第1章 信頼と駆け引き⑥
俺にとって“人を助ける”という行為は、偽善にほかならない。
その人物が行ったことで“結果”を生んでしまったのなら、その人物は結果を”事実“として受け入れなければならないと思っている。
その結果が“死”であっても、その考えを曲げたことはなかった。
人助けなんてどっかのヒーローみたいなことしたことがない。
なのに、なんで。
なんで俺は少女のそばに立っているのだろう。
俺は目の前にいる少女を見た。
長袖の制服を着ていて学生ということはすぐにわかった。あと、左腕に腕章をつけている。
・・・生徒会長?
もしかして、この高校の指揮官なのだろうか。
そしたら軍相手に戦ってこられたのは、この少女の指揮があるからこそ、ということだ。
高校生ならそれはかなりの頭脳の持ち主でないと難しいだろう。
「やっほ~」
とりあえず、さっきから何も言わない少女に声をかけてみる。
少女は俺の顔を見ると、固まった。
あれ、なんかついてる?
・・・いや、そうじゃないだろう。たぶん俺の容姿がすごく珍しいから驚いているだけだ。
俺の容姿ってたくさんの種族混ざっているし、なかなか会えないだろう。俺はもう10何年見てきたから見慣れているけれど。
「あのさ~、君ってここの指揮官?」
沈黙に耐えきれなくてそうやって聞いても、少女は茫然としている状態のまま動かない。
情報が整理できてないっていうことだろうか。
「ねぇ、聞いてる?」
そうやって聞くと、少女は慌てたように聞く態勢をとった。
「あれって“軍”だよね?」
ややあってうなずく少女の表情に確信を得て、そっか、とつぶやく。
ここの学生たちは、やはり軍に対抗しているようだ。
まあ、これならちょっとくらい寄り道していったっていいだろうか。
「俺は君たちの味方だから」
つぶやいて・・・瞬時に軍の前の方に移動する。
軍の兵器は最近のモデルだった。新型の砲弾の中でも破壊力重視という噂のあるものだ。
これは一般人には酷な武器だ。
圧倒的な力はある程度を超えると、全く太刀打ちできなくなる。
「全く・・・これが軍のやり方~?」
あえて軍の司令官に向かって挑発の笑みを浮かべる。
「も、目標、敵、反戦集団の一員と見られる少年、狙え!」
司令官の男は、軍の中でも見たことのない顔だ。
たぶん今回の戦闘で功績をあげて、昇進しようという狙いだったのだろう。
経験値の浅さが見て取れる。
そんなことをぼんやりと考えていると、後ろの方から声が聞こえた。
「逃げろ!死ぬぞ!」
その声に振り向くと、必死そうな顔でこちらを見ている少女と目が合う。
少女の回りにいる人間もこちらを見ているものがほとんどだ。
「・・・大丈夫だよ、俺は、死ねないから」
弾道線に照らされながらいうと、なおも何か必死に伝えようとしてくれているが、俺には何も聞こえなかった。
死ねないんだよ。
このくらいでは。
軍の砲弾が放たれるのがすぐ近くに見えた。
・・・こんなの。
「・・・造作もねえよ、糞共が」
3が日いかおすごしでしたか~?
私は・・・う~ん・・・寝正月でした!!笑
お持ちたくさん食べました!
次の更新は明日15時の予定です!よろしくお願いします~!