表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/6

5.いざ砂海へ!その3

「いや〜。やっぱり二人だと沢山獲れるね!いつもは半分もいかないから。」


 漁を始めてから約1時間。1メートル四方程の木箱の中には、魚がギチギチに詰まっていた。勝手に個体数は少ないと思っていたが、見えないだけで多くの魚が泳いでいるらしい。


「でも、そろそろ潮時かなぁ。あと数匹獲ったら引き上げよっか。」


「木箱が一杯になったからか?まだもう少し獲れると思うけど。」


「いや、日が高くなってきたからだよ。ほら、太陽が完全に出てきたら、ますます暑くなって漁どころじゃなくなるよ。」


 確かに、この砂漠の暑さは殺人的だ。出発した時はまだ薄暗く、夜の涼しさが残っていたが、今は陽炎が見え始めるくらいには暑い。

 まだこの暑さに慣れていないオレは既にバテ気味だったので、素直に撤収の準備を始めた。



 その時だった。ボ〜ゥ、と牛のような低い鳴き声が聞こえたのは。近くから聞こえた筈だが周囲を見渡しても何もいない。


「なぁ、サキ、いま何か聞こえなかったか?鳴き声みたいなの。」


 片付けをしていたサキに問いかけるが、サキは空を見上げていて聞こえていないようだった。

 空?空に何かあるのか?オレも上を見上げる。


 そこに居たのは、大きな、大きな翼を広げた、巨大生物。いや翼じゃない。あれはヒレだ。

 人は壮大な景色に時折、心奪われる。オレにとっては、まさにこの時だ。

 太陽を遮り、オレ達の船に影を落とす。サキの感嘆の声も、風で舞う砂のさざめきも、何処か遠くに感じられる。

 空を悠々と滑空する巨大マンタは、再び低い鳴き声を上げ、どこまでも続く砂漠の果てへと去っていった。





「すごかったねぇ〜!船の上を飛ぶのなんてアタシも初めてだよ!」


 サキは興奮を抑えられないのか、帰りの間もさっきの光景の話題ばかりだ。俺はというと惚けたように空を見続けていた。勿論マンタのことが忘れられないからだ。目算だが横幅は6メートル近くあったと思う。


「なぁ・・・サキ・・・明日も船に乗せてくれるならさ、マンタ獲らないか?」


「船に乗るのは大歓迎だよ!だけど、マンタは私も獲りたい、けどこんな小船じゃ無理だよ。」


「そうなのか?銛を使えばいけるんじゃ?それにマンタはいいかねになるだろ?」


 そう、実際マンタはザイナム=テロンで最も人気のある食材の一種だ。昨日オレが頬張った肉も、何を隠そう、マンタ肉なのだ。


「そうなんだけどね、マンタ漁にはロープを括りつけた銛を使うの。反対側は船に括り付けてね。それを銛撃ち銃(ハープーン)で撃ち出してマンタの体力が無くなるまで逃げないようにするの。そのためには大型船じゃなきゃ。」


「・・・なるほど、小型船だとマンタのパワーに耐え切れず、バラバラになっちまう、か。」


 でも、それでも、オレは諦められない。絶対に獲りたい、マンタを。

 なにかないか?なにか。小型船でもマンタを取れる方法は・・・。


「あきらめきれないって顔だね。・・・大型船の知り合いに紹介しようか?」


「え、でもサキ、それだとまた一人で漁に出るのか?」


「うん、でも今までも一人だったし大丈夫だよ!今日はジョーと漁ができて、とっても楽しかった!」


 出会って数時間しか経っていないが、流石に空元気だとわかった。根っからのいい子なんだろうな。


「その代わり、また異世界の話聞かせてよ!今度はジョーの世界の遊びについて聞きたいな!」


「・・・あぁ、もちろん。そうだな、せっかくだから海での遊び、マリンスポーツの話なんて────」


 まてよ、マリン、スポーツ・・・?

 些細な思考、だがそれは電撃の如く脳裏に走り、突拍子もない奇策がオレの頭に浮かび上がった!

 そうだ、そうだよ!あるじゃないか、マンタを獲る方法!


「マリンスポーツだ!いけるかもしれない、いや、いける!」


 一人、いきなり興奮し出したオレに、若干サキが引いている気がするが、もう関係ない。

 ちょうどよく港に着いたので、早足で船を降りてサキに素早く挨拶を済ます。


「サキ!明日までにオレの方でも準備しておく!銛撃ち銃(ハープーン)の準備はそっちで頼む!」


「えっ、えっ、どゆこと!?ジョー!?」


 一方的に言葉を残すと、一目散に通りの人混みに消えていった。


「もうっ、どういうことなのよ〜!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ