表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/18

【第7話】「強き者は必ず正義なのか?」

「つまり、あなたは『強い者が正義とは限らない』と言いたいのですか?」


貴族の男子生徒が苛立ったように尋ねた。


「そうではない。私は単に、強者が常に正しいのかを考えるべきだと言っている。」


俺は黒板に『強者の行動は正義か?』と書いた。


「例えば、私のいた世界には『マキャヴェリ』という思想家がいた。彼はこう言った。『目的のためなら手段を選ばないことも時には必要だ』と。」


「つまり、強者は何をしても正しいということですか?」


エルフの女子生徒が質問する。


「そう解釈することもできる。しかし、マキャヴェリはまたこうも言った。『民の支持がなければ、支配者の力は長続きしない』と。」


「では、民が認めればどんな強者も正義になれると?」


「その問いは重要だな。」


俺は黒板に『支配者の正当性とは?』と書き加えた。


「では、もし君たちが『民の意思に関係なく、強い者が正義である』と考えるなら、次の問いに答えてほしい。」


俺は教室を見渡し、ゆっくりと口を開いた。


「では、反乱が起こり、君たちの国が新たな支配者に征服された場合、彼らは正義になるのか?」


教室内が静まり返った。


「……それは……。」


貴族の生徒たちは動揺した表情を浮かべた。


「もし強者が正義ならば、今の秩序も絶対ではないということになる。それでも強者が正義だと言い切れるか?」


俺は黒板に今日のまとめを書いた。


『強者の正義は絶対か?』


そして、生徒たちに向き直った。


「今日の授業はここまでだ。次回の授業までに、この問いについて考えてくるように。」


「……宿題、ですか?」


平民の男子生徒が驚いたように聞いた。


「そうだ。答えは一つではない。君たちがどのように考えるか、それを次の授業で聞かせてほしい。」


俺は黒板の文字を指差した。


「強者の正義とは何か?」


ライガースが静かに笑みを浮かべる。


「やれやれ、なかなか面白い授業だ。」


生徒たちは複雑な表情を浮かべながら席を立ち始めた。


こうして、俺の初授業は幕を閉じた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ