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第1章 信頼と駆け引き③

・・・唐突だった。




目の前に少年がいる。



突然現れたその少年に目を2、3度瞬かせてからようやく状況把握をできて、目の前に現れた少年に視線を合わせる。



そこで私はその髪の色に目を見開いた。



グレデルにおいて、髪と目の色は“黒”以外ありえない。



種族主義の世界において、種族以外の色は人々や国から嫌悪されるのだ。




少年の髪の色は3種族の交わりを示す銀色に赤色の入った色だった。



・・・一目でこの世界において迫害されている混血種だと分かる。



自身と違いいろいろな種族の交わりを表す色。しかし、混血種であるがゆえの容姿の美しさに見とれた。




「やっほ~」



その声にハッとして少年の顔に焦点を合わせた。こちらを向いている少年と目が合ってさらに驚いた。




両目の色が違っている。



黄色と青色に輝く目に見据えられて言葉に詰まった。



この世界において、様々な種族の混血は非常に珍しい。特に“黒”の人種であるグレデルは、その血統を守ることを誇りに思っているため、混血は身体的に虐げられることが多い。



そのため子孫を残すことが難しく1代で途絶え、混血種の数が少ないのも身体への迫害から十分な成長をすることができないためだ。



その中において、黒・白・赤・黄・青の5つすべての人種の交わりを示す少年の容姿はありえない。




「ねぇ、聞いてる?」



少年の声で我に返ると、少年は怪訝な顔を私に向けていた。



慌てて聞く姿勢をとる私を見ると、彼は同じ問いを向けることなく、軍の方に指を向けた。



「あれって“軍”だよね」



少年の、何かを確かめるような問いに、とまどいながらうなずく。



少年は私の言葉を聞くと、そっか・・・と言って背を向けてつぶやくように告げた。



「俺は君たちの味方だから」



どういうことだ、と問い返そうとした。



しかし次の瞬間には少年は私の目の前から忽然と姿を消していた。



「なっ・・・」



慌てて辺りを見渡していると、嘲笑しか聞こえてこなかった兵士の方からざわめきが聞こえた。



そちらに目をやると、先ほどの少年が軍の手前、戦車やロボット体に立ちはだかるように立ち止まっているのが見えた。



一瞬であそこまでいったのか!?



そのスピードに唖然としていると、少年はさらに軍の方に歩を進めた。



誰から見ても無力であるようにみえるのに、余裕さえ感じられる少年の様子に、喉をごくりと鳴らす。



その底知れない不気味さからか、軍の司令官らしい人物が上ずった声を上げた。



「も、目標、敵、反戦集団の一員と見られる少年、狙え!」




まさか、撃つのか。



どういう存在かわからないとはいえ、武装していない少年は一般市民であることは間違えないことは分かっているはずだ。



軍のやり方は理解していたが・・・この方法はいくらなんでも横暴すぎる。



司令官の武力をもって存在を排除するような言葉に、武器を持たないただの一般市民を撃つのか、と私は焦って声を上げる。



「逃げろ!死ぬぞ!」



少年は、その聞こえないはずの距離で叫んだ私の言葉に振り返った。



軍の弾道線が少年にぶつかり、少年の髪が赤く染まる。



祈りを込めるように少年を見ながら、同じ言葉を繰り返す。






「っ死ぬから!!逃げてくれ!!」





少年は驚いたように私を見て、焦った表情の私に困ったような曖昧な笑みを浮かべた。





あけましておめでとうございます~!

相変わらず主人公の名前は出てきません笑


2016年がいい年でありますように・・・。


そして主人公たちが活躍してくれますように・・・・・・

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