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僕からはいいダシが出るようです  作者: 大穴山熊七郎
第二章 ドナテラ農園の人々
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人物紹介

第二章終了時の人物紹介です。もちろん二章までのネタバレ全開ですので、できれば二章読了後にお読みいただければと。

[主人公]コボネ


 ザンド大森林の土の中に眠っていた、骨だけの子供。

 姿形から、なんらかの獣人の子供だったのだろうと思われる。


 豚人邪術師グブードンに召喚され、言われるがままに動いていた。

 が、グブードンが倒れた後も動き続けていることから、ただの死者ではなく何らかの特殊な事情があるのではないかと思われる。


 身体の中には良質の「ノウォン」が無尽蔵に眠っていて、それを与えることで人を癒やすことができる。

 彼が危機的状況にあるとき、その力は爆発的に発揮されるらしい。

 彼のノウォンは再生能力も持っているらしく、怪物に囓られ右足首から先を失うが、二週間ちょっとで完全に再生した。

 包帯さんから贈られた「結界石」という桃色の結晶を、胸の中心に浮かべている。これが光るときは隠密の効果が生まれ、他人から気づかれにくくなる。また、ある程度寒さを防ぐ働きもしているらしい。


 最初の夜に「包帯さん」を結果的に助けたあと、遠くから呼ぶ謎の声にひかれて、北東の荒れ地へ向かうことになる。

 そこで地霊ルズラヴェルムに会い、自分が転生のノウォンを持ち、幾度も転生を繰り返してきたらしいことを知った。

 彼の前世は「ナドラバ」という岩人の子供で、その記憶を限定付きながら受け継いでいる。

 しかしまだ、自分が何者なのか、何をすればいいのかはわかっておらず、指針を求めてザグ=アイン山脈に住む大精霊長に会いにいこうとしている。


 内省的で根が優しい反面、状況に流されがちな性格。だが、時折、ひどく世慣れてシニカルな考え方が表に出て来ることがあり、自分でもやや不気味に思っている。

 完全に骨だけなので声を出すことはできないが、地霊ルズラヴェルムから教わった地の魔術で石板を呼び出し、それに字を書いて意思疎通することができるようになった。

 彼のノウォンは料理の味付けとしても有用らしいが、本人は食べることも飲むこともできない。

 骨だけのせいか体調を崩しやすく、何かというと寝込んでしまう。


 身体は人間の平均的な大人の胸よりやや下ぐらいで、体重は非常に軽い。

 普段は二本足で歩く。やや猫背。緊急時には四本足になりたがるので、そちらのほうが本来の姿勢なのだろうと思われる。


 マーユから「コボネ」と名付けられ、本人もそれなりに気に入っている。謎の監視者からは「骨の子」と呼ばれている。



[包帯さん](本名不明)


 ザンド大森林でひとり火を焚いていた謎の女性。最初に会ったヒロイン候補。

 年齢はおそらく十代後半。短く切った銀髪と、切れ長の目。瞳は琥珀色。体形は細め。

 自分のことを「ボク」と呼ぶ。


 どうやら「ウォート」に関係する者たちから追われているらしく、結界を張って森に隠れていた。

 主人公と最初に会った時には、手足が四本ともない芋虫状態だった。

 彼女の言葉によれば、ノウォンによって切り離された手足を動かしていて、ノウォンが欠乏すると置いてくるしかないのだという。 どんな事情でそんなことになったのかは、今のところ全くの謎である。


 初対面から主人公に好意的な態度を取り、気さくに会話をかわす。

 危機的状況にあっても冷静な態度を崩さない理知的な女性に見えるが、内実はけっこう大雑把な性格なのではないかと主人公は感じていた。

 

 主人公から、半ば無理やり奪うような形でノウォンを貰い復活、グブードンを倒し危機を乗り切った。

 そののち主人公に結界石を与え、再会を約して去っていった。

 第四章以降で再登場する予定。



[マーユ・ドナテラ]


 ヒロイン候補2。幼女。

 ドナテラ農園で両親と暮らす六歳。農園に入り込んで眠っていた主人公を発見し、一瞬でなついた。

 主人公の良質なノウォンを感じ取り「いいにおい」と表現する。

 のちのち主人公の名として広く知られることになる「コボネ」の命名者。

 小柄で細っこい。茶色の髪はウェーブしており肩の下まである。丸顔で笑うと大きなえくぼが出来る。

 

 身体に質の高いノウォンを持ち、また、早くも火の魔術を覚えるなど、その扱いにも天性の才を感じさせる。

 が、その代償として幼少時から病弱で、これまでの短い人生の多くを横になって過ごしてきた。

 また、治療用に彼女を利用しようとする者たちから狙われることにもなった。


 非常に無邪気で遠慮というものを知らない性格に見えるが、意外に繊細な気遣いができる、と主人公は思っている。

 また、その時その時の気分だけで動いてるようだが、いざというときの決断力は凄い、と主人公は思っている。


 もちろん冷静に見れば過大評価以外の何物でもなく、基本的に、やや向こうっ気が強いだけの子供である。

 主人公はマーユを完全に「精神的妹」と思っており、兄バカは次第に悪化しつつある。

 一方、マーユがコボネ(主人公)をどう思っているかは今ひとつはっきりしないが、側にいるのが当たり前と思っていることは伺える。


 主人公とともに暮らすことで健康状態は劇的に向上しており、もう普通の子供とほとんど変わらない。

 狙われていた件も解決し、ドナテラ農園を去ってマードゥ西部の町レドナドルに移り住むことになった。

 第三章でいったん物語から姿を消すが、四章以降で再登場する予定。



[ダニス・ドナテラ]


 ドナテラ農園に住む元商人。マーユの父で、ラホの夫。

 本編中はっきり触れられていないが、年齢は三十三歳。ひょろりと背が高く、一見やや頼りなさげに見える。

 

 以前はマードゥ混成国の首都マトゥラスに店を構えていたが、ダンデロン商会のハメ手に引っかかり借金を作った。

 ダンデロンの狙いが娘にあると気づいたダニスは、力づくで奪われることを怖れてマトゥラスから夜逃げし、人がめったに来ない毒の荒れ地ドゥラカスで、親戚の持ち家であるドナテラ農園を借りてひっそりと暮らすことになった。

 ドゥラカスの地下に眠る魔泥炭という物質を掘り当てて借金を返すことを考えており、毎日朝から夕方まで荒れ地を調査する生活を送っていた。


 悲惨な状況に追い込まれているが、非常に明敏な人物。

 主人公が人間の言葉を理解していることをちょっとした仕草だけで見抜いたり、主人公のノウォンが空気や水をきれいにしていることを推測したり、優れた洞察力を幾度も見せている。

 その集大成がダンデロン商会の幹部を相手にした借金返済交渉での立ち回りで、辣腕のベッグ・シナードに「あなたほどの人がどうしてあんな手に引っかかったのか」と言わせるほどの交渉力であった。


 少々行き過ぎなぐらいの家族愛を持っており、家族を守るためなら手段を選ばないところがある。

 いまはその家族枠に、主人公も入ってきているようだ。


 貴重な鍛冶錬金素材「聖泥」を大量に入手し借金を返し終えたあとは、ダンデロン商会のある首都には戻らず、西部の湖畔の町レドナドルで商人として再出発することになった。



[ラホ・ドナテラ]


 ドナテラ農園に住むマーユの母親。ダニスの妻。

 本編中はっきり触れられていないが、年齢は三十歳。ふっくらとした丸顔で、えくぼが魅力的。


 夫のダニスからは、「おおらかで優しい」と評され、主人公にたいしても母親のように接する。

 家事の能力は非常に高い。

 

 が、実のところトラブルへの対応力にはやや難があり、パニックに陥りがちな部分も持っている。

 娘に似てか身体はあまり強くなく、強いストレスがかかると寝込んでしまうことも多い。



[ルズラヴェルム]


 地霊。地の魔術を司る精霊のひとり。

 主人公の前世の少年ナドラバの遺志を実現するため、そして主人公に会うため、十年間、地下でナドラバの遺体を守り続けていた。


 地霊は全部で五人いるらしいが、その詳細についてはまだ語られていない。

 他の精霊……炎や水や風の精霊などと並んで、大精霊長グレド=アインの下で働いているようである。

 

 岩人が使う地の魔術や、奥義である「大地叫喚」は、彼女が加護や恩寵を与えることで使えるようになるものらしい。

 主人公専用の魔術(石板の魔術)を気軽に用意して教えてくれるあたりに、彼女の絶大な力が伺える。

 彼女自身も、大地に関わる物質を自分の中に大量に出し入れする魔術や、石柱を呼び出す魔術などをこともなげに使う。


 主人公の上腕から先ぐらいの身長(三十センチ前後)。透明な琥珀色の結晶で出来た人形のように見える。

 近づいてみると成熟した美女の姿をしている。


 非常に生真面目で妥協や駆け引きを知らない性格。

 主人公のことは「御子」と呼び尊重してくれるが、岩人には総じて辛辣である。

 担当としていろいろ我慢できかねることがあるらしい。


 ナドラバの遺した「聖泥」をドナテラ家に渡したあとは、岩人たちの堕落を糾弾し体制を改革するため、岩人の都デエルレスクへ向かった。春には主人公と再会する約束をしている。

 主人公からは「ルズラさん」と呼ばれている。



[ナドラバ]


 故人。享年十二歳。

 主人公の前世を生きた岩人の少年。

 デエルレスクで平凡な職人の家に生まれる。幼い頃から異常な寒がりだった。

 治癒師ルドグによって、貴石を探す特殊な奥義が使える体質であると指摘される。

 その後すぐ、ルドグの報告を受けた王族がナドラバを無理やり王宮に連行し、以後両親と会うことはなかった。


 その稀な能力から岩人の至宝と言われるが、能力の使いすぎで十歳ごろには完全に身体を壊す。

 改心したルドグの手配で、ドゥラカスのドナテラ農園へひそかに移動。残り少ない日々を農園で過ごして死去した。

 ドナテラ家へ遺産を残したいという彼の最後の願いを叶えるため、地霊ルズラヴェルムは彼の遺体を守って長い時間を過ごすことになる。


 幼い頃に家族から引き離され、外に出ることも禁じられて言われるがまま魔術を使い続けた境涯から、全てを諦め何にも関心を抱かなかった。養父ということになっていたルドグや、その弟ガジルの名前すらロクに憶えておらず、彼の残した記憶は全てが曖昧で頼りない。またその冷え切った心象に、周囲の誰も気付こうとはしなかった。

 ナドラバが唯一執着したのが、羊の乳を使ったスープで、その記憶だけがナドラバの中で明るく輝いている。



[ガジル]


 岩人の青年。本編では触れられていないが二十八歳。

 玄武石のような黒い肌にがっちりした巨体を持つ。

 デエルレスク生まれ。兄は治癒師ルドグ。兄の出世に伴い、王宮で衛兵として働くようになった。


 兄が引き取った六歳下の少年ナドラバを弟のように可愛がった、と本人は思っているが、実のところナドラバからは名前すら憶えられていなかった。

 兄ルドグの過ちと改心、ナドラバの絶望、王族たちの卑劣さに全く気づくことなく、十八歳のときに命じられるがまま辺境の岩人入植地に赴任。そこで十年過ごしたあと兄の死を知らされ、それがドナテラ家のせいだと嘘を吹き込まれて主人公たちと敵対し追いかけっこをすることになる。


 と、このように全く頭を使えず人の心を推察する能力もないので、地霊ルズラヴェルムからの評価はきわめて低い。

 が、本人は愚直な好人物で、巨体のわりに俊敏さも持ち合わせた優秀な兵士である。

 特に彼の持つ大地叫喚は、ある範囲のノウォンを極端に重くするという有用なもので、警備兵としても狩人としても最高の使い勝手を誇る。



[ルドグ]


 ガジルの兄で、ナドラバの運命を変えた張本人。故人。

 デエルレスクで治癒師をしているとき、治療に来たナドラバの特殊な魔術を見抜き、それをなにげなく王族につながる者に漏らしたことから、王宮に入りさらわれてきたナドラバの面倒を見ることになる。

 ルドグは良心の呵責を感じていたが、次第に出世と政争に夢中になった。

 が、あるときナドラバの両親が、自分の政争の巻き添えで殺されていたことを知り、ナドラバの前に土下座して懺悔する。

 その後、ひそかにナドラバをドナテラ農園へ逃し、自分は命がけで王族を告発。しかし失敗して殺された。



[ベッグ・シナード]


 マードゥ混成国の首都マトゥラスに本店を構えるダンデロン商会の一員。

 はっきりした地位はまだ不明だが、少なくとも幹部クラスではないかと思われる。

 メリネ・ルグランジュとは旧知の仲らしい。


 ダンデロン商会はマーユの身柄を確保するため、マトゥラスの裁判官を買収し異例の執行書を書かせるという強引な手段を取ってきたが、その工作にどの程度関わっているのかは不明。

 それ以前のダニスを騙した仕掛けについても、彼の関与は不明である。


 気難しそうな風貌の細身の中年男。いつもやや退屈そうで不機嫌そうな表情をし、膝のうえにひろげた書類ファイルをめくっている。冷静沈着なタフネゴシエーターだが、笑うと女殺しの笑顔になるという卑怯くさい男。


 借金の清算を受け入れるかわりに聖泥を手に入れ、そそくさとマトゥラスに帰っていった。将来メリネと共に再登場する予定。



[メリネ・ルグランジュ]


 マトゥラスでダンデロン商会と勢力を二分する大商会、ルグランジュ商会の一員。

 名字がルグランジュなところから、会頭の血縁だと思われる。

 ダンデロン商会がマーユ・ドナテラの身柄を確保するのを妨害するため、ドナテラ農園に現れた。

 なぜ二階から登場したのか、いつから二階に隠れていたのか、ツッコミどころは多かったが、みんなそれどころではなかったのでスルーされた。


 十代後半に見えるが、実年齢は不明。黒いさらさらした髪を肩の上で切っている。利発な雰囲気で、女学生っぽいというのが主人公の第一印象。

 頭の両サイドから、小さな樹の枝が生えている。「樹人」と呼ばれる種族のひとり。

 マードゥ混成国を作った初代大公も樹人だったといわれる。


 突然現れ、重要なことを少ししゃべったあとは、ダニスとベッグの交渉の聞き役に回り、聖泥を入手するとあっさりマトゥラスに戻っていった。

 それゆえ性格などについてはまだほとんど情報がないが、学生っぽい見かけや、おっとりした少女っぽい話し方とは違い、駆け引きに長けたやり手の商人らしいことが伺えた。

 四章もしくは五章あたりで再登場する予定。



[コーダジュ]


 ガジルとともに、ダンデロン商会の手先としてドナテラ農園に現れた岩人。

 ダニスとラホの身柄を確保したまではよかったが、乗り込んできたルズラに岩の中に閉じ込められて終了。納屋に放り込まれ、一同が旅だったあとも放置されたまま忘れられるという悲惨なことになった。

 ルズラさんも鬼ではないので三章ではちゃんと回収される予定だが、彼に可哀想でない運命が待っている気は全くしない。



[グブードン]


 豚人の邪術師。主人公を地上に喚び出した、少なくともそのきっかけを作った張本人。

 「ウォート」の者に雇われたか命じられたかで、銀髪の少女、すなわち包帯さんを探していた。


 度を超えたキノコ好きで、ひたすらトワレキノコを推してくる。

 服装にも使うワザにも独特のこだわりがある。ある意味、美学に生きるスタイリッシュな豚。

 まだ出てきてないが、タイツの中にフォークを隠し持ってたりする。武器としてもキノコを食べる道具としても使える。

 必殺技は空中地獄突き。


 復活した包帯さんにあっさり倒されるが、死体は見当たらなかった。

 実は再登場予定。

正直なところ書き溜めはあまり進んでおりませんが、そろそろ少しずつ投稿していこうと思います。

次回「謎めく報告書 …… レドナドル」は、明日、1月31日18時投稿予定です。

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