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最近では見慣れてしまった二人の姿に、シャオンは一瞬ためらいつつも話しかけようと近づいた。
「ーーは、違います。どちらかというと…」
彼らの声が聞こえる位置まで来ると、シヤオンは歩く速度を落とした。
「…でしょう?まぁ、アレンもだけれどシャオンさんも見かけによらないわよね。何て言うか…眠っていた時は綺麗な顔をしていて物静かなイメージだったのに、起きてみたらあんな調子でちょっと驚いたわ」
「確かにシャオンは行動派だからなぁ。いっつも先頭切って突っ込む感じですし」
シャオンは話題が自分のことだと気が付き、何となく話し掛けにくくなってしまい足を止めた。
周囲を見渡してすぐ近くにあった木の陰に入り、その木にもたれかかった。
既に仕事は終わっているのか、彼らは畑の隅にあるベンチに座って話をしている。
丁度二人はシャオンとは反対の方を向いているので、彼女には気付いていないようだった。
「…なら、アレンは面倒そうに後ろからついて行く感じかしら?」
「わかります?あいつは止めても止まらないですから」
アレンが可笑しそうに笑い、セレスティアもつられて笑う。
傍から見れば2人は恋人同士のように見える。
17歳にしては180ちょっとという背の高いアレンと、165はある大人びた雰囲気のセレスティアは誰が見てもお似合いで。
対して160くらいの身長のシャオンとアレンが一緒にいると、兄妹と言われることがほとんどだ。
(それで助かったことは多いけど…なんか腑に落ちない。)
話し掛けるタイミングを完全に逃してしまったシャオンは、すっきりとしない気持を抱えたままその場から立ち去ろうと木から離れた。
「よく分かっているのね、彼女のこと。…2人はその、特別な関係、とか?」
セレスティアの声のトーンが僅かばかり下がる。
その言葉を聞いたシャオンの足が固まった。
「どう、なのかなぁ。一般的に言うと…んー、相棒とかになるんですかね。お互いに頼れるのが他に無いっていうのもあったし、一緒にいる時間も長いですから」
「…じゃあ、恋人とかではなのよね?ちょっと安心、かな」
先程よりも少し嬉しそうに話すセレスティアの声を聞きつつ、シャオンは静かに息を吐いた。
(部屋に戻って少し休もう。久しぶりに動いたから今日は少し、疲れた…)