そんなのってあんまりじゃ…
自分の名を見つけた瞬間、立夏の心臓は止まった。
最難関と言われる大学の、最難関学部の合格者掲示板の前で…。
* * *
痛い。
どこが?
頭?
頭が…痛い?
でも眠い。
このまま眠っていたい…
でも…
次第に強くなる痛みに、眠りから引きはがされた立夏の、うすく開いた目の前にあったのは、すべすべした肌触りの上衣を着けた、誰かの広い胸だった。
「母さん…?」
つぶやいて、ハッと身じろぎしたのと、背中に回された腕が動いたのは、ほとんど同時だった。
「ようやく目覚めたか」
頭上から聞こえる低い声に、立夏はのけぞり、大きく目を見開いた。次の瞬間、後頭部に激しい痛みが走った。
枕に顔をうずめ、痛みに耐える立夏をなだめるように、大きな手のひらが背中をやさしくさすり始める。
「動いてはならぬ。大きな瘤があるのだ。安静にせよ、立夏」
「…誰、ですか?…病院、ですか、ここ?」
痛みの合間に、顔を上げ、かすれ声で問いかけた先には、横向きに眠る立夏を包み込むように、寄り添って横たわる男の顔があった。
「病院。医院のことなら違うな。我の屋よ」
「違う!?」