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安寧にかける橋  作者: Making Connection


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1/1

一作

皆さんは井伊直孝という武将をご存じだろうか?

おんな城主 直虎、赤鬼と呼ばれた直政、日本を開国した直弼と有名であったり、歴史の教科書に載るような人物が多い井伊家においてあまりに語られない男。

これは……その男の物語……


上野国(現在の群馬県)安中の北野寺

「お待ちください!弁之介様!」

坊主が逃げる少年に向かって声を張り上げた。

慶長6年(1601年)、11になる少年は勢いよく自身を取り囲んでくる坊主を上手くかわして脱走を試みる。

「嫌じゃ、今さら父上になど会いたくはない!」

「ええい、いつまでやっておる。この際、多少お怪我をされても良いから取り押さえよ。」

住職がしびれを切らして叫ぶ。さすがに子供相手に大人がよってたかって本気で取り押さえようとはしていなかったし、それを少年もわかっていたから逃げられると思っていた。住職の指示で本気を出した坊主にあっという間に少年は捕まった。少年は住職の前に座らされ、

「良いですか。弁之介様。

確かに貴方の境遇はあまり良くなかった。

同年の同時期に正室の子の万千代様が生まれ、貴方の母が正室の侍女であった事もあり難しいお立場でした。

昨年の関ヶ原での大戦(おおいくさ)で徳川家の治める世となりましたがまだまだ問題は山積みで安定しているとは言えません。

お父上も島津軍への追撃の際に鉄砲で足を撃たれて大怪我をされています。それを押して終戦後の処理にも駆け回られておられるとか。

しかし、体調もあまりよくはないようです。

万が一もあり得るとか。

今、会わずにいたらもう会えなくなる事すらありえるのですぞ?」

「生まれてこの方一度も会ってない人間がどこでくたばろうが知った事ではない。

なぜ今さら会わねばならないのだ。」

「ふう、弁之介様。

少し落ち着きなさい。我々はどこまで行こうと弁之介のお味方である事に変わりはありません。

幼き頃から共に過ごしてきたあなたが望むならこのまま仏門に入りここに居られれば良いとも思います。

ただ、井伊家の立場が変わったのです。

徳川家の一武将の家から幕府を支える支柱を担う家になった。今までの事を思うなら直政様のお考えが一方的だと我らも思っております。

ですが、直政様としても井伊家の事を考えた時に徳川四天王と呼ばれた自分が亡き後の事がご心配なのでしょう。井伊家は他の四天王家と比べて新参です。

それも直政様のご活躍で取り立てられた訳ですから自分が居なくなったら衰退するとお考えなのでしょう。

家康公のご子息の秀忠様や更にその次代の方と自分の子息を近づける事で井伊家を安泰にしたいのではないでしょうか?」

「父上の勝手であろう。

それに兄上が居られるのだから必要なかろう。」

「人には好き嫌いがございます。

聞くに万千代様は慎重で判断が遅れる事もあるとか。

そのような人間を重宝する人もいますが、遅さを嫌う人もおられるのです。

弁之介様は活発で頭の回転も早うございます。

その点で言うとお二人は真逆なのです。

だからこそ、近侍の候補としてお二人が必要なのでございます。」

「父上の事情など知らぬ!」

「弁之介様の短所はそこでございます。

感情に任せて周りが見えておられぬのです。

ここで近侍になれば分家の当主になったり、場合によっては井伊家の当主となると事もあり得ます。

今は己を律してお立場をお考えください。」

住職に言い負かされる形で弁之介と直政の面会は決まったのであった。

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