#04 調査、そして…
父親が亡くなり茫然自失の涙を流すふりをしながら私は馬舎に向かう。
もちろんロランの父親殺害の証拠集めの為に。
「お嬢様!申し訳御座いませんっ!!」
真っ青な顔をした馬番達に土下座される。
責任と恐怖を感じているだろう馬番長の肩に手を置き、首を振る。
「貴方のせいではないわ。今朝の事聞かせてもらえる?」
「はい、今朝は旦那様の馬とロラン様の馬は2頭共にロラン様が支度をして出かけました。出かける前は2頭共に落ち着いていたのですが…。」
「お父様の馬はどこに?」
「一緒に崖に転落したので川に流されていなければまだ谷にいるかと…お嬢様…私達はどうすれば…」
不安で仕方ないと言う顔の馬番を安心させなきゃね。
「まずはお父様の冥福を祈って。それからいつもと同じ様に馬達のお世話を頼むわ。ロランには私から話をつけておくから…心配しないで。」
3日後にはブランの兵と戦闘になる。馬の準備は絶対に必要なのよね。準備に手間取ると私の知っている戦線が変わる可能性がある。それだけは絶対に避けたいわ。
屋敷に戻った私はうつむいてメイドさん達に告げる。
「しばらく一人にしておいて。お父様への祈りを捧げたいの…。」
「お嬢様…お気を確かに。私たちがついています。外で待機しておりますので何かあればすぐお声をおかけ下さいませ」
「ありがとう…」
扉を閉めてソファーに座る。先ほど書棚から取り出した地理書からこの領地の地図を開く。
「谷、ここから近くの谷…これかしら。」
自分の【権能/鷹の眼】を使うために目を閉じてさっきみた地図を思い浮かべる。
【権能】はプレイヤーと神の『光の使い』と堕ちた『闇の使い』だけが使える特殊スキルの事でプレイヤーは特定のフラグを回収するたびに使える権能が増えていく。私が対象のステータスを見ているのも【権能/至高の瞳】を使っているから。もちろん私はカンスト済…と思ってたんだけど…
そういえば…自分のステータスを確認した時に何か権能が増えてたのよね。【運命の輪】と【薔薇輝石の雫】2つとも効果が【???】で表記されててまったく解らないわ。何なのかしら。
【鷹の眼】はフィールドスキャンの事。周辺の様子を上空から見た様子で伺う事が出来る。主に戦場の敵味方のユニット配置を見るためのスキルよ。私がスタッフォード家の広い屋敷を難なくうろつき回れるのもこの能力のおかげなのよね。
「見つけた!」
ステータスを見るとHPは低いけどまだ生きてる!でも動かないって事はケガしてるのかな。日が暮れると寒さで死んでしまうわ。早く行かないと!!
待ってて!
つづく