リナ、初めての遅刻
**20xx年4月15日(月曜日) 高校1年生**
**朝**
目覚ましの音で目が覚めた。
時計を見た。
7時40分。
「え...」
起きる時間は6時半。
寝坊した。
「お母さん!」
叫びながら飛び起きた。
お母さんが駆け込んできた。
「リナ、起きて! 遅刻するわよ!」
「なんで起こしてくれなかったの!」
言った瞬間、後悔した。
私が起きなかったのが悪いのに。
「ごめん...」
制服を慌てて着た。ボタンを掛け違える。
時間がない。
朝食を食べる時間もない。
「お弁当!」
お母さんが鞄に詰めてくれた。
「いってきます!」
玄関を飛び出した。
**午前**
走った。駅まで全力で。
息が切れる。
駅に着いた。時計を見る。
7時58分。
いつもの電車には間に合わない。
次の電車は8時10分。
学校に着くのは8時35分。
ホームルームは8時30分開始。
遅刻だ。
初めての遅刻。
電車を待ちながら、涙が出そうになった。
なんで、寝坊したんだろう。
昨日、夜更かししたから。
スマホを見てて、気づいたら12時過ぎてた。
自業自得だ。
電車に乗った。
座る気にもなれず、ドアの前に立った。
心臓がドキドキする。
先生になんて言おう。
クラスのみんなに、なんて思われるだろう。
学校に着いた。
校門をくぐる。誰もいない。
みんな、もう教室にいる。
下足箱で靴を履き替える。手が震えた。
階段を上がる。廊下を歩く。
静かすぎる。
教室の前に着いた。
ドアの向こうから、先生の声が聞こえる。
ホームルームが始まっている。
深呼吸した。
ノックした。
「はい」
佐藤先生の声。
ドアを開けた。
「遅刻しました。すみません」
頭を下げた。
クラス中の視線が私に集まる。
恥ずかしい。消えたい。
「田中、理由は」
「寝坊しました」
正直に言った。
先生は少し呆れた顔をした。
「席に着きなさい。放課後、職員室に来るように」
「はい」
席に座った。
隣の咲希ちゃんが、心配そうに見ていた。
私は下を向いた。
**昼**
お昼休み。
咲希ちゃんが「大丈夫?」と聞いた。
「うん...恥ずかしい」
「誰でも遅刻することあるよ」
「でも、高校入って一週間で...」
情けなかった。
お弁当を開けた。食欲がない。
でも、お母さんが作ってくれたもの。
ちゃんと食べなきゃ。
「ねえ、リナ」
咲希ちゃんが言った。
「なあに?」
「失敗は誰にでもある。大事なのは、次から気をつけることだよ」
その言葉が、少し心に染みた。
「うん...ありがとう」
「それに、寝坊の理由、正直に言ったじゃん。それは偉いよ」
「嘘つくのは嫌だから」
「そういうところ、リナの良いところだと思う」
咲希ちゃんが笑った。
少しだけ、気持ちが楽になった。
**午後**
午後の授業。集中できなかった。
放課後の職員室が頭にちらつく。
怒られるんだろうな。
当然だ。
チャイムが鳴った。
放課後。
「リナ、頑張って」
咲希ちゃんが言った。
「うん」
職員室に向かった。
ドアの前で立ち止まった。
深呼吸。
ノックした。
「失礼します。1年A組の田中です」
「入りなさい」
佐藤先生の声。
中に入った。
先生が私を見た。
「田中、座りなさい」
椅子に座った。
「今朝は寝坊で遅刻したな」
「はい」
「理由は?」
「夜更かしをしてしまいました」
「高校生になったばかりで、気が緩んでいるのか」
「...すみません」
「遅刻は、授業を受ける権利を自分で捨てることだ。分かっているか」
「はい」
「今回は初めてだから、厳重注意にとどめる。しかし、次はないぞ」
「はい。申し訳ありませんでした」
深く頭を下げた。
「分かればいい。帰りなさい」
「失礼します」
職員室を出た。
廊下で、大きく息を吐いた。
怒られた。でも、当然だった。
**夕方**
帰りの電車。
窓の外を見ながら、反省していた。
高校生になって、浮かれていた。
中学の時より自由だから、調子に乗っていた。
夜更かしして、朝起きられない。
自己管理ができていない。
情けない。
携帯を見た。
美香ちゃんにメッセージを送ろうかと思った。
でも、やめた。
こんな情けない話、したくない。
家に着いた。
「ただいま」
お母さんが「おかえり。今日は大丈夫だった?」と聞いた。
「...遅刻した」
お母さんの顔が曇った。
「そう...」
「ごめんなさい。夜更かししたから」
「リナ、高校生になったんだから、自分で時間管理しなさい」
「うん」
「お母さんは、いつまでも起こしてあげられないわよ」
「分かってる」
部屋に入った。
制服を脱いで、ベッドに座った。
今日は、最悪の日だった。
でも、自分が悪い。
**夜**
夕食の時、お父さんが「遅刻したそうだな」と言った。
「うん...」
「リナ、高校は義務教育じゃない。自分の意志で通うんだ」
「分かってる」
「遅刻は、自分にも周りにも迷惑をかける。気をつけろ」
「うん」
厳しい言葉だった。でも、正しかった。
部屋に戻った。
机に向かって、宿題を始めた。
でも、集中できない。
今日のことが頭を離れない。
恥ずかしい。情けない。
でも、咲希ちゃんが言ってた。
「失敗は誰にでもある。次から気をつければいい」
そうだ。
今日の失敗を、無駄にしちゃいけない。
明日から、ちゃんとしよう。
夜更かししない。朝、ちゃんと起きる。
遅刻しない。
日記を書こう。
今日の失敗を、忘れないために。
## 後書き
**日記**
**20xx年4月15日(月曜日) 高校1年生 田中里奈**
今日、初めて遅刻した。
寝坊した。夜更かしが原因。
教室に入った時、みんなの視線が刺さった。
恥ずかしかった。
放課後、先生に呼ばれた。
怒られた。当然だった。
「遅刻は、授業を受ける権利を自分で捨てること」
先生の言葉が、心に残った。
咲希ちゃんが「失敗は誰にでもある」と言ってくれた。
優しかった。
でも、甘えちゃいけない。
高校生になって、調子に乗っていた。
夜更かししても大丈夫だと思っていた。
でも、違った。
自己管理ができていない。
情けない。
お父さんが言った。
「高校は義務教育じゃない。自分の意志で通うんだ」
そうだ。
私は、自分で高校に行くと決めた。
なのに、遅刻した。
自分に甘かった。
明日から、変わろう。
夜更かししない。
朝、ちゃんと起きる。
遅刻しない。
今日の失敗を、無駄にしない。
次は、ちゃんとする。
高校生の田中里奈、まだまだ未熟。
でも、成長する。
今日の恥ずかしさを、忘れない。
明日は、笑顔で学校に行こう。
ちゃんと、時間通りに。




