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魔王で♂ですが、JKやってます。  作者: ドブロッキィ
第二部 学生満喫編
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第二十六話 聖学祭

すいません、投稿ちょっと遅れました。

63




 ――うだるような暑さの夏も過ぎ、少し肌寒い日も増えた秋の入り。聖サントアリオ学園はにわかに活気づいていた。


「サントアリオ文化祭、聖学祭(せいがくさい)……ですか?」


「そうですよ~、お姉さまご存じないのですか?」


 何時もと違う雰囲気に戸惑うオニキスに、リーベが説明をする。


「毎年秋のはじめに聖サントアリオ学園で催されるお祭りですよ、在学している生徒や、卒業生たちが模擬店や出し物をするんです。」


「ほほう、それは面白そうですね。リーベさんは参加したことがあるのですか?」


「もちろんですよ、私はこれを毎年楽しみにしているんです。模擬店や出し物ももちろん面白いんですけども、何よりも面白いのが午後から始まる魔狩祭(まがりさい)ですね~。」


 去年の聖学祭を思い出したのか、リーベの表情は楽しげであった。


「魔狩祭というのは奈落の洞1~5階層に潜って、そこで狩った魔物の数と質を競うお祭りでして~。在学生だけでなく一般の来客者も参加できる聖学祭の目玉イベントなんですよー。たまにお忍びの上位冒険者なんかも参加しますので盛り上がるんですね~。それを魔道具で撮影して皆で観戦するんです~。」


「うーん、態々お祭りの日にあんな薄暗いダンジョンにこもるのですか?」


「それが~、1位~3位の生徒には賞品がでますので~、割りと参加者も多くて面白いんですよぉ。」


「!?ほうほう、賞品ですか?聞き捨てならないですね。」


 先程まで興味なさげだったシャマが急に話に興味を持って割り込んできた。貴族の生まれで育ちもよく、王付きの側近をやっていたにもかかわらず、この欲深さはどういうことなのかとオニキスはこめかみを押さえる。


「一位は確か、王族御用達の鍛冶屋に武具を作ってもらえるんです~、流石に素材の指定とかは出来ないはずですけど、それでも王族の方々が使っているものと遜色ないものがいただけるはずですよ~。2位は書物ですね。これもかなり自由に欲しいものを選べたかと思います~。国家機密に関わるものとかでなければ、希少な魔導書とかも読めるはずですよ~。」


「ふむふむ。」


「うーん、興味ない賞品ですねぇ。なんかこう、意中の人の理性を取り払って肉欲の獣にする中毒性のある香とかはないものですか?」


「シャマちゃんそれ完全に犯罪だよ!?」


「それでリーベさん3位はどんな物が貰えるのですか?」


「えぇ-、オニキスちゃんまだ興味があるんです?1位と2位がこれじゃあ何の期待もないですよ。」


「3位はですね~。確か~サントアリオ王都で使えるお食事券ですねー。一度しか使えないですが、金額もお店も選び放題で~たしか4名まで使えるので、高級店で打ち上げできますよ~みたいな物だったと思います~。」


「!!!」


 ガタッ!と音を立て、オニキスが勢いよく立ち上がる。


「シャマさん、このお祭り……参加しますよ!!」


「えぇ、そんなお食事券なんかより、お祭り見ながら模擬店で美味しいもの買ってシャマとデートがてらに観戦しましょうよ~。」


「お黙りなさい!そんな怠惰なことでどうするんですか!私達は在学生として、学園の行事を盛り上げる義務があります。」


「じゃあ1位をねらうんです?」


「いいえ、それは違います。最近分かってきたのですが、私やシャマが扱う魔法は、学園生徒の中では少々強力すぎるかもしれません。ですので私達が全力で参加してしまっては、他の生徒の迷惑にもなりかねませんし、私は大会を荒らすつもりもありません!ただ、見に来てくださってる方々のためにも、あまり手を抜きすぎてはいけません……そうですね3位くらいを取れる活躍などが丁度いい。私、そう思うのです。」


「疚しい心の人間はよく舌が回りますね。」


「うぐっ!!」


「お姉さま、なんて奥ゆかしい……素敵です。」


「……ピンク、頭沸いてるんですか?」


 露骨にお食事券狙いのオニキス。王族生まれで育ちもよく、何不自由なく暮らしてきたはずなのに、主のこの食に対する異常な執着は一体何なのかとシャマはこめかみを押さえた。リーベにはこの食欲魔神が聖女のように見えているらしい。


「オニキスちゃんの前世は餓死した浮浪者ですね、まちがいないです……。」


「酷いっ!?ってうひゃ!?」


「オニキスちゃあああん、ここにいたんだねぇ。」


 いつものやり取りでオニキスが涙目になった時、後ろから青い影が覆いかぶさった。


「ひ、ひぇっ!リコスさん!?」


「捕まえたよぉ、もう離さないからねえ。」


「王子、とうとう頭がリコス(バカ)になってしまったんですか?」


「なんか不名誉な呼び方した?今!?」


 抗議の声をあげつつも、リコスは手慣れた所作でオニキスを抱きしめたままその身体を弄り始める。


「な、ちょ、リコスさん!?」


「うへへ、すべすべお肌で、思った以上にふにふにしているねぇ~。筋肉なんか無いみたいに柔らかい。」


「えぇ、筋肉が無いって……。」


 女性であるリコスからも筋肉のなさを指摘され、オトコとしての心が粉々になるオニキス。放心のあまり、その魔手が徐々に股間に伸びているのに気がついていない。


「うへへ、オニキスちゃんの女の子いただきまぁ~ギャァッ!!!」


「シャマの眼の前でいい度胸ですね王子……。」


「ちょ、シャマちゃ、あ、ダメ、ボクの手、聞いたこと無い音してるぅぅぅぅ……!?」


「ふえぇ!?」


 オニキスの股間に伸びていたリコスの手は、顔中に血管を浮き出させたシャマの手に掴まれ、今はペキペキとパスタが折れるような音を鳴らしている。


 リコスの悲鳴に正気を取り戻したオニキスは慌ててリコスを振り解くと、多少乱れた制服を正し、今置かれていた状況に恐怖する。


(あ、危なかった……流石に触られていたら私の人生終わってた……。)


「ちょ、待って。ボクはなにもオニキスちゃんを弄りに来たわけじゃないんだ。痛い、痛い、本当、信じてごめんなさい。あの、シャマちゃん?話聞いて?わぁぁぁ、すっごい、すっごい色してる、ねぇ!?」


「……。」


「無言は怖いからやめてぇぇぇ、本当に謝るからぁ~。オニキスちゃん助けて!!」


「……はっ!シャマさん止めてください。リコスさんの手が紫色の切り干し大根みたいになってますよ!リーベ、リコスさんの手を回復してあげて下さい。」


「は、はいぃ……!」


「……。」


「本当に無言はやめてえぇぇぇ。」




 ……――リコスの治療が終わり、シャマの頭も冷めてきた所で、改めてリコスが口を開く。



「ふぅ、ひどい目にあった、これリーベちゃん居なかったら大惨事だよね。」


「運が良かったですね王子、ピンクに感謝するですよ。次やったら頭握りつぶしますよ。」


「怖っ!?」


「そ、それで、リコスさんは何か用があって私を探していたんじゃないんですか?」


「そうそう、それだよオニキスちゃん。聖学祭だよ。聖学祭でボクの模擬店を手伝ってほしいんだよ。」


 そう言うとリコスは何やらゴソゴソと荷物を漁り、中からゴシックなデザインのメイド服を取り出した。


「聖学祭でボク等のお店は喫茶店をするんだけど、そこでこの衣装を着て接客をしてもらいたいんだ。可愛いだろう?この服。ボクとヴェスティでオニキスちゃんのためだけに作り上げた自慢の衣装なんだ!」


「ヴェスティ……。」


 ヴェスティ=クライドゥング


 嘗てシャマの用意したフリフリ魔法少女な衣装をフリフリゴスロリドレスに仕立て直した人物である。彼女自身は、無償でオニキスのためを想って服を仕立ててくれた好人物であり、その腕前も中々に学生とは思えないほど見事なものだった。しかし、彼女は|オニキスファンクラブ幹部《狂信者》であり、常にオニキスの女性らしさを引き立てようとチャンスを虎視眈々と狙っている人物でもあったので、オニキスとしては微妙に近づきたくない人物だと認識している。


 そんなヴェスティとリコスが手を組んで作った服……オニキスの背中を冷たいものが走った。


「リ、リコスさん。誘っていただいて申し訳ないのですが、私は魔狩祭に参加しようと思ってますので、申し訳ないですがこの話はご辞退させていただ「いいですよ。」シャマさん!?」


 自分の声を遮るように声をかぶせてきた従者を見る。先程まで自分を守ってくれた頼もしい従者は、いつの間にか手にしていたリコスの喫茶店衣装をオニキスにあわせ、興奮気味に息を荒げていた。


「ハァハァ、オニキスちゃんのメイド姿。素晴らしい、素晴らしいですよ王子!先程の無礼は今許されました。顔の皮を剥ぐのは勘弁してあげましょう!!」


「え、まだ許されてなかったのかい!?あとペナルティが重すぎだからね?」


「ふええええ、流石にそれは私でもなおせないよ~!?」


「とにかく!!」


 ビシっとオニキスを指差すシャマ。その表情に嫌な予感は膨らんでいく。


「オニキスちゃんは魔狩祭に出場不可です!!」


「嫌です!横暴ですよシャマさん!!私は3位に入らないとダメなんです。私には3位しかないんですよぉぉぉっ!!」


「安心してくださいオニキスちゃん、3位の賞品は……赤犬!居るのでしょう、出てきなさい!!」


「お呼びですかシャマネキ!オニキス姉さん、おはようございます。今日もお美しい!!!」


 シャマが指を鳴らすと、勇者候補筆頭の全速力を以て、忠犬シーザー=トライセンが現れた。爽やかな笑顔を振りまいているが、その行動の気持ち悪さにオニキスの顔が歪む。そして、再びシャマが指を鳴らすと、シーザーは気をつけの体勢を取り微動だにしなくなった。


「赤犬!お前の任務はなんだ?」


「サー、魔狩祭での3位入賞、サー!」


「良し、よく分かっているな。特別にそこにいる王子とファ○○していいぞ!!」


「サー、アリガトウ、サー!」


「嫌だよ!ていうかなんでシーザーそんなキャラになってるのさ!?」


 勝手に貞操を褒美にされそうになったリコスが慌てて怒鳴るが、そんな声にシーザーは一切反応を見せない。


「赤犬、返答を許可する!」


「サー、自分はシャマネキとオニキス姉さんに敗北した後、シャマネキの元で修行をしております、サー。故に教官の前では自分は教官の指示以外の行動は認められていないです、サー。」


「良し!」


「良しじゃありません!!」


「あいたッ!」


 自分の知らぬ間にすっかり洗脳されてしまった学友。その元凶をとりあえず叩く。


「シーザーさん!」


「サー、イエッサー!!」


「その変な喋り方を辞めて下さい。」


「分かりました。とりあえずオニキス姉さん。3位の賞品はボクに任せて下さい。」


 オニキスの言葉にあっさり元の口調にもどったシーザー。それを見たシャマが悲しそうにしているが、そんなものは無視をして話を進める。流石に学友を利用して賞品をかすめ取るなんてことをオニキスはしたくなかった。


「でも……。」


「魔狩祭は僕の修行にもなりますし、賞品には興味は無いですから大丈夫ですよ!」


「そうだよオニキスちゃん。シーザーは修行ができて大助かり、ボクはオニキスちゃんがあ手伝ってくれて大助かり!!これって一石二鳥ってやつだよね?ね?ね?」


「え、え、そうかな……?」


「大丈夫、ダイジョウブ、皆幸せ。シーザーも幸せ。ね、これは迷うまでもないよ。」


「わ、分かりました、喫茶店お受けします。」


「ふえぇ、お姉さま騙さむぐぅっ!」


 一連の騒ぎで混乱している間に畳み込まれ、皆が幸せになると言いくるめられたオニキスは、その場の勢いに押され、メイドとなることを承認してしまった。「ん、ん~?」と釈然としない状況に首をかしげるオニキスの後ろで、王子と従者と赤犬ががっちり握手を交わし、ポンコツ聖女が猿ぐつわをはめられていた……。





シャマがヒドイン過ぎて嫌われないかとヒヤヒヤします。前回はちょっとルビの新しいやり方覚えたのが嬉しすぎて、いろいろなものにルビを振りすぎました。反省しています。


ブックマークや点数をアリガトウございます。おかげさまで総合ポイントが500点を超えました。

500点超えた記念でツイッターアンケートを取った結果、まさかのマリア描くことになりました。


コミケ原稿終わったらマリア描きます。


感想やご指摘等いただけますとモチベーションとなりますのでなにとぞ、なにとぞ~。

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