【第12話】「新たな講義、倫理とは何か?」
学院の門をくぐり、講義室へ向かうと、すでに多くの学生が集まっていた。
「先生、おはようございます!」
平民の学生たちは笑顔で挨拶をしてきた。一方、貴族の学生たちは少し距離を取り、静かに俺を観察している。
俺は講義室の中央に立ち、周囲を見渡した。
「さて、まずは前回の課題から始めよう。」
俺は黒板に『倫理とは何か』と書いた。
「前回、君たちに『倫理とは何か、自分なりの答えを考える』という課題を出したな。今日はそれぞれの考えを発表してもらおう。」
学生たちは真剣な表情で頷いた。
「では、誰か自分の考えを発表できるか?」
数秒の沈黙の後、平民の学生が手を挙げた。
「私は、倫理とは人々が共に生きるための規範だと考えます。秩序を守ることで、社会が安定し、皆が安心して暮らせるのではないでしょうか?」
「なるほど、『社会的秩序』が倫理の中心であるという意見だな。」
俺は黒板に「社会的秩序」と書いた。
次に、貴族の学生が発言した。
「私は、倫理とは強者が弱者を導くためのものだと考えます。混乱を避けるためには、優れた者が正しい道を示す必要があります。」
「ふむ、『指導者の責任』という考え方だな。」
俺は黒板に「指導者の倫理」と書き加えた。
「面白い意見だ。では、もし倫理が社会秩序を 유지するためのものだとすると、ある状況で個人の倫理観と社会の規範が衝突した場合、どちらを優先すべきだろうか?」
学生たちは沈黙した。
俺は黒板に新たな問いを書いた。
『個人の倫理 vs 社会の倫理』
「この問題を考えるために、ひとつの状況を提示しよう。」
俺はチョークを取り, 黒板に『暴走する魔導車』と書いた。
「ここに制御不能になった魔導車がある。このままでは五人の市民が轢かれてしまう。しかし、そばにレバーがあり、それを引けば魔導車の進路を変え、一人の兵士を轢くことで五人を救うことができる。」
教室は静まり返った。
「君たちは、このレバーを引くべきだろうか?」
俺は学生たちを見渡した。
「五人を助けるために一人を犠牲にすることは正しいのか? それとも、何もせずに五人が死ぬのを見過ごすべきなのか?」
学生たちは顔を見合わせ、深く考え始めた。
こうして、新たな議論が始まった。




