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魔王で♂ですが、JKやってます。  作者: ドブロッキィ
第二部 学生満喫編
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第三十四話 屋台のモー○ 

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 ――――side リーベ




 ――勇者



 知識としては誰もが知る存在。漠然と人類最強の戦闘力、折れない心を持ち、勇気を以て正道を進むもの。私にとってはそう言う物語の中の英雄のような存在。しかし、今、目の前で繰り広げられる光景は、それが実在の物であると、私に訴えかけて来るかのようでした。


「ふえぇ……皆、すごいですぅ」


 思わず口から漏れたその言葉、それ以外に形容する言葉が見当たりませんでした。シーザー君が参戦してからのみんなの動きは、明らかに先程までのものとは違っていましたから。


 シーザー君は私の眼では追えない速度で火竜を斬りつけていく。あまりに早いから、私の眼には赤い風にしか見えないです……煩わしそうにシーザー君を追おうとする火竜だけど、ヴィゴーレ君とディアマンテ君が即座に攻撃を加えることで、火竜の意識を上手く散らせていて、火竜はシーザー君一人を攻撃することが出来ないみたい、普段は変な人達だけど、こういうところは素直に凄いと思うなぁ。ヴィゴーレ君の治癒術士の柏手(ヘイトソニックブーム)が響き、釣られて振り下ろされる火竜の爪を両腕で受け止める。流石に無傷とはいかないようだけど、ヴィゴーレ君の耐久力と治癒魔法の合わせ技で、火竜の一撃をきっちり受け止めている、凄いなあ、私はあんなこと多分一生出来ない……出来ない……よね?一瞬だけ私の脳裏に筋肉(治癒術士の真髄)という言葉が浮かんだけど全力で消去します。それより火竜ですぅ。

 一撃一撃を全力で放つことしか出来ない火竜の一撃は、その威力こそ強大だけど、そのせいで振り切った後はその動きを一瞬止めてしまうみたい。


強斬撃(フォルサスラッシュ)!」


滅龍真威斬(スラッシュ)!!」


 隙を逃さず着実にスキルを打ち込むディアマンテ君も凄い。シーザー君の動きに合わせるなんて、私にはどうすれば良いのか想像もつかないよ。あ、シーザーくんと一緒にここに来た剣術科のひと、たしかローガン君だったかな?彼も私と一緒で、この戦いに割り込むことが出来ないみたい、ふふ、仲間発見。


 シーザー君の強斬撃が火竜の鱗を引き裂き、その傷口をディアマンテ君のスキルが追撃で広げていく。いくら火竜でも鱗のない部分に斬撃を打たれると為す術がないみたい。


 ――あ、危ない、火竜が距離をとって息を吸い込んでる。


「皆、気をつけてぇ、ブレス来ますぅ!」


「大丈夫だよ!」


 火竜の異変に気が付き、思わず声をあげた私に、シーザーくんは振り向き笑みを見せてから、一瞬で火竜との間合いを詰めていきました。一瞬で目の前に来た人間に驚きの表情を見せた火竜は、慌てて口を開きブレスを吐こうとしてるけど、それよりも早く頭部を地面に叩きつけられてモガモガ動いてる。えぇ~、何が起きたの!?


「なんちゃって強縋斬撃(フォルサシュラーゲン)!きまったね」


 凄い嬉しそうな顔で、ぶっつけ本番だけど何とかなったー。とか言ってるけど強縋斬撃(フォルサシュラーゲン)って……たしか斧とか槌とかの打撃属性武器のスキル?幾らシーザー君でも刃物で撃てるものなの?あ、剣を横にして剣の腹で強縋斬撃(フォルサシュラーゲン)を撃ったみたい?本当に規格外だなあ、ディアマンテ君なんか顔がひきつってるよ。まるでオニキスお姉さまが戦っている姿を見てるみたいだなぁ。


 そこからはもう一方的でした~、みるみる動きを鈍らせていく火竜は、もうシーザー君どころかディアマンテ君たちの攻撃を避けることも出来なくなって来て。


「よし、僕がもう一発強縋斬撃(フォルサシュラーゲン)で隙を作る。ローガン君、火竜がのけぞったら思いっきり首に斬撃(スラッシュ)を叩き込んで!!」


「は、はい!」


 ……なんで止めをローガン君に譲ってるんだろう?あ、シーザー君は3位狙いなんだっけ……余裕があるなあ、きっとオニキスお姉さまやシャマちゃん達とずっと一緒に居るには、シーザー君みたいな強さが必要なんだろうなあ。私も頑張らないと。筋肉(治癒術士の真髄)以外で……。


 ――なんて事を考えていたらいつの間にか火竜が倒されてローガン君とシーザー君がハイタッチしてる。


 ふええぇ~、もうだめかと思ったけど何とかなりましたねぇ~。安心しました。


「お疲れ様!シーザー君は流石ですねぇ」


「はは、皆のサポートがあってこそだよ、僕一人だったらちょっと火竜退治は厳しいと思うよ」


「いやぁ~、流石に僕もへとへとさぁ~、ヴィゴーレ君は余裕そうだねぇ。流石の筋肉かなぁ?」


「……いや、俺もギリギリだった、もう魔力も体力も限界に近い、平気そうに見えるならそれは筋肉(治癒術士の真髄)のお陰だな……」


「ふええぇぇ……」


「何はともあれ、先に進もう、僕はちょっと休憩してから行くのでお先にどう……え……?」


「ふえっ!?」


「!!」





 ――――――






「シャマさん、シャマさん、見てください!烏賊焼きですよ!烏賊が丸ごと網焼きにされてます!醤油の匂いが殺しにかかってますね!」


「おとーさん、シルエラも見たい!抱っこ!!」


 賑わう聖学祭の中でも魔狩祭についで人気のスポット、屋台エリア。喧騒に包まれたエリアに休憩中のオニキスたちの姿があった。


 誰も彼もが祭りを楽しむ喧々たる声で溢れた屋台エリアであったが、オニキス達が歩けばそのざわめきは全く違うものに変化する。長く艷やかな黒髪を風に流し、楽しげに可憐な笑みを浮かべ、清楚な見た目と裏腹に両手に持ちきれない程のお菓子を持つメイド服の少女。神々の祝福を一身に受けて形作られたかの如き美貌は、最早芸術品と呼べる程の物であり、彼女のはしゃぐ姿を見ればどんな朴念仁も、同性(?)である女性達ですら、オニキスに見惚れ足を止めてしまう。


 更にその後ろからは、オニキスをそのまま若返らせたかのような美幼女のシルエラが、同じく両手にお菓子を抱えてちょこちょこと付いていく。彼女(?)達が歩けば人垣が割れ、まるで聖典にある海を割った聖者の伝説を再現したかの様な状態になっていた。が、当の本人である黒メイドは食べ物に目が眩んでいる為、その異様な状況には全く気がついていない。


「オニキスちゃん、シルエラちゃん、まずはその両手に持ったりんご飴と綿菓子を食べ終わってから次を買うんですよ」


「「はーい」」


 オニキスは器用にシルエラを魔力で浮かせ、肩車をしてやると、シルエラは大興奮で烏賊焼き屋台を眺め、感嘆の声を上げる。


「ふぉぉぉ~、おとーさん!烏賊が、烏賊が動いてる!!生きてるの!?」


「あれは焼けた皮が縮んで動くから、生きてるように見えているだけですよー」


 目をキラキラさせながらお菓子を頬張る二人、屋台の親父は絶世の美少女と美幼女に見つめられ、非常にやりにくそうにしながらも、黙々と烏賊を焼き上げていく。やがて火が通り始めた烏賊の表面から汁が滴り、赤く熱せられた炭に落ち、シュワッと言う音を立てて煙を上げる。


 音がするたび立ち上る香ばしい香りは、オニキスの心を惹きつけて離さない。


「見なさいシルエラ、あの煙が炭焼きの味の決め手なんですよ、あの煙が食材を燻煙を当てる事によって、烏賊焼きと言う料理は芸術になるのです。つまり調味料だけでなく、あの立ち上る煙そのものが旨味のようなものなんですよ、美味しそうですね~」


「ほぉぉぉ~」


 解っているのか解っていないのか、とにかく感嘆の声を上げるシルエラ、屋台の親父は照れくさそうだ。やがて表面に焼き目が付き始めると親父は醤油壺を取り出し、ハケでそれを塗っていく。バチバチと先程までより強い音と香りが立ち上り、オニキスの鼻孔を刺激する。シルエラなどは、オニキスの頭によだれを垂らしそうな勢いで烏賊焼きを見つめている。


「シャマさん、シャマさぁん、食べ終わりました!烏賊焼き、はやく私に烏賊焼きを買ってください~」


「おかーさん、シルエラにもください~」


「むぐぐ……」


「!?」


 ものすごい勢いでわたあめとりんごあめを食べ終え、シャマの方を振り向いたオニキスの表情は、シャマが手にした物を目にして石のように固まる。


「……シャマさん……それは一体?」


「焼きハマグリと焼きサザエ、それに焼海老の海鮮焼き物セットですよ?」


「海鮮……焼きセット……ですと……シャ、シャマさん私にもそれを……」


「ダメですよー、お買い物は同じ回数にしようって決めたじゃないですか。そうしないとオニキスちゃんは際限なく買っちゃいますからね。烏賊焼きか海鮮セットか、とりあえずどちらかに決めてくださいね?」


「ぐぬぬ……焼くのを見るだけで、ずっとおあずけ状態だった烏賊焼きを食べたいけど……食べたいけれど……海鮮セットのほうがお得感が……む、烏賊焼きの方……何をなさってるんですか?」


 お得感に目がくらみ、海鮮焼き屋台へ向かおうとするオニキスの目に飛び込んできたのは、両手につぶ貝串とウニを持った烏賊焼き屋の男の姿だった。


「……同じ海鮮焼き屋台として、客を取られるわけにはいかねえからな。こっちも烏賊焼き特別セットを用意したまでだぜ……」


「!?」


 ――フェガリ国、王付き従者長は後にこう語る。


『嘗て、いかなる国難を迎えたときでも、あれほど狼狽する主の姿をシャマは見たことがないです……』


 この世の終わり、絶望の極み、青ざめ、唇を震わせ、奥歯を鳴らすオニキスの姿がそこにあった。肩の上ではシルエラも同じ表情を浮かべている。……この二人は本当に血縁者なのではないかと思ってしまう光景だった。


「ど、どうすれば……どうすれば……」


「あうあうあうあう……」


 二人別々のものを買ってはんぶんこするという発想はないのかと、呆れたシャマが提案をしようとしたその時……。


 キ゜ッ


 ガラスの砕けるような高い音がシャマの耳に響く。


「ッ!!」


「――シャマ、今の音は!?」


 珍しく焦った表情を浮かべたシャマに、オニキスも先程までの雰囲気が霧散した……。









 ――――side リーベ



 何が起こったのか一瞬私には理解できませんでした。火竜は倒れ、爽やかな笑みを浮かべこちらに向かってきたシーザー君。


 でも……


「……え、あれ?」


 そのシーザー君の胸から……剣が生えていた。




主人公が居ないと話が重くなる系小説。


来週はプロバイダー変更の為ネット環境が一時的になくなってしまうので更新できないかもです。

6日以降は復帰しますです。


ブックマーク、点数入れてくださってありがとうございます。これを励みにこれからも頑張っていきます。

感想をいただけると大喜びいたしますです、はい。

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