表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/172

#02 何なの!?この兄は!!!

 


 ダイニングに着くと長いテーブルに二人の男性が座っているのが見える。

 多分、中央が父親のスタッフォード伯爵。右側がプレイヤーがチュートリアルで戦う異母兄のロランだわ。

 ふむふむ。ロランはおなじみの弱キャラよ。

 父親が同じって言ってもエリザベスとは全然似てないわ。エリザベスが母親似なのかな。

 そういえばチュートリアルでは伯爵ではなくロランが大将だった。その後、第一話でもう一度ロランと戦うのよね。


 もう知ってるけどステータス見ちゃおうかしら。


「…?」


 おかしい。今のロランのステータスは第一話と同じ…。

 じゃあチュートリアルで戦ったロランは?


 敗北したロランが生きていて悔しさから強くなって再戦したのかと思っていたけどもしかして…


 チュートリアルは影武者!!?


 確かにチュートリアルは顔を見ていないわ。

 甲冑姿だったもの。顔は第一話でしか見てない。


「ロラン、今日は狩りに出かける約束であったな。」


「はい、準備は出来ています!」


「エリザベス、お前はどうだ?」


 狩り、か。今はそれどころじゃないわね。

 このスタッフォード家と3日後のチュートリアル戦のための情報を集めたいわ。


「わたくしは…少し気分が優れませんので今日は自室で休ませて頂きますわ」


「そうか。なら留守を頼む。近頃ブランの斥候がこの辺りをうろついているらしいからな」


「はい、成果を楽しみにお待ちしております」


 食べたか食べなかったのかさっぱりわからない朝食を終えて自室への階段を登ろうとしたときに腕を掴まれる。振り向くとロランがいた。


「…お兄様?」


 ロランは顔をしかめて鼻で笑う。


「お兄様だと?今日はどうした?何か企んでんのか?」


 まずい。エリザベスはお兄様呼びしてなかったのね。


「…と言うか今日のお前…いつもと何か違うな?何というか…こう…」


 いつの間にか後ろから肩に回された手で耳を撫でられてゾクッとした鳥肌に包まれる。

 この目、この顔…セクハラ部長と被るわ。イラッとする!!


「やめて!」


 思わず振り払った腕はロランの顔面にヒットした。

 ヤバい、今の私はSTRもATKもカンストだったわ。

 もちろんヒットしたロランは床にぶっ飛ぶ。

 打ちどころが良いのか悪いのか死ななくて良かった。 


「…お前…誰に向かって…」


 怒りに震えるロランは腰の剣に手をかけようとして…やめる。


「俺が爵位を継いだらお前なんかこの領地から追放してやるからな!何も出来ないお前は野垂れ死にだ!見てろよ。」


 うわぁガキくさいセリフよね。

 残念だけど領地を追放されたとしてもこのステータスとスキルがあれば傭兵なり何なり出来るわ。お金だってインベントリに入ってる装備やらアイテムやら売れば…て言うかお金自体このスタッフォード家の財政以上にある。まだ数時間しか過ごしてない貴族の生活に愛着なんか無いし、向こうの世界では一応自分の面倒くらい自分でみてきたしね。

 まだ怒りに満ちた目でにらんでくる愚兄を尻目に私は自室に戻る。


「ふぅ…」


 ため息をついて書棚に向かうと歴史書と地理書を取り出す。プレイヤーウインドゥでは足りない情報を探すために。

 ふと書棚の隅にある背表紙のない本に目が止まる。

 表紙にもタイトルはない。

 開こうとすると魔法でロックがかかっているのに気がついた。人に見られては困る本…?


「これは…エリザベスの日記…?」



 ◇つづく◇

 

 

 

 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
一話が短い 二話で一話としてほしかった
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ