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お母さん！　ただいま！　そして、サヨウナラ！

　______「現実世界　坂の上」______

　夏の日差しがやる気を奪う。じりじりと焼けたアスファルトの先は蜃気楼のように景色が歪んでいる。

　耳が痛くなるくらいに騒がしいセミの鳴き声。まぶしいくらいの太陽。

　ここは俺の知る景色だ。

「うおー！！！　戻れたぞ！　帰って来れた！」

　汗と涙で顔を濡らし、その場でガッツポーズ。

　... ...ああ、何故だか知らんが、戻ってこれた！

　長かった... ...。

　もう帰れないかと思い、現実世界に帰る方法すら考えていなかった。

　というか、良い案が思いつかなかったので考えることを止めていた。

　しかし、戻って来れた！

　異世界に飛ばされたときも突然だったが、現実世界に戻る際も突然だとは！

　... ...ああ、それよりも母ちゃんは大丈夫だろうか？

　心配していないだろうか？

　現実世界ではどれくらい時間が経っているのだろうか？

　俺は浦島太郎状態になってないだろうか？

　色々と不安はあるが足を一歩力強く踏み出した。

　一歩を踏み出した瞬間、後ろから声がし、振り返ると。

　魔法少女と魔法婆が見た事ある便所の詰まりを直す棒のようなものを天に掲げ、何やら呪文をぼそぼそと唱えている。

　... ...あれ？　これ、マズイんじゃない？

「del piello！！！」

「ちょっと待って！！！！　ま＿＿」

　再び光に包まれ、目を開けるとそこはゴーレム幼女様の家の前。

　滞在時間僅か４５秒。

　再び、異世界の住人となる。