2-(16)
-いつか、必ず迎えにくるわ……
「っ、アレンっ!」
突然シャオンが部屋から出て行こうとするアレンの背中に声を掛けた。
「ん?どうかした?」
顔だけシャオンの方に向けたアレンが、不思議そうに答える。
「…っ、ごめん…何でもない」
幼い頃の映像が頭の中に浮かび、アレンがその姿と重なったとは言えず、シャオンは俯いてそう答えた。
最近は考えないようにしていたシャオンだったが、夢で見たせいもあってかリアルに思い起こされた。
アレンは、それ以上何も言おうとしないシャオンの方にゆっくりと近付いていく。
そのままベッドに腰掛け、俯くシャオンの方は見ずに林檎を一つ口に含んでシャオンの言葉を待つ。
アレンの視線を感じながら、何か話さないと彼を心配させてしまうと焦ってくる。
しかし、今何か言ったらいらないことまで話してしまうかもしれない。
様々な考えが頭の中を巡り、どうしようもない不安がシャオンを襲う。
林檎を噛む音だけが二人に流れた後、咎めるのでも呆れるのでもなく静かにアレンが喋り出した。
「シャオン…何度も言ってるけど、言いたい事があるなら何時でも言って。でも、俺に話すことでシャオンが無理するくらいなら聞かなくても大丈夫だから。それでも俺はシャオンの事、信じてるよ?だから…言いたくなったら、言えるようになったら話して欲しいかな」
戸惑いながら顔を上げたシャオンに笑いかけると、アレンはすぐ戻ると残して部屋を後にした。
アレンが出て行った後もドアを見つめて動かなかったシャオンだったが、暫くしてストンと仰向けに倒れた。
シャオンは何か吹っ切れたような気持ちになり、アレンが再び部屋に戻る頃には気持ちを切り替えていた。