2-(28)
二人が玄関に着いた矢先、タイミング良くドアが開けられた。
二人は同時にそちらに顔を向けて一瞬驚いた表情を見せたが、すぐにそれを緩ませた。
2人の声が重なり、突然名前を呼ばれたセレスティアは一瞬戸惑う素振りを見せたがそれもすぐに消して微笑む。
「遅くなってごめんなさい。…ちょっと、知り合いに会って、ね。話をしていたらこんな時間になっちゃたわ」
何度もごめんなさい、と口しながら彼女は眉をハの字にして二人を見つめた。
薄暗い為分かり難いが、その顔色はどことなく青褪めており、違和感を感じてシャオンは口を開く。
「…どうか、しました?顔色があまり良くないですよ?」
その言葉にアレンも賛同し、心配そうにセレスティアに近寄る。
少し体調が良くないという彼女を部屋で休ませ、アレンが夕食を作ることとなった。
*****
「なんか、アレンが炊事場に立つなんて笑えるかも」
「…なにそれ、ケンカ売ってます?シャオンさん」
アレンの手伝いをしながら失礼なことを呟いたシャオンに、アレンは眉をひそめて抗議した。
「だってそうじゃない?大体は野営したり、出された物を食べるばっかりだったし」
「まぁね。でも、昔はよく二人で料理してたじゃん」
アレンは昔を思い出し、懐かしそうに口元を緩めた。
それを見て、シャオンも数年前のことを思い浮かべる。
「そういえばそうだったね。やるって言い出すのは私だったけど、いっつもアレンが手を出してきて…」
「あれは、シャオンの手つきが見てられなかったからだよ~」
「なっ!そんなことないわよ!私だって少しは…」
昔のことをあれこれ言いながら、アレンが慣れた手つきで料理を作り上げていく。
その横でシャオンが食器などを出していた。