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3話

どうだろか、次回の展開で戦闘シーンは有りません。多分

 そこに響いたのは太く、それでいて良く通る声だった。

その声は尚も続けた。


「そいつは導く者じゃない、彷徨う魂を引きずり込む悪魔だ」


 その言葉に少女を導こうとする者は応える。


「耳を貸しては成りません、悪しき者が貴女を狙っているのです。さあ、お母様も待っています行きましょう」


 少女の手を引きずる様に手を引く女性、少女は恐怖を感じ始めていく。

そして。


「痛い!」


 女が掴む手が少女の手に食い込む、柔肌が裂け、血が滲んだ。

少女が見上げると其処に居たのは、恐ろしくも美しい漆黒に染まりつつある女の姿だった、今は純白に包まれた筈の羽もただ黒く染まっている。


「嫌ああぁぁ!!」


 必死で少女は抵抗する、しかし、女の悪魔は虫を見る様な目で少女を見下し。

絶望の一言を言った。


「もう手遅れよ、お前の魂は私の物、その柔らかい肌も……髪も……全てが私の物、流れる血を飲み干し、四肢を食らい、その体が、心が朽ちる事は無い、お前は永遠に……私の玩具になるのよ」


 エリスは震える事しか出来なかった、その小さな体を、心を恐怖が覆い尽くして行く。

流れ落ちる血も、溢れる汗も、目の前の光景が著しく変化して行った産物だった。

 遠くに見えた花園も、今は哀れな人を貫く植物となり、その花が放っていた香りも、吐き気を催す程の臭いに変化して行った。


「だ……誰…か……助け……」


 少女は助けの声を紡ぎ出そうとした、恐怖と絶望で舌は上手く動かせない。

しかし、それでも助けを求めようとした。

 地獄の様な状況は目の前に迫っている。


「こんな状況になってもまだ助けを求めるのね、必死で希望にしがみ付くその表情……いいわぁ……この手を放して上げたくなっちゃう。逃げて、逃げて、疲れ果てた所で私に捕まったらどんな表情を魅せてくれるのかしら……ねえ?」


 恐ろしい恍惚の笑みを浮かべる悪魔、と同時に眩い光が二人を包んだ。


「ギアアアァァァ!!」


 耳が潰れそうな声と目も開けられない光にエリスはパニックに陥る。


「アアアアァァァァ!!助けてぇぇ!!」


 掴まれた腕を振り回し何とか拘束を解こうとする、不意にその拘束が解け、エリスは倒れてしまった。

しかし、その倒れる瞬間エリスの体を優しく抱き上げる手が有った。


「大丈夫」


 良くとおる声、その一言だけでエリスの体を覆っていた不安も恐怖も消えたが、同時に困惑した。

その答えも治まりつつある光で直ぐに分かった。


「いつ来ても不快な場所だな、スィトリ……」


「おのれ、天使にも人にも成れぬ半端者が何しに来た!?」


 エリスは今何が起きているのか、それだけを探った。

眩い光も今は殆ど治まり、瞼を開けれる様になった、ゆっくりとエリスは目を開くその目に映るのは、鈍い光沢の鎧に包まれた一人の男の顔だった。

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