二話
男の名前が決まりませんまあ次までには。。。後、更新速度は遅くなります申し訳ない
そして突如として現れた男――
ファウストは少女の体に手を挿し込んだ。
奇怪な光景だった……肉と皮を貫いている筈なのだが、少女の体から流れ落ちる筈の鮮血は一滴たりとも落ちる事は無かった。
しかし……少女の苦しみ様は間違い無く現実に起きている事だと認識させた。
「あぁ!……アアアァァァ!!」
少女の体の中を弄る男が手を抜くと、異変は起きた。
手を抜かれた場所から、目を背けたくなる程の奇怪な触手が生え少女を覆っていく。
「……ッア!!」
悲鳴を上げる暇も無く全身を触手に覆われた。
男……ファウストは尚も告げる。
「明日君の元に男が現れるだろう、その男が導いてくれる筈さ……聞こえてないか」
ファウストは月を見上げた。
モノクルに映るのは淡い光を放つ血の様な月だった。
そして……その場所には、黒い繭の様な物だけが残った。
メフィストが去った次の晩。
その言葉の通りに廃墟と化した町に訪れる人影があった。
「また派手にやった物だ……」
そう呟く男は何かを探す様に辺りを見回した。
そして、それを見つける。
腐乱した様な匂い、そして触るのも拒みたくなる程に黒く染まった繭の様な物体。
常人なら拒むそれを男はそっと触る。
「これも駄目だろうな……」
どこか諦めが付いた声色、不思議な事に男が触れた繭の色が徐々に白くなり、中が透けていく。
「!!……やっと、見つけたこの子がこの子こそが」
男の目が希望に満ちる、男は何に希望を持ったのか。
それはまだ分からない。
ただ、その瞳に映るのは、幼い少女の姿だった。
「お母さん……お母さん……」
白い霧の中、少女は母を求める。
伸ばした手も霞む、濃霧の中一人で母を求めた。
その声も空しく返る声は無い、とうとう少女は泣き出した。
どうしようもない現実に、耐えて来た心も崩れ去った。
自分を守ってくれる者は居ない。
と、その時。
「エリス……エリス……こちらです……」
それは少女の名前だった。
唐突に呼ばれた少女は顔を上げ、周囲を見渡した。
すると視界を覆っていた霧が晴れ、美しい女性がエリスの前に現れた。
「可哀想なエリス、貴女は迷っているのです。私が導いて上げましょう」
それだけ言って、女性はエリスの手を掴んだ。
少女の顔には困惑の色が見えた。
「あなたは誰?お母さんはどこ?」
少女の至極当然の疑問に女性は答えた。
「私は案内人、エリス、貴女のお母様も私が導きました、そして貴女を見つけたら私の元へと連れて来てくださいと貴女のお母様に頼まれたのです。さあ行きましょう」
エリスはこくん、とその首を縦に振った。
無理も無かった、ここがどこかも分からない、それに女性の姿が天使の様にしか見えなかったのだ。
絹の様な光彩を放つ髪、その背には純白の翼が生えていた。
お母さんに会いたい……ただその事を願い、天使の言葉を信じた。
「惑わされるな」




