【第4話】「倫理学講義への反発と最初の問い」
俺の問いに対し、生徒たちは困惑した表情を浮かべていた。
「……理解する、ですか?」
エルフの女子生徒が、訝しげに俺を見つめる。
「そもそも、尖耳と脳筋が互いを理解する必要なんてないでしょう?」
「そうだ!」
貴族らしき男子生徒が机を叩いた。
「この世界の理は明白だ。強き者こそが正義!弱き者はそれに従うのみ!」
教室内にざわめきが広がった。
「なるほど。」
俺は静かに頷き、黒板に新たな問いを書いた。
【強き者が正義ならば、過去の貴族の判断は常に正しかったのか?】
「……それは……。」
生徒たちは言葉に詰まった。
「君たちは、ただ『貴族だから正しい』と思い込んでいるのではないか?」
俺の言葉に、一部の貴族の生徒が反発した。
「何を言う!我々は代々統治を……!」
「ならば、その統治が間違っていたことはなかったのか?」
俺の視線が鋭くなると、生徒たちは口を閉ざした。
その時、教室の隅でライガースが微笑んだ。
「面白いな。」
彼女は興味深げに俺を見つめていた。
俺は一つ息を吐き、次の言葉を紡ぐ。
「では、次回の課題は『正義とは何か?』だ。」
授業は、まだ始まったばかりだ。