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恋愛

告白

作者: 純白米

このページに足を運んでいただきありがとうございます。


~初めての方へ~

このお話は「ある男子高校生の日記帳」の続きとなっております。

そちらを読んでからこちらを読んでいただけると、話が繋がると思います。


~「ある男子高校生の日記帳」をお読みいただいた方へ~

読んでいただき、ありがとうございます。

ある男子高校生のお話は、これで終わりになります。

是非、このお話の結末を見届けてあげて下さい。

10月30日(火)

 最近私は、後輩からバスでよく見かける子のアドレスを教えてもらい、すっかりその彼女とメールのやりとりをする仲になっていた。本当に他愛もないメールを毎日やりとりしていた。恋バナなど、ベタな話をすることが多かった。メールの返事が遅いときは、自分のメールに何か悪いところがあったのではと、何度も隅々まで読み返してしまう。でも、そのやりとりが本当に楽しかった。後輩は、紹介したい先輩がいるということで彼女からアドレスを聞きだしたらしく、彼女は私がいつも同じバスに乗っている人であるということに気付いていない。私はそのうち、彼女と直接話がしたいと思うようになっていた。でも、実はいつも同じバスに乗っている人です、なんて急に言うと、気持ち悪がられてしまうだろう。なので、私は偶然を装い、昨日こんなメールを送った。


「いつも学校にはどうやって通っているの?」

「バスで通っています。」

「おれもバスで通っているよ!どこのバス停で降りているの?」

「○○っていうところです。」

「えっ、おれも同じところだよ!もしかして同じかな?」

「それって、どの路線のバスですか?」


というような流れで、偶然同じバスに乗っている人だということが彼女に知れるようにした。それを知った彼女は、驚くべきことを言ってきた。


「それなら是非、今度直接お話したいですね。」


なんと、私が言おうと思っていたことを彼女から言ってきてくれたのだ。私はその偶然に舞い上がった。社交辞令だったとしても、彼女が同じことを考えていてくれたということが嬉しかった。

 そして今日、私はついに彼女と直接話をすることができた。朝のバスで、私から話しかけたのである。最初はこれ以上ないくらいに緊張した。その緊張は、初めて彼女と偶然会話ができた学校祭の日と同じぐらいであった。でも、彼女にとっては、これが私との初めての会話ということになる。だから、私の最初の言葉はこうだった。


「はじめまして。」


11月16日(金)

 彼女と直接話すようになってからは、メールの頻度は減り、登下校で会ったときに話すというようになっていた。

 ところで、実は今日は私の誕生日である。前に、彼女と誕生日の話になった時に私の誕生日を教えたことがあり、少し期待していた。プレゼントは、まず貰えないだろう。だから、メールでいい。メールで、誕生日おめでとう、とだけ言ってくれたら。私はそんなことを考えていた。


 そして昨日の夜。00時ちょうどになっても彼女からのメールは来なかった。そんなもんだよな、と思った。しかし、その2分後に携帯が鳴った。見てみると、彼女からのメールだった。


「誕生日おめでとう!あなたにとって、素敵な1年になりますように。」


今年は素晴らしい1年になるということを、根拠もなく確信した瞬間であった。


12月24日(月)

 世間はクリスマス。世の中のカップルにとっては、一大イベントであろう。しかし、付き合っている人の居ない私にとっては、いつもと何ら変わらない。

 クリスマス、せっかくだから彼女に会いたいと心のどこかで思っていた。でも、私と彼女は付き合っているわけではない。ましてや、私は彼女にとって、ただのメール友達であろう。そんな人と、クリスマスに会うわけがない。

 そんな寂しいクリスマス。彼女は何を想って過ごしているのだろうか。


12月31日(月)

 今年もいよいよ今日で終わり。今年は、本当にいろいろなことがあったなぁと、日記帳を読み返しながら感じていた。4月の私では、彼女とここまで仲良くなれるということは、到底想像出来なかったであろう。今年も良い1年であった。

 そして、私は日付が変わる瞬間に彼女に新年の挨拶メールを送ろうとしていた。何でもいいから、メールをする都合が欲しかったのだ。


「あけましておめでとう!今年もよろしくね!」


2月14日(木)

 クリスマスに引き続いて、今度はバレンタインデーがやってきた。この日は学校があったので、内心チョコをもらえるかな、と朝から気が気ではなかった。

 その日の朝、いつものように彼女と会った。しかし、彼女はいつも通りで、特に変わった様子はなかった。そりゃそうだよな、と思いつつも、残念な気持ちは確かにもっていた。

 しかし、帰りのことだった。バスで待つ私のところに彼女が偶然やってきたのだ。偶然ですね、なんていう彼女の息は、どこか整っていないようにも感じた。そして、バスを待っている間に彼女は鞄からポッキーを取りだした。ポッキーは2袋入っており、そのうち1袋を彼女はあげる、と私にくれた。

 私には、それが義理チョコみたいに感じられて嬉しかった。でも、それを口にはしなかった。彼女はただ、持っていたお菓子を私に分けてくれただけである。変に意識していると思われるのが、恥ずかしかった。バレンタインデーに2人で食べたポッキーの味は、今でもよく覚えている。


3月27日(水)

 私の気持ちはもう限界にまで達していた。この1年間、彼女とのやりとりを通じて、私はある感情に気付いてしまったのだ。そんな風に思ったことは一度もなかったが、そうとしか説明できない。この感情に気付いてしまったからには、それを彼女に伝えた方が良いのだろうか。でも、伝えてこの関係が崩れてしまわないだろうか。そんなことを、ずっと悩んでいた。


4月16日(火)

 私はこの言葉を、今まで口にしたことはなかった。それどころか、この日記帳に書いたことも一度だってなかった。でも、それは確かに私の中にずっとずっとあったのだと思う。

 私は意を決して、彼女を呼び出した。そして、私が気付いたこの感情を、彼女に伝えることにした。とても複雑な感情ではあったが、それを伝えるのに多くの言葉は要らなかった。


「ずっと前から、あなたが好きです。」


お読みいただき、ありがとうございます。

このお話は「Re:告白」というお話とリンクしております。

まだご覧になっていない方は、是非一度ご覧になってください。

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