episode5~ハナズオウ~
客人が言う街についた。
でも、私はその光景を見て驚く。
建物はもう崩壊している。
人がまだ倒れていた。
まさに地獄絵図だった。
「まず人の避難が先だね。倒れてる人は私とカランの力で運ぶから。結ちゃんは施設にいる患者さんのところに行って手伝いしてきて。」
的確な指示をだしてくれる。
「はい!」
私は少し顔が強ばっていたのだろうかよく分からないけど、アスネさんは私の方を向きこう言ってくれた。
「心配しなくても大丈夫。手伝い頼んだよ。」
なんだろう。
この人の声を聞いていると、心が暖かくなる。
しっかり頼まれた仕事をこなさなきゃ。
「それではアスネさんも頑張ってください。
施設で待ってます。」
優しい顔をした。ふわりと笑ってくれた。
「ありがとう!行ってきます!」
何年ぶりだろ行ってきますなんて言われたのは。
「行ってらっしゃい!」
そう言って私は客人の案内で施設についた。
施設には多くの怪我人がいた。
軽い傷なんてもんじゃない。
死亡者も出るのが納得がいく。
「怪我をしてる人達の手当お願いできますか?」
客人がそう言った。
手当出来るかどうか分からないけど。
今はそんな状況でもなさそうだし。
やるしかない。
「はい」
私は一人一人怪我してる人に手当をしていく。
私もよく怪我をさせられていたからか手当がすんなり出来た。
こんなところであの人に怪我をさせられていたことが役に立つのは本望ではないけど。
そんなこと思いながらも怪我人に消毒をし包帯を巻く。
そしたら、後から声がした。
「よいしょ!」
アスネさんだった。
でも、見て驚いた。
人が宙に浮いている。
アスネさん魔法を使って人を浮かせて避難させたんだ。
みんな度肝を抜いている。
こんなん見せられたら普通に頭が混乱する。
「アスネさん大丈夫でしたか?」
魔法を使ったってことは契約も関わってくるから心配する。
でも、アスネさんは頭にクエスチョンマークを浮かべながら頭を傾げる。
この人は天然なのか。
真面目な顔をしたり、無邪気な子供の顔をしたり…分からない人だ。本当に。
「建物とかもちょっと直さなきゃな!行ってこよー!」
猪突猛進だ。
こんな行動力私にはない。
あれ…少し不思議に思った。
敵はどこにいるんだ。
隠れてる?見計らっている?
待て、敵の目的は街の崩壊か?
違う。
なんでなんで気づかなかった!
私はアスネさんの後を追った。
私の推測が正しかったらアスネさんが危ない。
私は必死に走った。
「アスネさん!」
アスネさんはこっちを向いた。
「結ちゃん、来たらダメだっていっ....」
私はアスネの服を掴んで慌ててこう言った。
「アスネさん!逃げましょ!早くここから離れないと!あぶ…」
危ないと言い終わる前に爆発した。
敵だ。遅かった。
「結ちゃん大丈夫!?」
少し意識が朦朧とするけど今はそんなどころじゃない。
「アスネさん…上」
そう上には敵がいた。
アスネさんは上を向いた。
「あなたがこの街を崩壊させた人?」
声のトーンが下がっていた。
怒ってる。
敵は不敵な笑みを浮かべてこう言った。
「あんたが魔法使いのアスネ?」
アスネさんはそうだけどとだけ言った。
その敵は獲物を見つけたのように話し出した。
「そっかそっかー!よかった!私は異能者のクユリ!魔法使いのあなたを殺したいと思ってあの子に呼んで貰ったの!」
やっぱり客人も敵、いや操られてた。
変だと思った。この状況であの子だけ抜け出せない。もっと早くに気づいていたら。
「じゃ早速!」
そう言い異能者は弓矢を持ちそれをアスネさんに向けて放とうとする。
「カラン!!」
そう言うとカランがて出来てアスネさんを守る。
私はアスネさんに庇われてる。
何も出来ない。何も出来ない。
「わぁー!すごいすごい!あなたもすごいけど使い魔もやるねー!じゃ」
そこから姿を消した異能者。
「これは無理だよね?」
私の真後ろで声がした。
あぁアスネさんじゃなくてよかった。
何も出来ない私で良かった。
「うぅっ…」
え?
アスネさんが苦しそうにしてる。
一瞬分からなかった。
でも、この人は優しい人だから…
「アスネさん!アスネさん!」
ダメだ。届いてない。
「魔法使いさんこの子を殺しなさい。」
冷たい声でそう言い放った異能者。
アスネさんはどんどん近寄ってくる。
いやだ。アスネさんに殺されるなんて。
「アスネさん!」
足を止めるアスネさん。
「結ちゃん、逃げて」
少し苦しそうに、でも笑顔でそう言うアスネさん。
何でそんな
「あぁー、何命令無視してんの、まぁいいや」
突然冷たくそう言った異能者。
"命令に逆らうと地獄の苦しみ"
それを思い出した。
その後、アスネさんは悲鳴をあげ苦しみ出した。
「アスネさん!しっかりしてください!」
アスネさんの悲鳴が頭の中に響く。
どうしたらいい。
私は何も出来ない。
『お前の力では何も出来ない。代われ私に。』
頭で知らない、ううん。知ってる。
口調は全然違うけど。この声私だ。
『お前にはまだ無理だ。無力すぎる。私がやる。』
どんどん支配されていく。
私だけど、私じゃない。
私はそこで記憶を失くした。
さぁちょっと主人公の正体が明らかになって来ましたね。
凄くいいところで終わらせる作者。
そういう作者なんです。笑
次の話では主人公のなかのもう1人の目線で書いてみようかなって思っています!