すように考えていた。
その間は沈黙。
でも、その沈黙が私たちを許す。
「多分その人が結ちゃんのもう一人なのかも。」
沈黙だった中アスネさんが話し始める。
「私その人を見てると思う。すごい偉そうな喋り方だった思うんだ。」
アスネさんもあまり覚えていないのかな?
実際に確信を持てないような喋り方をしているし。
「それでちょっと覚えてるのがその人異能力を使ったと思うんだよね。」
異能力を使っていた?
「なんで分かるんですか?」
アスネさんにそう尋ねると確信をつくような返事が返ってくる。
「その人が何かを言った途端私も悲鳴を上げなくなったから。」
何かを言った途端?その"何か"ってなんだろう。
謎が深まるな。
いや、まてじゃなんであの時出なかったんだ。
急に疑問に思うことがひとつあったのでアスネさんに投げかけた。
「もし、その人が異能力者だったとしたら、私が異能力者か魔法使いか調べる時なんで判定が出なかったんですか?」
そう私は確かにどちらでもないとアスネさんに言われたはず。
なのに、どうしてその判定が出なかったのか。
「多分それはその人の力だからかな。
それか......その力が強大だからって言う可能性もある。」
その人の力だったら納得はいく。
でも、強大な力?
また分からないことが一気に増えた。
頭の中では整理がつけられない。
それに追いついていない。
視界が歪む。
足がふらつく。
あ、ダメだ。
私の視界にはアスネさんの心配な顔が写った。
アスネさんの声も遠くなる。
そのまま私は気を失った。
深まるとか言っといて全然深まってませんね。
本当にもし分けない。
あと、更新サボっていて申し訳ございませんでした!