第6話 クラスメイトの怒り
少し遅くなってしまいました…!
少しずつペースを上げていきます!
それでは第6話、いってみよー!
先輩とのデートから3日後。
掃除の終わった俺は意気揚々と帰ろうとしていたところ、放課後の教室でクラスの男子達に囲まれていた。
「えっと…これはどういう……?」
「篠崎。お前、白波先輩とデートしたってのは本当か?」
と、正面の河村から質問があった。
「ま、まぁ、あながち間違ってないです……」
「そうか。西川、小嶋、大木」
と呼ばれた3人。
西川は野球部のキャッチャー、小嶋はラグビー部の副部長、大木は柔道部で期待の2年生だ。
…全員ガタイがいいのでまさかとは思うが……。
「殺れ」
やっぱりかっ!!!
「ま、待て! 誘ったのは母さんで別に俺は!」
「先輩とアトラクション乗ったんだろ?」
「う、うん……」
「先輩と飯食ったんだろ?」
「う、うん……」
「ペアルックは?」
「…した」
「手は?」
「………繋ぎました」
「正直者は好きだ。だが己の首を絞めたな。殺っちまえ野郎どもぉぉぉっ!!」
「やめろぉぉぉぉぉっ!!!」
クソ、コイツら殺る気満々じゃねぇかっ!
「けしからんぞ篠崎ぃぃぃっ!」「何故貴様がぁぁぁっ!」「テメェを殺したあと晒し首にしてやらァっ!」「俺ぁ見損なったぞ!」「小生達の怨みで御座るぅぅぅぅうっ!」「死ねぇぇぇぇぇぇっ!」
物騒過ぎるだろお前らっ! 晒し首ってなんだ晒し首って! 怖すぎるわっ!
だがその時、天使が舞い降りた。
「あらあら、皆元気で楽しそうねぇ〜。あ、でも殺して晒し首にする前に篠崎君を借りてもいいかしら?」
小鳥遊 有梨沙。3年生で白波先輩と同じく生徒会に入っている人だ。
長い金髪にはウェーブがかかっており、落ち着いた大人の印象を与える。優しいお姉さんのイメージが強い。
クォーターらしく、4分の1ほどアメリカの血が流れているらしい。金髪はその影響なのだとか。
白波先輩と同じ位人気があるそうだ。
ってかこの人、笑顔で物騒なこと言うな。
「た、小鳥遊先輩!?」「小鳥遊先輩だと…?」「何で小鳥遊先輩が…?」「どういう事で御座る………?」「さぁ…?」
教室の外から聖母の如き笑顔でこちらを見つめている小鳥遊先輩はどこか楽しそうだ。
「篠崎君に用事があったの。借りてもいいかしら?」
「え? 俺にですか?」
「そうそう。雫那ちゃんが呼んでるの」
「先輩が…。分かりました。今行きます」
「はぁい。それじゃぁ、先に生徒会室に行ってるわ」
と、小鳥遊先輩は廊下を楽しそうに歩いて行った。
未だに理解の追いついていない連中の間をぬって、リュックを背負い直し、小鳥遊先輩を追う。
先を行く先輩は鼻歌を歌いながら楽しそうだ。
「にしても…先輩が呼んでるって……」
一体何の用だろうか。
「そういえば篠崎君ってGOやってるの?」
「え、あ、はい。2年くらいやってますけど…」
「そうなんだぁ。あ、私も最近始めてね。職業は?」
「サムライです。レベルは昨日85になりました」
「サムライ、か…。ふぅ〜ん…そっかぁ」
「何か?」
「何でもないわ。早く行かないと雫那ちゃんが怒っちゃうから、行きましょー。おー」
階段を降りて、そのまま真っ直ぐ廊下を行って左に曲がる。少し行くと生徒会室と書かれた教室に来た。
小鳥遊先輩がノックをすると中から返事が返ってきたので、ドアを開けて中に入る。
「失礼します」
「失礼しまーす♪」
「小鳥遊先輩も言うんですね、それ」
「何となくよ、何となく」
相も変わらず楽しそうな小鳥遊先輩だが、その奥…、会長席には白波先輩が腕を組んでこちらをジッと見つめている。
クールな顔立ちの分、視線がずっとこっちに向いているのは威圧感を感じる。
「あなたを呼んだのは生徒会として用件があるからなの」
「用件…?」
「えぇ、あなた…」
そこで先輩は立ち上がり、腕組みしながらこちらに歩いてくる。
ある程度近づくと止まり、口を開く。
「生徒会に入らない?」
「…へ?」
「もちろん、強制ではないわ。ある程度あなたの要望も聞くつもりよ」
「ちょ、ちょっと待って下さい! そんな急に言われても!」
「だから強制ではないと言ったでしょう?」
「た、確かに…」
「それにある程度の要望も聞くつもりなのよ?」
「いや、でもそんな…」
「雫那ちゃん。考える時間も必要でしょ? そう焦らずに答えを待たなきゃ。ね?」
「そ、それもそうね。ゴメンなさい…」
おぉ、さすが小鳥遊先輩。お姉さんみたいなフォローだ。抱擁力があるって素晴らしい。
「じゃぁ、期限は1週間後。この生徒会室で待ってるわ」
「…分かりました。1週間後ですね」
「えぇ、いい返事を待ってるわ」
その後、白波先輩と小鳥遊先輩は残った仕事をやるそうで生徒会室から追い出されるような形で退出した。
もう春とは言え、風が吹けばやはり寒い。と言うか冷たい。
下駄箱からローファーを取り出し、上履きを入れる。
グラウンドから聞こえる運動部の掛け声を聞きながら心の中でお疲れ様と呟き、妹の待つ家に足を向けた。
途中コンビニに寄り、週刊誌でも立ち読みしようと本棚に向かうと見覚えのある顔が見えた。
瀬名川 凛。同じクラスで風紀委員だったはずだ。
背は低く、強気な顔立ちのロリ…。いや、幼女と敢えて言っておこう…。
長く伸ばした茶髪をツインテールにしている。
俗に言う「リア充グループ」というクラスカーストでも高い地位を持った人物だ。クラスの中心人物にもなっている。
そんな人間が1人でコンビニ…しかも静かに立ち読みとは…。
瀬名川の隣に立ち、週刊誌を手に取る。
「…ねぇ」
にしても、この漫画も続くなぁ…。連載20周年って。
「ねぇ、ちょっと」
父さんが好きで家に全巻…ではないか。当時は全巻あったが、今では4、5巻ぐらい買い漏れがあるだろう。
「ちょっと聞いてる?」
新連載の作品だと…。これは興味をそそられるな。読まねば。
「篠崎!」
「はひっ!?」
誰だコンビニで俺の名前を大声で呼んだのは! 声が裏返ったわ!
「アンタ一体、何回呼べば気がつくのよ!」
「瀬名川が呼んでたのかよ…。ていうかガッツリこっちに飲み込まれてたわ」
瀬名川の目の前で週刊誌をヒラヒラさせる。
それにムカついたのか見事なボディブローが俺の腹にヒットする。
「ぐふっ!?」
「ふん…」
「…そういえばお前……、いつもいる女子のメンバーはどうした……?」
くっそー瀬名川のヤツ…、レバーブローしてきやがった…っ! ボクシングなら反則だぞ…!
じわじわと体を蝕む様な痛みで肝臓がやられた。完全に入ったなコレは…。
「あぁ。今日は皆野暮用があるらしくてね。てか気安く話しかけんな死ね」
「死ねとか…軽々しく言うなよ……! 俺のメンタル弱かったら家で首吊ってるぞ…! そもそもお前から話しかけてきたんだろうが……っ!」
「あ、そうだった。なら尚更死ね」
「理不尽過ぎない!?」
「ま、アンタに用があんのよ」
「俺に? …それでその用ってのは?」
「アンタ、確かGOプレイヤーよね?」
「え、あー、うん。そうだけど…」
「死霊術師ってどう思う?」
「…死霊術師か……。パーティーに1人居れば、かなり重宝する存在だな。蘇生が出来るし、魔法系も使えるし」
「ふーん…」
「回復系の職業とは別に居たらかなり心強いな」
「そう、なら…」
「ん? 瀬名川?」
瀬名川は手に持っていた雑誌を本棚に戻し、俺を真っ直ぐ見つめてきた。
そして腰に手を当て、鼻先に指を突きつけるように向け…、そして
「アタシとパーティーを組みなさい」
命令口調でそう告げた。
風紀委員の瀬名川と共にパーティーを組むことになった桐也。
果たして彼女と上手くやっていけるのだろうか?
次回もお楽しみに!