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anithing+ /双子は推理する  作者: 淡島かりす
+Letter[手紙]
207/267

2-1.サリルの手紙

親愛なるリコリー


 そういえばこうして手紙を書くのは初めてですね。これが目上やあるいは異性であれば、もう少し気の利いた冒頭にするのですが、君なので構わないでしょう。


 君と別れてから二週間ほどになりますが、おかげでこちらはとても大変です。当然ですね、君が預かっていた仕事が私の方に来るのですから。こういう時に、君と同僚であったことを心から遺憾に思います。


 昨日、喫茶店でとても美味しいホットサンドを頂きました。新作だそうです。きっと君も気に入ることでしょう。セットで付いてきた珈琲だけはいただけません。あれは私の口には合わない。


 考えてみると、君とはずっと同じ学校で同じ教室で同じ職場だったわけですから、長期の休みなどを抜かせばこんなに離れているのも随分と珍しいことです。そもそも学院時代も休みとなれば図書室で顔を合わせていたのですから、やはりこの状況はとても奇異と言えるでしょう。


 変な感傷に浸っているなんて勘違いしないで下さい。書くことが少ないのです。手紙を書く以上は長く書かねばならない。当然のことです。

 何か面白い話題でも提供できれば良いのですが、今のところ君のせいで忙しいので、そんな暇もありません。まぁでも君の場合はアリトラから十分に構って貰えているでしょうから、必要ないかもしれませんね。


 そういえば、食事から戻る時にホースルさんに会いました。珍しいこともあるものです。

 君のことについて謝罪を頂きましたが、気にすることはないと答えておきました。私は君には多少の文句を言いますが、ホースルさんに謝られると恐縮してしまいます。あの人は良い人ですから。


 でも商人と言うのは大変ですね。取引のために色々なところに行く必要があるとかで、護身用の銃を探しているようでした。射撃は苦手との話でしたが、まぁ持っているだけでも一種の防衛にはなる筈です。


 最初の手紙でダラダラと書き連ねるのも君を閉口させそうですね。このあたりにしておきましょう。

 戻った時のことを楽しみにしています。


 追伸

 退院したからといって、無理をするのは辞めて下さいね。また熱が出ますよ。

 君は昔から病気がちなんですから、大人しく療養生活を楽しんでいてください。君の分まで私はハリの研修を謳歌します。


サリル・N・ヒンドスタ

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