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お母さん! リズの力! 凄い!

「ねえ! レミー! あいつ死んだかな? 死んだよね... ...」


「... ...」


 何やらミーレとレミーの声が聞こえる。

 目を開けると俺の目の前は炎に包まれていた。

 だが、何故だろう? 熱いとか痛いとか全く感じない。

 

『そりゃあ、あたしがあんたに防壁魔法をかけてやってるからね』


 心の中で再び、リズの声が。


「おう。そうか。魔法ってやっぱり便利だな」


 そして、俺は後ろにいたホワイトやホワイトの兄の事が気になり、振り向くと二人にもリズは防壁魔法をかけている気の回しよう。

 流石、俺の心の中が読めるだけある... ...。と感心してしまった。


『魔法はいいぞ。あんたもこれを機会に勉強しなさいや。あんた、意外と良い魔女になるよ』


「国で五本の指に入る程の実力者にそう言われると調子に乗っちゃうな~。まあ、考えておくよ。... ...じゃあ、そろそろ」


 俺がそう言うと目の前に広がっていた炎はまるでダイナマイトの爆風で消化したように一瞬で鎮火。

 自分達の魔法を受けて生身の人間が立っているなんて想像もしていなかったのだろう。

 ミーレとレミーは驚いた様子で。


「あ・あんた! 何で立っていられる!? それにあたし達の魔法を打ち消しただと!?」


「... ...」


 ミーレが雑魚キャラのようにいつも通りの甲高い声でワーワー言っているのに対してレミーは驚きを隠しつつ沈黙を保ち何かを感じたのか小さな声でポツリと「... ...リズ?」と呟く。

 リズという名前。

 それはミーレも忘れるはずのない懐かしい響き。

 長年暗黙の了解でその名前を口にするのは避けていたのかどうかは分からないがその名を何百年ぶりにミーレは耳にして当時の記憶を思い出したのか俺が見た幼かった頃の表情を見せ、レミーを見やる。


 それを見て、心の中にいるリズが俺に「あの馬鹿な娘達に伝えてくれ」と言葉を発する。


「... ...。おい! リズからの伝言だ! 『久しぶりだね。ミーレ、レミー。あんた達の事を抱きしめてやりたいが先ずはあんたらに教育的指導をしてやらないといけないね』ってよ」


「... ...は? は!? はあ~!?」


 沈黙を続けていたレミーは鬼の形相を向けてくる。


「何? 恐いんだけど」


「ふざけるな! あたし達の心を弄んでそんなに楽しいか! あたかもリズの言葉を借りてあたし達に語りかけるな!」


「え... ...。本当にリズが言ってて... ...」


「知らない! そんなの! 殺す! 殺す! 殺す!」


 レミーの逆鱗に触れたのか顔を真っ赤にして怒りの感情を全身で表現。

 そして、問答無用で先程俺が受けた火球よりも大きな火の玉を俺に向けて放つ。


「えええ!? どうする!? どうする!?」


 俺は地団駄を踏みながら心の中にいるであろうリズに解決策を無心し。


『まあ、あれだ。あの火の玉を打ち消すイメージをしてみろ』


 何て適当なアドバイス!

 しかし、火の玉は目の前まで迫り、このままではまた丸焼けになってしまう恐れもある。

 俺は漫画やアニメで学んだように右手を火の玉の進行方向に重ね、強い風でそれを掻き消すイメージをした。


 すると、火の玉は先程のように目の前で消失。

 どうやら俺は魔法を使えたようだ。


『はあ... ...。中々、あんた本当に魔法のセンスあるよ。魔法に対する理解度や選択肢が多い』


 珍しくリズが褒めてくれ、平成生まれのゆとり世代である俺は褒めて伸ばして欲しいタイプなので気持ちが高揚した。

 ホワイトが言うように魔法力の強さ=魔法に対する選択肢の多さ

 という事は重要のようで恐らく現実世界でアニメや漫画などの創作物を見てきたことで魔法適性《理解する魔法の数》が高かったのだと考えられる。

 火球が迫ってくるという状況に対して俺は5つの選択肢の中から最も瞬時に発動出来、かつ、魔力マナの消費が少ないものを本能的に選んだ。

 前述したように現実世界での体験や今まで無駄だと言われていたことが功を奏したということ。

 

「ちょっと... ...。今の魔法... ...」


「うん... ...。確かにリズの魔力マナを感じたよ... ...」


 避けられる事は予想していたとしてもまさか、俺が魔法を使って打ち消すとは思ってもみなかったのだろう。

 二人の魔法少女達は目を見開き、動揺。


 俺は魔法を放った右手の手の平をその慌てる二人の魔法少女達に向け。


「あと少しの辛抱だ! 俺はお前らを救うぞ!」


 と声タカ高に宣言した。

 

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