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anithing+ /双子は推理する  作者: 淡島かりす
+Letter[手紙]
208/267

2-2.リコリーの手紙

親愛なるサリル


 手紙ありがとう。正直退屈していたんだ。

 母ちゃんは忙しいし、父ちゃんも取引とかでハリに行っちゃうし、アリトラは世話してくれるけど、感染したくないからって長くは留まらないし。

 まさかこの年になって、二十日熱にかかると思わなかったよ。この前乗った船に罹患者が乗っていたらしいんだ。でもアリトラはピンピンしてるんだよ。不公平じゃないかな。


 ハリに行きたかったけど、感染症だから仕方ないよね。来年まで我慢するよ。というか、繰り上がりでサリルが行けることになったんだから感謝してもいいんじゃないかな。

 冗談、冗談。最初に僕が選ばれたのが、そもそも不思議なぐらいだったからね。

 そっちで良い魔導書が見つかったら、買ってきてくれないかな。代金は後で払うから。出来れば防御魔法がいいな。僕、攻撃魔法は苦手なんだ。


 同封された写真を見たよ。美味しそうなホットサンドだね。中にハムとホウレン草が入っているのはわかったけど、赤いペーストは何かな? トマト……じゃなさそうだし。アリトラは豆だって言うけど、こんなに赤い豆なんてないよね?


 そうそう、この便せん可愛いでしょ。四隅に猫が書いてあるのが気に入って、随分前に買ったんだ。使い道がなくて困ってたけど、まさかこんなところで使えるとはね。封筒にも猫が沢山いるんだよ……って、これ読んだ時にはわかってるか。


 ところで療養中は暇だから、新しい通信魔法を考えてみたんだ。と言っても去年ぐらいに基礎理論は発表されている物の焼き直しだけどね。

 従来の通信魔法は音声を独自暗号に変換することで指定された地点に飛ばして、そこに用意された魔法陣で解析、再生する「音声通信」だけだったよね。


 今度は文章を送れるようになるんだよ。それぞれ同じ魔法陣を用意して、その上でマス目状の紙に手紙を書く。すると魔法陣がマス目ごとに文字を読み取って、暗号に変換するんだ。

 ハリからフィンは遠いけど、中継魔法陣をいくつか設置することで、ほとんど情報のロストがなく相手に届けることが可能になる。新しく作るのは面倒だから、アカデミーで設置している天候観測塔の魔法陣を少し間借りすることにした。


 アカデミーから発表された時点では「送信には送信者の魔力を使い、受信には受信者の魔力を使う」仕組みだったんだけど、そのまま使うのも芸がないから変更を加えたよ。

 送信時に使用した分の魔力をそのまま受信者が利用できるようにしたんだ。こうすると、受け取った魔力の分だけ返信が書けるし、更に自分の魔力を載せて送信出来る。余剰分については魔法陣に数日は蓄積出来るから、返信に時間がかかっても大丈夫ってわけ。


 詳しくは同封してある設計図を読んでくれる?

 こっちはもう魔法陣用意してあるから、サリルの方で同じのを作って、何か送ってみてよ。越境通信だから、機密事項は書かないでね。まぁ規格が最近だから傍受される危険はないけど。


L・セルバドス

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