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プロローグ


「・・・」



少年は唐突に目を開いてあたりをキョロキョロと見まわした。



どうやら自身のことを顧みているのではなく、他の何かに気を取られているらしい様子だった。

ひとしきりあたりの様子を見た後、少年はやっと自身の肉体へと意識を向けた。



途端に驚いたように、自身の手で口を覆う。



自身がやっと今空気以外の何か、水のようなもので覆われていることに気がついたようだった。



しかし、その状態のままいることはなく数十秒後には口元にあてた手を、おそるおそるというふうに外した。



そして安心したように息を吐く。ゴボッというような音が響く。



少年はその場で深く呼吸した。

少年の周りは水とよく似た液体で覆われており、しかしその中にいても呼吸は支障がないようだ。



上に下にと様々な方向に目を向けてから、少年はやっと自身の状態に気がついたように、ハッとした。



少年は透明な円筒に閉じ込められていた。



さらには少年の全身に吸盤のようなものがついていた。

その吸盤からはコードがのびておりそのコードの延長線上には機械が繋がっていた。

この状態から鑑みると、少年はさながら研究体かなにかのようだった。



プチリと音を立てて吸盤を外しながら周囲を見渡す。



少年は自身の状態に対し、非常に冷静だった。



・・・まるで、こうなることが本能的に分かっているように冷静に辺りを見渡していた。



そのうち、少年はゆっくりと手のひらを円筒に押し付けた。



すると、円筒はパリンと音を立てて簡単に割れ、中から液体が溢れだす。

その様子を一通り眺めてから深呼吸をしている少年は、何かに気がついたようにわずかに瞠目した。



「ここは・・・」



少年は何かに恐怖したように震えた。半袖を着ている自身の両腕を抱え込みしゃがみ込む。

そのまま過呼吸をおこしたように、青い顔で荒い息を吐く。



小さく震え続ける少年は、とても小さかった。

そしてその様子は、ひどく頼りなく見えた。



やがて少年は、震える足で立ち上がった。

そしてその部屋の扉にゆっくりと歩き、ドアに手をかけた。



さらには無人の・・・壊れた機械の混在する部屋に向かってこうつぶやいたのだった。








「オレ、は、化け物・・・」






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