【第14話】「授業後、訪れた者」
授業が終わった後、俺は自分に割り当てられた教授室へと向かった。
アカデミーの教授として与えられた部屋は、そこまで広くはないが、十分に整った空間だった。
書棚には既にいくつかの書物が並んでおり、机の上には資料とインク瓶が置かれている。
俺は椅子に腰を下ろし、ゆっくりと今日の授業を振り返った。
(今日の授業は、思った以上に活発な議論が展開されたな……特にセシリアの意見は興味深かった。)
彼女は明らかに他の学生とは違う視点を持っていた。
ただの平民ではなく、どこか洗練された論理構築ができる。
「……さて、明日の授業の準備でもするか。」
そう思い、書棚の本に手を伸ばそうとしたその時、部屋の扉が控えめに叩かれた。
「……どうぞ。」
扉がゆっくりと開かれ、そこに立っていたのはセシリア・ルミエールだった。
「教授、お時間よろしいですか?」
俺は少し驚いたが、すぐに落ち着いて頷いた。
「もちろん、どうか入ってくれ。」
セシリアは静かに部屋に入り、戸を閉めた。
彼女は真剣な表情で、俺の前に立ったまま口を開いた。
「……今日の授業で話した『暴走する魔導車』について、もう少しお聞きしたいです。」
俺は椅子に座りながら彼女を見た。
「そうか。ところで……君の名前をまだ聞いていなかったな。」
セシリアは一瞬驚いたように目を瞬かせたが、すぐに微笑んだ。
「私はセシリア・ルミエールです。」
(……セシリア・ルミエール?)
シンプルな名前だが、どこか違和感を覚える。
だが、深く追及する理由もないので、俺は軽く頷いた。
「よろしく、セシリア。」
「こちらこそ、教授。」




