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妖精公爵と冷遇夫婦生活かと思ったら溺愛体質だった!?  作者: 夕凪 瓊紗.com


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【12】妖精のハロウィーン



――――人間の国から帰国しますます秋が深まる季節。妖精の国では妖精のハロウィーンと言う催しが迫っていた。


「よーし、いい感じで焼けたわね」

かぼちゃ型のクッキーを包みに入れていれば、元気な声が響いてくる。


「奥さまー」

「リック!それから……」

リックの隣をとてとてと歩いてくるのは。


「ザックくん。お久しぶりね」

「お久しぶりです。ご機嫌麗しゅう、奥さま」

相変わらずしっかりした子だなぁ。


「今日はお菓子をもらいに来たのかしら」

妖精のハロウィーンは異なる妖精のコスプレをして友だち同士でお菓子の交換をしたり子どもたちがお菓子をもらえたりするイベントだ。


「はい、どーぞ」

かぼちゃクッキーの包みをおひとつ。

「あ、ありがたくちょうだいします!」

緊張しながらも頬を赤らめる姿はまだまだ子どもらしくてかわいいなぁ。


「やったね、ザックたん」

「はい、兄上。ですが今日は別の目的もあるのです」

「別の目的?」

「はい、こちら母上から奥さまへの贈り物です」

ザックくんが差し出してきたのは冊子のようだ。


「何かしら」

しかも2人のお母さまから?どうにもピンと来なかったのだが……表紙を見て固まった。


【デュラハンとの子作りの仕方】

「……はい!?」


「この冊子は代々母から嫁いできた娘に受け継がれる我が家のバイブルなのです」

「そっかー!それで母ちゃんったら新しく冊子を書き写してたのかー!奥さま、うちではお嫁ちゃんが嫁いでくると姑がそのまた姑に受け継いだ冊子を書き写して渡すんすよ」

「そ……そんな大切なものを私に!?」


「知っといた方がいいでしょ?」

「た……確かに……そうね」

中には何が書いてあるのかしら。ちらっ。


『デュラハンとの子作りで一番大切なのはデュラハンの頭をどこに置くか』

……確かにそれは大切だわ。


「そ……その、これでお礼になるか分からないけどもうひとつ、お母さまに」

「はい。お母さまもきっと喜びます。奥さま」

「え……ええ。お母さまにもよろしくね」

ザックたんを送っていくと言うリックを見送って……やはり気になるわよね。冊子をペラペラと。


「ツェリ?何を読んでるんだ?」

「きゃあぁぁっ!?リュヌさま!?」

「すまん。そんなに驚くとは。しかしそれは……」

「リックのお母さまからいただいたの。デュラハンの妻のためのバイブル……」

「へ……?」

「いいからその……その時は話し合いましょ」

頭の位置を。


「その……俺に出来ることなら何でも協力するから」

「うん!ありがと!」

無事に頭の位置は相談できそうね。安心、安心。


さて、そうとなれば。


「ハロウィーンの準備もしなくっちゃ」

「それもそうだな。ツェリは何の仮装をするんだ?」

「お義姉さまのドリュアスをするつもり。リュヌさまは……?」

「うーん……デュラハンって頭が取れる時点で出来ることが限られているんだが……」

「言われてみればそうよね」

「だが言い換えれば代わりに違う頭も付けられるわけだ」

「そっか、そうよね」

自分の頭は小脇に抱えることになるだろうが。


「今年はかぼちゃを被ってジャック・オー・ランタンでもやろうかと」

「いいわね!街中のパレードにも行ってみる?」

「いいな。お菓子を持って夫婦で参加しようか」

「ええ!」


※※※


付き添いのエリンはノーム、ロバートはバンシーの仮装と夫婦で逆転仮装になったのだが。


「ロバート……それは女装か」

「仕方がないでしょう、旦那さま。バンシーは女性しかおりません」

ほかの妖精の選択肢もあったろうに。エリンと合わせるところは愛妻家よね。

そしてエリンはノームのチャームポイントの帽子を被り、私はドリュアスの草冠を被る。

リュヌさまは頭にジャック・オー・ランタンを乗せ、小脇に自分の頭を抱えている。


「さて、みんな準備が出来たからな。パレードに参加するぞ」

「ええ、リュヌさま!」


妖精たちの仮装パレード。みんな各々の妖精の仮装をしていて本当に盛り上がってるわ。


「お菓子ちょーだい!」

「はい、どーぞ」

バスケットの中に入ったお菓子を見た子どもたちがたまにお菓子をもらいに来てくれるのもかわいい!


「お姉ちゃん、ドリュアス?」

「そうよ、君はジャック・オー・ランタンかな?」

「アタリー!」


「お、なら俺とお揃いだな」

私の隣の大きなジャック・オー・ランタンを見た子どもはと言うと。


「ぎゃーっ!デュラハンだー!」

「おいこら、お菓子没収すっぞ」

「ちょ……リュヌさまったら」


「あ、でもデュラハンもジャック・オー・ランタンなら俺最強じゃね?」

「そうそう分かってるじゃねえか。褒めてやる」

「わーい!」

てっきりデュラハンってことで恐れられるのかと思っていたがそうでもないようでホッとひと安心する。


小さなジャック・オー・ランタンに手を振れば2人でのんびり、ハロウィーンの装飾を見物しながら楽しむ。


「きれいね」

「ああ、毎年この日はそうなんだ。周りの出店に寄ってみるか?たくさんお菓子を売ってるぞ」

「それなら寄ってみようかしら」

売場を見ればかわいい花や葉の形のチョコがある。


「これ、エリンたちにどうかしら」

「ああ、いいかもな」


チョコをひとつつみずつ購入し装飾を見て楽しんでいるエリンたちの元に向かう。


「エリン!ロバート!これは私たちからあなたたちに!日頃の感謝を込めて」

「ああ。是非味わってくれ」

「まぁ、奥さま!嬉しいですわ」

「感謝いたします、旦那さま」

植物の世話が好きなノームのロバートとその育てた花を愛している妻のエリン。葉と花の形のチョコは見事に喜んでもらえたようだ。


「リュヌさま、また来たいわね。妖精のハロウィーン!」

「ああ、そうだな」

来年はどんな仮装をして、どんなお菓子を配ろうかしら。何だか今からでも楽しみである。



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