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【第17話】「信仰と理性、そして現実」

セシリア・ルミエールが教授室を飛び出してから、しばらくの間、俺はその場で静かに座っていた。


彼女の怒り、涙、そして言葉の一つひとつが、今でも耳に残っている。


「……神の意志は絶対だ、とか。」


俺は小さく呟き、机の上に肘をついた。


(信仰とは何だ?)


信者にとって、それは人生の指針であり、世界のことわりであり、絶対的な拠り所なのかもしれない。


だが、俺が生きてきた世界では、信仰は決して唯一の答えではなかった。


「信仰は人を救うのか、それとも縛るのか……。」


俺は静かに目を閉じた。


セシリアとの議論を思い返す。


彼女は最後まで神の意志を信じていた。


「人が選択するべきではない……神が導いてくださる……。」


その言葉を口にした彼女は、確かに強い信念を持っていた。


だが、その信念は――彼女自身を縛りつけているようにも見えた。


---


ふと、現代の宗教論を思い出す。


「宗教とは、社会の中でどのような役割を果たしてきたのか?」


歴史を振り返れば、宗教は人々の心の拠り所でありながら、時に争いを生む原因ともなった。


戦争、異端審問、宗教弾圧……。


信仰の名の下に、多くの命が奪われてきた。


「すべての宗教が悪いわけではない。」


しかし、信仰が絶対的なものとされる時、人は思考を止めることがある。


それは果たして、本当に“善”なのだろうか?


---


(セシリアは今、どうしているだろうか。)


信仰とは、人を導くものなのか、それとも縛るものなのか。


俺の問いに答えてくれる者は、どこにもいなかった。

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