消滅都市(非公式) タマシイの生前 《幸運のトナカイ ルドルフ》編
非公式です。
作者の勝手な解釈で書いています。
それをご理解の上、お楽しみください( ^ω^ )
ああ、忙しい、忙しい。
うん?なんだい?また君か。
僕は忙しいんだ。あっちへ行ってくれ。
…………。きみも、しつこいね。
そういえば、運び屋の男と、髪の長い女の子もしつこかったな……。
いやいや。こっちの話だよ。
それで?僕の昔話をしてほしいんだろ?
やだって、言ってもどうせついてくるんだろ?
わかったよ。手短に話してあげるよ。
こっちは忙しんだから。
僕は、見ての通り、トナカイさ。
何で二足歩行なのかって?
……そこには触れてはいけないよ。
さて、トナカイってそりを引くだけが仕事だと思ってるだろ?
ノンノン。そんなの、君たちの勝手な想像さ。
僕は、サンタクロースの手伝いをしている。
プレゼントの調達を手伝ったり、配達先の確認も怠らない。
でもね、もっと大事な仕事があるんだ。
サンタクロースを目覚めさせなければいけない。
意外と大変なんだよ、これが。
クリスマスの時期には、人々の希望が大きく膨らんでいく。
それとともに悲しみも大きくなっていく。
サンタクロースを起こすにはその悲しみを減らさなければいけないんだ。
クリスマスは希望に満ちた日になってほしいからね。
…………え?具体的に何をしてるかって?
それは……教えられないなあ。
まあ、とにかく、その悲しみをなくす仕事で僕は忙しいんだ。
じゃないと、サンタクロースは目覚めない。
僕も準備した苦労が水の泡になってしまうのはごめんだからね。
おっと、もう、こんな時間だ。
まだまだ解放されていない悲しみが、あっちにも、こっちにも……。
ああ、忙しい。
君も、悲しい顔をした人を救ってくれないかい?
僕の、手伝い、引き受けてくれないかな?