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妖精公爵と冷遇夫婦生活かと思ったら溺愛体質だった!?  作者: 夕凪 瓊紗.com


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14/15

【14】妖精王子



――――突如響いた声に思わず身構える。


「見付けたわ!私の妖精王子!」

「アメリア!お前また性懲りもなく!」

リュヌさまがレインさまとカイトさまをそれとなく後ろに庇う。


「何度来たところで俺の妻はツェリひとりだ!」

「ふんっ」

しかしアメリアはリュヌさまに臆することなく鼻を鳴らす。


「知るものですか」

「は……?」

「もう気持ち悪いデュラハンのあなたなんてどうでもいいわ!」

気持ち悪いって何よ!デュラハンは気持ち悪くも何ともないわ!


「それよりも私、気が付いちゃったの。私って天才だわ!」

「は……はぁ?」

さすがにリュヌさまも頭にハテナを浮かべる。


「婚約者もいない結婚もしてない未来の妖精王子がいるじゃない!」

え……まさか。


「ルーク王太子殿下の息子……レインさまとカイトさまよ!」

「何言ってんだ、お前は!2人ともまだ8歳と6歳だぞ!?」

その通りである。


「それが……何?」

「は?」

「私が妖精王子の婚約者になれるのよ!それ以上に重要なことなんてない!」

いや、あるでしょ!思い合っているのならともかく一方的に子どもに迫るなんてあってはならない。


「ああだけど、猫耳よりはよりルーク王太子殿下に近いレインさまがいいわぁ」

いや、猫耳は最強よ!?その前にまだ子どもの彼らを選り好みするとか何を考えているの!?


「ほぉら、レインさまぁ、いらっしゃぁい」

アメリアがじりじりとこちらに迫る。身の危険を感じ取ってか、カイトさまがレインさまにきゅっと抱き付く。


「大丈夫だ、カイト。兄上がついてるぞ」

「……あにうえっ」

うう……っ、狙われていると言うのにレインさまはカイトさまを守ろうと……!


「させない!」

私も2人の前に立ちアメリアと相対する。


「人間の小娘のくせに……また私の邪魔をするの!?」

「そう言う問題じゃないでしょうが!あなた自分が何をしようとしているのか分かってるの!?」

「うるさいうるさいうるさい!私から妖精王子を奪ったくせに……さらにせっかく見付けた未来の妖精王子から妨げる気!?」

「当たり前でしょうが!まだこんなに小さいのよ!?」

「知ったことですか!私が妖精王子の婚約者になること以上に重要なことなんてないのよ!」

「いいやあるでしょうが!」

「いいから……妖精王子を私に寄越しなさいよ!」

アメリアが迫る。


しかし眼前を遮った騎士には首がない。


「そこまでだ!」

首を小脇に抱えながら素早く片手でアメリアを押し倒し取り押さえる手腕はさすがと言うしかない。


「リュヌさま!」

「安心しろ。甥たちには手を出させない!」

そしてリュヌさまに続き近衛騎士たちがアメリアを力強く押さえ付ける。


「痛い!痛い!放してよおおぉっ!」

「黙れ!この変態が!」

「幼き未来妖精王子を狙うとは何事か!」

「お前に容赦する理由などない!」

近衛騎士たちも子どもたちに手を出そうとしたアメリアに烈火のごとき怒りを燃やす。


「そんな……そんなぁっ、レインさまぁっ」

アメリアが苦しそうにレインさまに手を伸ばす。


「てめぇなんかに甥っ子を触れさせるわけねぇだろうが」

「ひどい……ひどい……私がどれだけ妖精王子のお嫁さんになりたかったか……」

「知ったことか!お前は妖精王子と言う肩書きにしか興味を向けない上にまだ子どものレインに手を出したんだ!」

「やだやだやだぁっ!わたじ……妖精王子のお嫁さんに……」

「そんな日は一生来ない!」

「イヤアァァァァ――――ッ!!」

アメリアの絶叫と共に王太子夫妻と妖精王夫妻が駆けてくる。


「これは一体どう言うことか!シルフィード公爵!」

ルークお義兄さまの言葉に申し訳なさそうにやって来た夫妻は……アメリアの両親か。


「も……申し訳ありません、王太子殿下。娘には再教育を施したのですが」

「それがこのていたらくか!大声はこちらにも届いたぞ。よりにもよって我が息子たちに迫るとは何事か!」

「それは……その……まさかアメリアがそんなことを考えていたなんて露とも知らず」

「知らぬで済む問題か!」

ルークお義兄さまの言葉にさすがにシルフィード公爵夫妻は何も言えないようだ。


「さて、話は分かった」

「父上」

ルークお義兄さまの隣に妖精王陛下が並ばれる。


「シルフィード公爵」

「は……はい、陛下」

「私はアメリア・シルフィードを貴族とは認めん」

「それは……っ」

事実上の追放だ。貴族と認められない以上もうシルフィードの姓を名乗ることを許されず貴族家に属することもできない。つまりは平民となる。


「だがこのまま野に放てばいつかわいい孫たちが被害に遭うか分からぬ」

陛下も孫に手を出され怒り心頭な様子だ。


「分かりました、陛下。アメリアは戒律の厳しい修道院に入れ、もう一生出しません」

「そんなぁっ、お父さまぁっ」

「黙れ!」

「むぐっ」

抵抗しようとしたアメリアは近衛騎士に猿ぐつわを咬まされ縄で縛られた。


「その上、シルフィード公爵家は伯爵家に降爵」

「そんな……っ」

「代替わりが済むまで城への出入りを一切禁ずる」

つまり責任を取って家督を譲れと言うこと。


「分かったな」

「……はい、陛下」

シルフィード公爵が力なく崩れ落ちる。

アメリアは近衛騎士によって会場から閉め出され、シルフィード公爵夫妻もまた城を後にした。


さて、気になるのはやはり子どもたちの精神ケアである。


「レイン、カイト。大丈夫か」

「2人とも、こっちへいらっしゃい」


「父上、母上!」

「わあぁぁぁんっ」

レインさまはカイトさまがいるからか涙をこらえているが、カイトさまは安心して泣き出してしまったようだ。


「そうか、恐かったな。レイン、カイト。父上が来たからもう安全だ」

「はい……っ、父上」

「父上ぇ……恐かったにゃぁ」

え……?『にゃぁ』?


「あらあらカイトったら。ケット・シーねぇ」

ヴィヴィお義姉さまがふんわりと微笑む。その……それはケット・シー特有の性質なのだろうか?


※※※


騒動が落ち着き、私たちは陛下の許しを得てファナさまが待つ控え室にやって来た。


「ファーナ、いいこにしてたかにゃぁ?」

「にゃぶっ!」

ファナさまに語りかけるヴィヴィお義姉さまがかわいすぎる。


「ふふふ、私たちケット・シーは小さな頃はついつい『にゃぁ』って言っちゃうの。だから私もファナに語りかける時はにゃぁって言っちゃうの。にゃぁっ!」

その……かわいすぎませんか!?それ!


「あのね、それでね、リュヌがカッコよく取り押さえたんだ!」

レインさまはすっかり元気で、リュヌさまのカッコいい捕物風景をルークお義兄さまに語っている。


「ぼくも、ファナと兄上のために強い騎士になります!」

「カイト!ぼくもなるぞ」

「兄上!」

兄弟たちのやり取りがかわいすぎる。


「ふぅ。心配だったが、すっかり元気になったな」

「ええ、リュヌさま。リュヌさまもカッコ良かったです」

「えと……俺はいつも通りやっただけで」

ポリポリとこめかみをかく。今は再び首は元の位置だ。


「それでもだ。息子たちを守ってくれてありがとうな、リュヌ」

「突然です、兄上」

リュヌさまがルークお義兄さまの言葉に嬉しそうに頷く。


「聞きましたわよ、騒動のこと」

「みな無事で何よりです」

そしてアンジェお義姉さまとローお義兄さまも来てくれた。


「それにしても元シルフィード公爵令嬢は酷いものですね、兄上」

「ああ。私たちだけではなく息子たちにまでとは」

ルークお義兄さまが嘆息する。


「もういっそのこと、ローのところの令嬢と婚約するか?」

「それはレインとの相性次第だと思うが兄上。ならファナの婚約もこのくらいの年齢でさせる気ですか?まぁ王族ならなくはないですが」

「……」

その時ルークお義兄さまがピクンと固まる。


「ロー、私はヴィヴィと婚約する時、1ヶ月宰相に頭を下げ続けた。それでやっと婚約できたのだ」

ヴィヴィお義姉さまのお父さまは宰相なのね。


「しかし私は……たとえ1ヶ月頭を下げ続けられても娘の婚約を認めない覚悟がある」

「兄上。自分も娘を持つ立場。気持ちは分からなくもないですがファナが行き遅れたらどうするのです」


「あの……ぼくにいい考えがあります、父上!」

えっと……カイトさま?


「兄上は王家を継がなきゃいけないからできないけど、ぼくなら!ぼくがファナと結婚すればファナはお嫁に行かなくて済みます!」

「ほう……カイトは天才だな」

え……乗るんですか!?ルークお義兄さま!


「ふふっ。ルークさまったら。でもファナもままがぱぱみたいな素敵な旦那さまに出会えたように、素敵な旦那さまに迎えにきてもらいたいよねぇ?にゃぁん」

「にゃぶっ!」

しかしヴィヴィお義姉さまとファナさまのやり取りに……ルークお義兄さまが崩れ落ちた。



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